- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093877220
感想・レビュー・書評
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「求めない」という言葉を最初に見た時、「必要最小限のものだけにして、心に余裕を持たせる」ような印象を抱きましたが、でも、それって何か禁欲的で辛いかもなんて思っていたら、「はじめに」で、ちゃんと加島さんが書いててくれました。
誤解しないでほしい。
「求めない」と言ったって、
どうしても人間は「求める存在」なんだ。
それはよく承知の上での
「求めない」なんだ。
ぼくが「求めない」というのは
求めないですむことは求めないってことなんだ。
すると
体の中にある命が動きだす。
それは喜びにつながっている。
だけどね、
意外にむずかしいんだ、だって
わたしたちは
体の願いを頭で無視するからね。
ほどよいところで止める──それがポイントだ。
上記の、『体の願いを頭で無視するからね』には、はっと気付かされるものがあって、私にも心当たりがありました・・・本当は寝たいのだろうに、つい、何かをしてしまったりとか。
そうか、この「求めない」は、自分自身のことをすごく気遣ってくれている、「求めない」なのだなと実感すると共に、なぜ、仕事はときに辛く刺々しい気分になるのかも、よく分かりました。
だから、今すぐというよりは、もう少し年齢を重ねてからの方が、よりしっくりくるものがあるのかなと、感じました。
いくつか、気になった詩を。
求めない─
すると
ひとのいうことが前より
よく分かるようになる
そして
ひとの話をよく聞くようになる
すると
ひとは
とても喜ぶものだよ
求めない─
すると
君の目つきが違ってくる
すると、ひとも君を
違った目で見るようになるよ
求めない─
すると
自分のなかのものの方が
ずっと大切なんだ、と知る
求めない─
すると
すべてが違って見えてくる
(だって、さがさない眼になるからだ)
求めない─
すると「自然」になる
だって自然はひとに
求めないからだ!
少ししか求めない─
すると
その手に入った少しのものを
大切にする
ほんとに味わう
そして、ほんとに楽しむよ
求めない─
すると自分が
自分の主人になる
だって求めるかぎり
君は、求めるものの
従者だもの
花は虫に交配を求める
虫は花に蜜を求める
花と虫は互いに求めあうことで
互いを生かしている
それは片方だけが「求める」ことじゃないんだ。
子が母の乳房を求めるとき
母も子に乳を飲むように求める
それは片方だけが「求める」ことじゃあない
互いを生かすことなんだ。
共存とは、
「求めあう」ことじゃなくて
互いに「与えあう」ことなんだ。
片方だけが求めるとき
相手を傷める─
奪うからだ。
生物は互いを生かすように求めあうことで
生き延び
進化してきたんだ。
それが止んだとき、
人類は滅びに向かうかもね。
求める─
求めない─
この二色の糸を、自分の
人生の模様に織りこめれば、
ライフはいいバランスのものになる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「人生の中から惨めさを消すためには、人に求めないことだ」著者の加島祥造さんが八十歳の時に見返した六十四歳の頃の日誌にこう書いていた、とあとがきにありました。
大学で教鞭をとり、数多くの翻訳、著作を手掛けたような人が、何故、惨めさを感じていたのか不思議に思いました。
読み進めていると、書いてあることはよく分かるのですが、「求めない」ことを強く、繰り返し求める本書に対してなんとなく皮肉めいた印象を受けましたが、最後の最後に書かれていた文章に、身体の熱がさっと抜けるような感覚になりました。
繰り返し繰り返し求めないことについて語られたあとの、はるかにソリッドな真実…
わたしもこの気持ちを分けあいたい。
嘘のために常識を放りだせる人たちと___ -
「求めない生き方とはなにか」、著者の考えが書かれた詩集です。
「求めない すると…」と、続いていく言葉には、うなずけるものが多かったです。
特に「求めるからこそ、求めたものが来なかったらどうしようという不安や恐怖が生まれる」という考えには、同感です。
ただ毎日唱える言葉として「求めない」という否定の形は、少しつらいなと感じました。
○○するな、と言われると、ダメ出しのように感じてしまうからです。
求めないに代わる良い言葉を思いつかないのが悔しいですが、それでもあえて言いかえるなら「私はいま、じゅうぶんにしあわせだ」「ありのままでいる」かな、と思いました。 -
求めないことで
得られる大きなものがある -
求めない 080630
加島祥造 小学館
ご本人も言っておられるとおり
古き昔から言い伝えられてきた「足を知る」を
知識でなく心で感じた瞬間を書き綴ったものなのだろうか
この世は人間にとって結果という物質を求める肉体と
プロセスという体験を求める精神との二つが渦を成すことで存在している
今、結果を求めすぎる社会に傾いているから
求めない方へ少し戻る必要が起こっている
だからといってすべてを放棄したら元も子もなく
この世は消え去ることだろう
それが証拠に加島さんは
「求めない」姿を求めてやまない
声を大にして皆に伝えたいのだろう
これほどに口を酸っぱくしてまで繰り返し口説いているエネルギーは
まさに欲でしかない
そのことが矛盾で成り立っている相対界を浮き彫りにしている
後書きの後に「真実は嘘に支えられている」とある
この言葉からも加島さんがあえてこの世の矛盾に挑んだことが読み取れる
この本によって社会は何ら変われなくても
個人的な変化をもたらすことができればと期待しているのかも知れない
知識でなく心が体験で捉えた瞬間に誰かが溶け込む勇気を得るかも知れないと
もしも地球が矛盾のない世界に変わってしまったら
次の誰かの心が「足を知る」ことに触れるチャンスをなくしてしまう
だから大自然は体験の場として矛盾している地球を譲らないだろう
丁度裏山や遊園地が子供にとって危険と裏腹の冒険の場であるように
いつの日も人々は「足を知る」ことを求めて繰り返し
未知の日々を右往左往しようとしていることだろう -
声に出して読みました。詩の音読には、ヨガみたいな効果があると思います。頭は空っぽになりませんでしたが…
欲のないフリして、実は欲まみれな自分です。求めない、がどういう状態か、いまいちピンとこず。。でも、そう気づけたことが、第一歩なのかなぁ。 -
求めないと、心が自由になる
そしてあらゆることに気づくことが出来る。
求めないと、求める自分を知るきっかけになる -
初めて読んだときは、全然参考にならないと思った(笑)
2回目読んでみて、初めてのときよりは「あー、そうだよね」と思うことが少し増えた。
でも、やっぱりあまりピンと来なかった。
今、流行りのミニマリストな考え方の本。 -
確かに。
極端な、ストイックなことも書かれていますが、人に対して求めないは必要だなぁ。と感じた詩集。
自分を整理整頓したいときにオススメな本。