エースの品格 一流と二流の違いとは (Clickシリーズ)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093877787

作品紹介・あらすじ

野村克也が語る組織にとってのエースの存在意義。「稲尾、杉浦、江夏らは真のエースだった。阪神の藤川は、あの一投でまだまだだと感じた」。大ベストセラー『野村ノート』に続く名将の「人と組織論」。

感想・レビュー・書評

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  • 人づくりって大変だけど、面白い。

    全日本の監督姿を見たかったなぁ…

  • 楽天イーグルスの野村監督が、自身の経験に基づいて一流とはどういうことなのか、二流とは何が違うのかをプロ野球チームにおけるエースを例に挙げて説いている。野村監督の人生論、組織論とプロ野球選手の数々のエピソードが散りばめられている。

    内容的には、氏のこれまでの著作と被るところが多いので、それらを読んだ人には目新しさはないかも。とはいえ、往年の名選手から楽天のマー君まで、紹介されているエピソードは野球好きにはたまらない。

    日本代表監督は未練があるようで、本書の中でも言及している。長嶋氏、王氏は別格としても、その次は自分という自負が感じられる。北京オリンピックの星野氏はともかく、WBCの原監督には納得がいかないのだろう。一野球ファンとしても、野村日本代表監督は見てみたかった。

  • 野球に真摯に打ち込むことで得た野村氏の人生哲学論。 本書冒頭、2007年シーズン末、阪神藤川球児vs中日ウッズの直球勝負を、「同じ球を10球以上つづけた挙句、サヨナラ打を打たれ、これがシーズンを決定させてしまった(中日優勝)。個人の勝負をチーム優勝より優先させることなど、エースとしての品格にかける」と酷評する。この場面、名勝負とはやし立てられていたが、さすがに野村氏であると感心した。 個よりも全体を優先させることができる選手こそが、重要な人材であり、そういう人格の持ち主を育てることが人を作ることである。チームの中心選手がこのような人格者であれば、そのチームは強くなる。我が意を至りといいたくなるほど気持ちの良い主張であり、全面的に賛成する。 ただし、たまに自慢が入ってしまうのはいかがなものか。本書で論語から引用している「人生意気に感ず。功名誰かまた論ぜん」という心境で泰然とされていればよいと感じる。これだけの人だけに、晩節を汚すことのないように切に願う。

  • 通称「カベ」と呼ばれる、投球練習を受けるキャッチャーの役割で、テスト生から始まった野村の野球人生。その後の選手としての活躍、そして指導者としての名声は日本球界屈指であろう。

    特に指導者としての能力は数ある名将と言われる監督の中でも傑出している。野村のその能力の原点は、観察力と思考力だろう。選手の時代は、対戦相手を徹底的に観察してクセを盗み、自らの能力を客観的に捉え、それに対して対策を考える。指導者となってからは、選手の身体的な特徴から、考え方まで鋭く観察し、相手に合った方法で、その能力を最大限に引き出す。それだけではなく、言葉の大事さを著者も重要な要素であると、書中でも語っている。

    特に面白かったのが、過去に指導した選手たちとのやりとりだ。
    最盛期を過ぎた江夏が、阪神からトレードで南海に入団した際、野村はストッパーに起用した。当時は、まだピッチャーの分業制はなく、リリーフ投手は地位が低かった時代、江夏は野村の提案に大反発をしたという。しかし、野村は今後投手の分業制の時代が来るという持論を共に、江夏に対して「リリーフの分野で革命を起こしてみろ」と口説いたという。江夏は、プロとしての挟持を刺激され「革命か、よし分かった」と受け入れたという。野村自身も、この一件で、人づくりの真髄を学んだと語っている。

    野村は書中で、仕事は人間形成の場であると語る。自分は何のために野球をやっているのか、更には何のために生きているのか、何で生まれたのかといった事を常に自分自身も問い、同じことを選手にも聞かせているという。これをなくして、監督の仕事をするのであれば、それはゲームで駒を配置しているだけだと手厳しい。

    ■ 以下印象に残った言葉
    小事は大事を招く (良い意味でも悪い意味でも)
    評価とは自分でするものではなく、他人がするものだ
    3大禁句 満足・妥協・限定

    ■ 個性について
    個性という言葉が、ひとり歩きし若者のメンタリティに忍び込んでいる。ピアスや髪をそめる、挑発などによる「個性」は、わがままな自己満足に過ぎず、内面の拙さや幼さを虚飾によって隠蔽しているだけである。真の個性は、他人による承認があって初めて成り立つものである。軽々しくこの言葉を振りかざすものは、自分の欠点や短所には向き合わず、他人に迷惑をかけていることも気づかずに鈍感に生きている。

    最後に、野村氏自身が野球の日本代表の候補に上がらないことを僻み半分にぼやいていたが、これは上述の”評価は他人がするものである”という主張に反しており、残念であった。

  • 通称「カベ」と呼ばれる、投球練習を受けるキャッチャーの役割で、テスト生から始まった野村の野球人生。その後の選手としての活躍、そして指導者としての名声は日本球界屈指であろう。

    特に指導者としての能力は数ある名将と言われる監督の中でも傑出している。野村のその能力の原点は、観察力と思考力だろう。選手の時代は、対戦相手を徹底的に観察してクセを盗み、自らの能力を客観的に捉え、それに対して対策を考える。指導者となってからは、選手の身体的な特徴から、考え方まで鋭く観察し、相手に合った方法で、その能力を最大限に引き出す。それだけではなく、言葉の大事さを著者も重要な要素であると、書中でも語っている。

    特に面白かったのが、過去に指導した選手たちとのやりとりだ。
    最盛期を過ぎた江夏が、阪神からトレードで南海に入団した際、野村はストッパーに起用した。当時は、まだピッチャーの分業制はなく、リリーフ投手は地位が低かった時代、江夏は野村の提案に大反発をしたという。しかし、野村は今後投手の分業制の時代が来るという持論を共に、江夏に対して「リリーフの分野で革命を起こしてみろ」と口説いたという。江夏は、プロとしての挟持を刺激され「革命か、よし分かった」と受け入れたという。野村自身も、この一件で、人づくりの真髄を学んだと語っている。

    野村は書中で、仕事は人間形成の場であると語る。自分は何のために野球をやっているのか、更には何のために生きているのか、何で生まれたのかといった事を常に自分自身も問い、同じことを選手にも聞かせているという。これをなくして、監督の仕事をするのであれば、それはゲームで駒を配置しているだけだと手厳しい。

    ■ 以下印象に残った言葉
    小事は大事を招く (良い意味でも悪い意味でも)
    評価とは自分でするものではなく、他人がするものだ
    3大禁句 満足・妥協・限定

    ■ 個性について
    個性という言葉が、ひとり歩きし若者のメンタリティに忍び込んでいる。ピアスや髪をそめる、挑発などによる「個性」は、わがままな自己満足に過ぎず、内面の拙さや幼さを虚飾によって隠蔽しているだけである。真の個性は、他人による承認があって初めて成り立つものである。軽々しくこの言葉を振りかざすものは、自分の欠点や短所には向き合わず、他人に迷惑をかけていることも気づかずに鈍感に生きている。

    最後に、野村氏自身が野球の日本代表の候補に上がらないことを僻み半分にぼやいていたが、これは上述の”評価は他人がするものである”という主張に反しており、残念であった。

  • エースというかチームリーダーというものの心構えというか先導力というものの考え方に納得させられました。
    やはりフォア・ザ・チームの精神で、その中で自分の持ち味が最大限発揮できるよう努力することの大切さを説いているところに野村監督ならではの考え方に感服しました。ビジネスの世界にも通ずる考え方は今後、実践していきたいと思いました。

  • さすが。
    人間論というか。

  • 結果を出すためのプロセスにフォーカスすること。真のエースはチームのために働くこと。

  • 楽天時代のエピソードがとても面白かったです。

  • 野村元監督の野球に対する姿勢である。実社会でも十分通じる教訓が書かれてある。とてもためになった。

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著者プロフィール

京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークスに入団。3年目の1956年からレギュラーに定着すると、現役27年間にわたり球界を代表する捕手として活躍。歴代2位の通算657本塁打、戦後初の三冠王などその強打で数々の記録を打ち立て、 不動の正捕手として南海の黄金時代を支えた。また、70年の南海でのプレイングマネージャー就任以降、延べ4球団で監督を歴任。他球団で挫折した選手を見事に立ち直らせ、チームの中心選手に育て上げる手腕は、「野村再生工場」と呼ばれ、 ヤクルトでは「ID野球」で黄金期を築き、楽天では球団初のクライマックスシリーズ出場を果たすなど輝かしい功績を残した。現在は野球解説者としても活躍。

「2016年 『最強の組織をつくる 野村メソッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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