奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち

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著者 : 伊藤氏貴
  • 小学館 (2010年11月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093881630

奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたちの感想・レビュー・書評

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  • 「すぐに役立つことは、すぐに役立たなくなります」

    今でこそ超名門校だが、当時まだ公立校の滑り止めでしかなかった灘(なだ)。冒頭の言を発した教師は、この学校で薄っぺらい文庫本「銀の匙(ぎんのさじ)」一冊だけを3年間かけて読むという型破りな国語授業を行った。やがて教え子たちは、灘に私立初の東大合格者数日本一の栄冠をもたらす。そして今、東大総長・副総長、最高裁事務総長、神奈川県知事、弁護士連合会事務総長・・・要職につき各界で活躍している。伝説とまでうたわれるようになったその教師の名は、橋本武100歳。

    ・橋下武先生は、本当にそんな授業を行ったのか?
    ・具体的に、どんな授業内容だったのか?
    ・なぜ、そのような授業を行ったのか? 
    ・そして、なぜ、結果を出せたのか? 
    ・教え子たちは、今、何を思うのか?

    本書には、こうした疑問全てに対する答えがつまっている。

    何と言っても本書最大の魅力は、教育の本質をとらえた橋本武先生のその手法の紹介だろう。一冊の本をとことん味わい尽くす・・・本書は、そんな橋下武先生の教育スタイルをスローリーディングと呼ぶ。スローリーディングと言っても、単にゆっくり読むのではなく、そこに登場する言葉、情景、心情・・・文字の一言一句を大切にし、丁寧に観察し、”追体験”することを指すのだ。たとえば、主人公が金太郎飴を食べている描写があれば、実際に生徒にも金太郎飴を食べさせ・・・同じ状況を味わいながら読み進める、といった具合である。

    ところで、スローリーディングを知るにつけ、個人的に、ふと、思う。成果を伴った教育というか学問というか・・・そういったものには、一つの共通点があるなと・・・。

    全てのケースに共通するのは「興味を持ち、自ら調べ、自ら体験し、自分の考えを見つける」というプロセスが発生している点である。

    橋本先生のスローリーディングは、まさに生徒にこのプロセスを踏ませる最も有効な手段の1つであるに違いない。しかも、今から遥か70年以上も前にその重要性に気がついて実践していたというのである。還暦をゆうに超える生徒達は、今も立派に生きている。

    ”奇跡の教室”・・・本書を読めばこの言葉が嘘ではないことがわかるはずだ。

    (書評全文はこちら→ http://ryosuke-katsumata.blogspot.jp/2012/12/blog-post_4367.html

  • 橋本先生は、中高生に、「銀の匙」という本を土台にして、子どもたちとともに本の内容を追体験、自由に考えて表現する授業を展開。
    先生の豊かな教養により、授業はいつも横道にそれていく。横道にそれるというより、横道を突き進むと言った方が正確かもしれない。横道と言うと学校で学ぶ必要が無いことの様に聞こえるが、そもそも生徒が学校で学ぶべきことって何だろうか。先生は学習指導要領に書いてあることだけ教えれば良いのだろうか。
    私は学ぶ姿勢や学ぶ面白さを学ぶことが大切だと考える。広く興味を持ち、興味を持ったことを追究してみる。追究する過程で、気になったこともまた追究してみる。それこそが真の学びだと思う。
    橋本先生の授業は私の思い描いていた理想の授業である。題材は違っても、学ぶ姿勢や学ぶ面白さを伝えられるこんな授業をやりたい。

    教育学部 社会科 4年 M.

  • さくっと読めました。
    教育論としてもおもしろい。

    ただ、この授業の内容についてこれるのは、やはり灘の子どもたちぐらいだろうかとも思ったり。

    心がささくれだちな思春期の子どもたちが、銀の匙をどれほど受け入れられるのだろうかということと、昔にはなかった、知的であることを拒否するような傾向が、学力の低下を招くのではないかと思ってみたり。

    ただ、一方でメディアは発達し、ジャンクも含まれるけれど望むものにはたくさんの情報が手に入る。

    興味を持ち、追求し、答えのようなものをつかむには時間がかかるが、答えを得るまでのプロセスに我慢できないことが、最近の子どもの問題だと思うので、エチ先生のようにうまく引き出すことができる、我慢を楽しみに変えられる教師が増えるといいなと思った。

  • 学校でしかできないこと
    それは、みんなで1つの作品を読み合うこと

    その大切さ、そしておもしろさを思い出させてくれる本
    じっくりと1つ1つの言葉を丁寧に
    探究していくその姿はすっごく刺激的。

    エチ先生のような先生
    そういうのもありかなって思います。

  • 『銀の匙』という1冊の本を3年かけて読ませるという授業をした灘校国語教師とその生徒たちの成功を書いた物語。エチ先生の考え方は「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる」という言葉に集約される。すぐに目に見える結果を求め、小手先に走りがちな社会人としては耳が痛い。
    本書を読み終えてもなお疑問がのこるのはなぜ『銀の匙』という本でなくてはならなかったのか?なぜエチ先生はあまたある本の中から銀の匙をそこまで愛したのか?という点である。題材は他の本であっても、そこに愛を注げる先生がいれば奇跡の教室は成立しえたと思う。というわけで銀の匙そのものを読もうという気にはならなかった。
    灘校というと進学校イメージから超詰め込み教育が行われているとかってに思い込んでいたが、こんな授業ならうけてみたいな。

  • 『大物一点豪華主義』

    という概念は

    知っておいたらいいとおもう

    ぼくはかなり重視して生きてて

    たのしい

  • 久しぶりに良い本に出会った。読み物としてとても良かった。
    一つの物語を自分の生活に結びつけて読むと、これほどの実りがあること。考えてみれば当たり前なのだけど、実践できているかと言われると難しい。
    国語だからこそ言葉の意味を調べて分かることが大事だと思っていた。しかし、具体物を見るほうが分かるに決まっている。それで読みを深められたらそれは立派な国語の授業なのだ。
    「国語力を高めたら他の教科の理解も深まる」ところは生徒にも紹介したいと思えた。

    実践の一つに、後輩の国語科教員がやっている「表題をつける」試みと全く同じのがあった。あの行為にはこういう意味とか楽しさとかあるんだと知った。
    ただ、彼の授業だと「楽しい!」までいけていない。その授業の生徒を見ていると、教員が認めた「正答」が出て来るまで何も書かない子も多いからだ。
    機会あれば彼もその実践箇所だけでも読むといいと思う。取り組みは一緒でもやり方が微妙に違うから、授業改善のヒントになるだろう。

  • 昭和9年橋本先生は、教科書を一切使わずに「銀の匙」を教材に3年間、一言一句を読み解き授業を展開していった。久しぶりにこの本を手に取り、「アクティブラーニング」ってまさにこれなのではないかと思わされた。一つの言葉の裏には、広がりがある。詳細に読み込んで行くと、歴史・文化・社会・伝統とつながっていく。受験・受験となるのではなく、一つ一つの物事を丁寧に読み解いていけるって素敵なことだと思う。橋本先生の「すぐ役立つことは、すぐに役立たなくなります」という言葉も非常に共感。自分はどんな国語教師になりたいのか、受験だけに捉われずに熟考していけたらと思う。

  • 明治生まれの橋本武先生が、銀の匙を3年間使って授業をする。そのスタイルを紹介するとともに、それを学んだ学生の今を追跡、授業や今までの生き方を回想している。橋本先生の懐の深さを感じ取ることができ、愛のある授業を垣間見た。このような先生がこれからもいてくれたら。そして我が子も素晴らしい恩師に出会って欲しい。

  • 全国的に有名な進学校、灘校で教鞭をとられたエチ先生こと橋本武先生と、その教え子たち(と言ってももう立派な大人の方々)とのお話です。

    エチ先生の国語の授業は一風変わっていて、教科書は一切使わず、文庫本 『銀の匙』(中勘助著)一冊を読み通す、それのみを勉強するというものです。
    一冊の本の内容を深く掘り下げ、広く脱線し、大きく横道に逸れ、読み込んでいくことで、作品を自分のものにする。
    感性豊かな中少年の生き様を、中学生が三年間をかけて存分に味わうのだそうです。

    教え子たちは異口同音に、国語の授業を通じて、エチ先生から生き方の根源を教わったと、言っておられます。
    エチ先生の教育に対する覚悟と信念、魂は、教え子たちにしっかりと伝わり、彼らの人生の肥やしとなっているのです。

    エチ先生は退職された後、街のカルチャースクールの教壇に立っておられると知り、ぜひ一度講義をお聞きしたいと思いましたが、残念ながら2013年に101歳でお亡くなりになっていました・・・

    図書館スタッフ(東生駒):ほっこり

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    帝塚山大学図書館OPAC
    http://opac.tezukayama-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=1&category-mgz=1&materialid=1100379409

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奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたちの作品紹介

橋本武、98歳。昭和9年、旧制灘中学に赴任。戦後、1冊の文庫本『銀の匙』を3年かけて読みこむ授業を実践。公立高のすべり止めだった灘校を一躍、東大合格日本一へ導く。その後、『銀の匙』の生徒たちはニッポンのリーダーへ。伝説教師の言葉・人生からひもとく脱「ゆとり教育」への解答、そして21世紀に成功するための勉強法『スロウ・リーディング』の極意に迫る。

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