- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093877220
作品紹介・あらすじ
「求めない――すると、本当に必要なものが見えてくる」「求めない――すると自由になる」。詩人、アメリカ文学者であり墨彩画家、そして近年は「老子」を現代語に翻訳して大きな支持を得ている加島祥造氏が日々書きとめてきた、すべてが「求めない」で始まることば。「何かが欲しい、手に入れたい、誰かのようになりたい、誰かにこうしてもらいたい」――人は誰でも求めます。まったく求めないでいることは難しいけれど、信州・伊那谷の自然のなかでくらす83歳の著者は、「ほんの3分でいい、求めないでごらん。不思議なことが起こるから」と語りかけます。「求める」ことに追い立てられ、強いられる時代に生きる私たちが、心平安に、幸せに生きるための知恵が詰まった珠玉の詩集です。
感想・レビュー・書評
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「求めない」という言葉を最初に見た時、「必要最小限のものだけにして、心に余裕を持たせる」ような印象を抱きましたが、でも、それって何か禁欲的で辛いかもなんて思っていたら、「はじめに」で、ちゃんと加島さんが書いててくれました。
誤解しないでほしい。
「求めない」と言ったって、
どうしても人間は「求める存在」なんだ。
それはよく承知の上での
「求めない」なんだ。
ぼくが「求めない」というのは
求めないですむことは求めないってことなんだ。
すると
体の中にある命が動きだす。
それは喜びにつながっている。
だけどね、
意外にむずかしいんだ、だって
わたしたちは
体の願いを頭で無視するからね。
ほどよいところで止める──それがポイントだ。
上記の、『体の願いを頭で無視するからね』には、はっと気付かされるものがあって、私にも心当たりがありました・・・本当は寝たいのだろうに、つい、何かをしてしまったりとか。
そうか、この「求めない」は、自分自身のことをすごく気遣ってくれている、「求めない」なのだなと実感すると共に、なぜ、仕事はときに辛く刺々しい気分になるのかも、よく分かりました。
だから、今すぐというよりは、もう少し年齢を重ねてからの方が、よりしっくりくるものがあるのかなと、感じました。
いくつか、気になった詩を。
求めない─
すると
ひとのいうことが前より
よく分かるようになる
そして
ひとの話をよく聞くようになる
すると
ひとは
とても喜ぶものだよ
求めない─
すると
君の目つきが違ってくる
すると、ひとも君を
違った目で見るようになるよ
求めない─
すると
自分のなかのものの方が
ずっと大切なんだ、と知る
求めない─
すると
すべてが違って見えてくる
(だって、さがさない眼になるからだ)
求めない─
すると「自然」になる
だって自然はひとに
求めないからだ!
少ししか求めない─
すると
その手に入った少しのものを
大切にする
ほんとに味わう
そして、ほんとに楽しむよ
求めない─
すると自分が
自分の主人になる
だって求めるかぎり
君は、求めるものの
従者だもの
花は虫に交配を求める
虫は花に蜜を求める
花と虫は互いに求めあうことで
互いを生かしている
それは片方だけが「求める」ことじゃないんだ。
子が母の乳房を求めるとき
母も子に乳を飲むように求める
それは片方だけが「求める」ことじゃあない
互いを生かすことなんだ。
共存とは、
「求めあう」ことじゃなくて
互いに「与えあう」ことなんだ。
片方だけが求めるとき
相手を傷める─
奪うからだ。
生物は互いを生かすように求めあうことで
生き延び
進化してきたんだ。
それが止んだとき、
人類は滅びに向かうかもね。
求める─
求めない─
この二色の糸を、自分の
人生の模様に織りこめれば、
ライフはいいバランスのものになる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2007年初版。すぐに読み終われます。著者は、後書きによると今の私の年齢くらいの時に「求めない」と言う生き方の発端を感じたそうです。私自身、間違いなく人生のターンを切っており、最終章に入っていることを実感しています。50代までは、ひたすら社会的な地位や金銭や素敵な異性と付き合うことなどなど求めることに執着して参りました。それが今現在なに一つも手元にないことに唖然としています。正直なところ、ナチュラルに「求めない」生き方になっています。諦めと言っても良いかもしれません。ただ本書を読んで、そんな私の現状も考え方次第では捨てたものではないような気がしてきます。本書は枕元に置いて起床時や就寝前に読むのが良いなあと私的に思いました。
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「人生の中から惨めさを消すためには、人に求めないことだ」著者の加島祥造さんが八十歳の時に見返した六十四歳の頃の日誌にこう書いていた、とあとがきにありました。
大学で教鞭をとり、数多くの翻訳、著作を手掛けたような人が、何故、惨めさを感じていたのか不思議に思いました。
読み進めていると、書いてあることはよく分かるのですが、「求めない」ことを強く、繰り返し求める本書に対してなんとなく皮肉めいた印象を受けましたが、最後の最後に書かれていた文章に、身体の熱がさっと抜けるような感覚になりました。
繰り返し繰り返し求めないことについて語られたあとの、はるかにソリッドな真実…
わたしもこの気持ちを分けあいたい。
嘘のために常識を放りだせる人たちと___ -
「求めない生き方とはなにか」、著者の考えが書かれた詩集です。
「求めない すると…」と、続いていく言葉には、うなずけるものが多かったです。
特に「求めるからこそ、求めたものが来なかったらどうしようという不安や恐怖が生まれる」という考えには、同感です。
ただ毎日唱える言葉として「求めない」という否定の形は、少しつらいなと感じました。
○○するな、と言われると、ダメ出しのように感じてしまうからです。
求めないに代わる良い言葉を思いつかないのが悔しいですが、それでもあえて言いかえるなら「私はいま、じゅうぶんにしあわせだ」「ありのままでいる」かな、と思いました。 -
足るを知るということかな。
もう十分に持っている自分を認識したい。
読後、人と比べるのはやめたいと思ったのと、出来ないものは出来ないと言うということをしようと思った。
最近は特にYouTubeを見てるとこんな生き方が出来たら楽しいだろうなと思う人たちがたくさん出てくるので、うらやましい限りなんですが、自分とその人たちは違うし、その人たちなりの苦労もあるだろうなと思うので、比べないようにしたい。よそはよそ、うちはうち。 -
求めないと○○になれる。結果ばかりに視点が置かれている気がする。
求めないためにはどうしたらいいか、その方法が知りたかった私には、何のためにもならなかった。 -
丸山隆平オススメ
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読んでいて、心が軽くなる感覚を覚えた。
思わず連続で2回読んだ。
求めない。自分は「理想の自分を求めすぎるな」という視点で読んだ。
理想を求め過ぎるのではなく、「今の自分」のままで十分と受け入れる。ピントを今の自分に合わせる。そうすると、心が自由になる。
寝る前に読む本として、とてもいいかもしれない。