たんぽぽの日々: 俵万智の子育て歌集

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  • 小学館
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093881142

感想・レビュー・書評

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  • 俵万智さんの子育て歌集。
    一つ一つの歌にその歌ができた背景がエッセイとして書かれています。

    この歌集を読むと俵万智さんのとてもいいお母さんぶりがうかがえます。
    その例として、歌はありませんが「あとがき」からお母さんぶりを引用します。

    (前略)
    「もしかしたら、幼稚園のお友だちとは、だんだん会わなくなるかもしれないけど、お友だちだったことは消えないんだよ。お別れするのが寂しいような、いいお友だちに会えて、よかったね。会えたことの積み重ねの上に、今の自分も、これからの自分もいるんだよ」
     そんなことを、ゆっくり話してやると、息子は涙をぽろぽろこぼしていた。はじまったばかりの人生で、これが初めての、意識する「別れ」なのだなあと思う。
    (後略)



    特に気に入った歌を以下に載せます。

    ○たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやるいつかおまえも飛んでゆくから

    ○自分の時間ほしくないかと問われれば自分の時間をこの子と過ごす

    ○あの赤い花がつつじでこの白い花もつつじと呼べる不思議さ

    ○みどりごと散歩をすれば人が木が光が話しかけてくるなり

    ○ぶらんこにうす青き風見ておりぬ風と呼ばねば見えぬ何かを

    ○ぼくの見た海は青くなかったと折り紙の青持ちて言うなり

    ○子の声で神の言葉を聞く夕べ「すべてのことに感謝しなさい」

    • riyumomさん
      まことさんが気に入った句を読んで興味をそそられました。私も子育て中なので共感したりしなかったりで読めるところが楽しそうな気がして。
      ぜひ、...
      まことさんが気に入った句を読んで興味をそそられました。私も子育て中なので共感したりしなかったりで読めるところが楽しそうな気がして。
      ぜひ、探して読んでみます。レビューありがとうございました。
      2023/10/02
    • まことさん
      riyumomさん、初めまして♪

      コメントありがとうございます。
      この歌集は、見開き一頁に一首ずつ歌が載っていて、他は写真と俵万智さんのエ...
      riyumomさん、初めまして♪

      コメントありがとうございます。
      この歌集は、見開き一頁に一首ずつ歌が載っていて、他は写真と俵万智さんのエッセイという、とても、読む人に親切な歌集です。
      是非、探してみてください。
      2023/10/02
  • 何となく図書館で借りたのにじんわりしみた。

    この本の1番目の歌
    機嫌のいい母でありたし
    無農薬リンゴひとかけ摺りおろす朝

    離乳食を作っている場面との事。
    こどもの環境を考えるとき、大事なことはさまざまあるだろうけれど、「おかあさんの機嫌がいい」というのが、一番ではないだろうか。
    と書かれていた。

    これがホント難しい。
    改めて機嫌良く接したいと思った。

  • 歌とそれにまつわるエピソードを見開きで紹介。
    市橋さんの写真付きで更に歌の世界が広がる。
    親子の素敵な関係が歌でこんなに豊かで自由に表現できるのだなあと感嘆しつつ温かい気持ちになれる。
    『心のシャッターを切るように書いてきたので、リアルであることは間違いない』

    好きな歌

    みかん一つに言葉こんなにあふれおり
    かわ・たね・あまい・しる・いいにおい

    親は子を育ててきたと言うけれど勝手に赤い畑のトマト

    クレヨンの一本一本一本に名前書く時四月と思う

    はじめての波はじめての白い砂はじめての風はじめての海

    振り向かぬ子を見送れり振り向いたときに振る手を用意しながら

  • ブクログで知った本。とても良かった。図書館で借りたけど、繰り返し読みたい。
    俵万智さんと息子さんの日常が、写真のように色鮮やかに浮かび上がってくるようだった。
    私の子どもたちは小·中学生で、この本の出版当時の息子さんより大きいが、共感することも多く、「『育てる』というのは、子どもが育つのを手助けするという意味」という言葉を忘れずに日々を大切に過ごしたいと思った。あっという間にたんぽぽの綿毛のように飛んでいっちゃうのだから。

  • 俵さんが息子さんについて書いているものを読むと、
    あー、娘にもっと優しくしてやろう。
    もっとゆったりした気持ちで育児を楽しもう。
    なにもいそがなくていいんだ。
    という気持ちになれる。
    俵さんみたいなお母さんになれたらなあ。

  • 今現在たんぽぽの日々を体験中。今この本と巡り会えた事に感謝。 

  • 何度読み返しても泣いてしまう。
    好きなのは、自分の時間をこの子と過ごすという詩。今しかない子どもたちとの日々を味わいつくそうと思いなおせる私のバイブル

  • 短歌のあとに、それを読んだ時の心情や情景などがとてもよくわかり、そうだったなあと思うと同時に、とても素敵なお母さんと思いました。

    こんな時あったなあとずいぶん年代が違う私も子育て時代を思い返しました。

  • まずタイトルが素敵。

    「たんぽぽの日々、、?」となって手に取った。
    そういうことね…

    わたしもこどもを産んで過ごしているとこんな風に感じられるときが来るのかな、と思うと少しわくわくする。いまのわたしにとっては大好きな彼との日々がたんぽぽのよう。風に吹かれてはすぐにいなくなってしまいそうで心配だけどずっとここにはきっと居られないし、隣で過ごせる時を丁寧に楽しみたいと思った。

  • さくっと読めて、心がじーんと温かくなる子育てエッセイです。
    短歌も、言葉選びがとってもリアルで今子育て真っ最中の身としては、しみじみと共感できます。

著者プロフィール

1987年の第1歌集《サラダ記念日》はベストセラー。歌集に《かぜのてのひら》《チョコレート革命》《プーさんの鼻》《オレがマリオ》《未来のサイズ》《アボカドの種》、評伝《牧水の恋》、エッセイ《青の国、うたの国》など。2022年、短歌の裾野を広げた功績から朝日賞を受賞。読売歌壇選者のほか、宮崎で毎年開催される高校生の「牧水・短歌甲子園」審査員もつとめる。

「2023年 『旅の人、島の人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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