奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち

  • 697人登録
  • 4.13評価
    • (99)
    • (106)
    • (55)
    • (5)
    • (0)
  • 144レビュー
著者 : 伊藤氏貴
  • 小学館 (2010年11月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093881630

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
デール カーネギ...
伊集院 静
大野 更紗
夏川 草介
村上 春樹
村上 春樹
三浦 しをん
池井戸 潤
冲方 丁
有効な右矢印 無効な右矢印

奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたちの感想・レビュー・書評

  • 「すぐに役立つことは、すぐに役立たなくなります」

    今でこそ超名門校だが、当時まだ公立校の滑り止めでしかなかった灘(なだ)。冒頭の言を発した教師は、この学校で薄っぺらい文庫本「銀の匙(ぎんのさじ)」一冊だけを3年間かけて読むという型破りな国語授業を行った。やがて教え子たちは、灘に私立初の東大合格者数日本一の栄冠をもたらす。そして今、東大総長・副総長、最高裁事務総長、神奈川県知事、弁護士連合会事務総長・・・要職につき各界で活躍している。伝説とまでうたわれるようになったその教師の名は、橋本武100歳。

    ・橋下武先生は、本当にそんな授業を行ったのか?
    ・具体的に、どんな授業内容だったのか?
    ・なぜ、そのような授業を行ったのか? 
    ・そして、なぜ、結果を出せたのか? 
    ・教え子たちは、今、何を思うのか?

    本書には、こうした疑問全てに対する答えがつまっている。

    何と言っても本書最大の魅力は、教育の本質をとらえた橋本武先生のその手法の紹介だろう。一冊の本をとことん味わい尽くす・・・本書は、そんな橋下武先生の教育スタイルをスローリーディングと呼ぶ。スローリーディングと言っても、単にゆっくり読むのではなく、そこに登場する言葉、情景、心情・・・文字の一言一句を大切にし、丁寧に観察し、”追体験”することを指すのだ。たとえば、主人公が金太郎飴を食べている描写があれば、実際に生徒にも金太郎飴を食べさせ・・・同じ状況を味わいながら読み進める、といった具合である。

    ところで、スローリーディングを知るにつけ、個人的に、ふと、思う。成果を伴った教育というか学問というか・・・そういったものには、一つの共通点があるなと・・・。

    全てのケースに共通するのは「興味を持ち、自ら調べ、自ら体験し、自分の考えを見つける」というプロセスが発生している点である。

    橋本先生のスローリーディングは、まさに生徒にこのプロセスを踏ませる最も有効な手段の1つであるに違いない。しかも、今から遥か70年以上も前にその重要性に気がついて実践していたというのである。還暦をゆうに超える生徒達は、今も立派に生きている。

    ”奇跡の教室”・・・本書を読めばこの言葉が嘘ではないことがわかるはずだ。

    (書評全文はこちら→ http://ryosuke-katsumata.blogspot.jp/2012/12/blog-post_4367.html

  • 橋本先生は、中高生に、「銀の匙」という本を土台にして、子どもたちとともに本の内容を追体験、自由に考えて表現する授業を展開。
    先生の豊かな教養により、授業はいつも横道にそれていく。横道にそれるというより、横道を突き進むと言った方が正確かもしれない。横道と言うと学校で学ぶ必要が無いことの様に聞こえるが、そもそも生徒が学校で学ぶべきことって何だろうか。先生は学習指導要領に書いてあることだけ教えれば良いのだろうか。
    私は学ぶ姿勢や学ぶ面白さを学ぶことが大切だと考える。広く興味を持ち、興味を持ったことを追究してみる。追究する過程で、気になったこともまた追究してみる。それこそが真の学びだと思う。
    橋本先生の授業は私の思い描いていた理想の授業である。題材は違っても、学ぶ姿勢や学ぶ面白さを伝えられるこんな授業をやりたい。

    教育学部 社会科 4年 M.

  • さくっと読めました。
    教育論としてもおもしろい。

    ただ、この授業の内容についてこれるのは、やはり灘の子どもたちぐらいだろうかとも思ったり。

    心がささくれだちな思春期の子どもたちが、銀の匙をどれほど受け入れられるのだろうかということと、昔にはなかった、知的であることを拒否するような傾向が、学力の低下を招くのではないかと思ってみたり。

    ただ、一方でメディアは発達し、ジャンクも含まれるけれど望むものにはたくさんの情報が手に入る。

    興味を持ち、追求し、答えのようなものをつかむには時間がかかるが、答えを得るまでのプロセスに我慢できないことが、最近の子どもの問題だと思うので、エチ先生のようにうまく引き出すことができる、我慢を楽しみに変えられる教師が増えるといいなと思った。

  • 学校でしかできないこと
    それは、みんなで1つの作品を読み合うこと

    その大切さ、そしておもしろさを思い出させてくれる本
    じっくりと1つ1つの言葉を丁寧に
    探究していくその姿はすっごく刺激的。

    エチ先生のような先生
    そういうのもありかなって思います。

  • 『銀の匙』という1冊の本を3年かけて読ませるという授業をした灘校国語教師とその生徒たちの成功を書いた物語。エチ先生の考え方は「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる」という言葉に集約される。すぐに目に見える結果を求め、小手先に走りがちな社会人としては耳が痛い。
    本書を読み終えてもなお疑問がのこるのはなぜ『銀の匙』という本でなくてはならなかったのか?なぜエチ先生はあまたある本の中から銀の匙をそこまで愛したのか?という点である。題材は他の本であっても、そこに愛を注げる先生がいれば奇跡の教室は成立しえたと思う。というわけで銀の匙そのものを読もうという気にはならなかった。
    灘校というと進学校イメージから超詰め込み教育が行われているとかってに思い込んでいたが、こんな授業ならうけてみたいな。

  • 久しぶりに良い本に出会った。読み物としてとても良かった。
    一つの物語を自分の生活に結びつけて読むと、これほどの実りがあること。考えてみれば当たり前なのだけど、実践できているかと言われると難しい。
    国語だからこそ言葉の意味を調べて分かることが大事だと思っていた。しかし、具体物を見るほうが分かるに決まっている。それで読みを深められたらそれは立派な国語の授業なのだ。
    「国語力を高めたら他の教科の理解も深まる」ところは生徒にも紹介したいと思えた。

    実践の一つに、後輩の国語科教員がやっている「表題をつける」試みと全く同じのがあった。あの行為にはこういう意味とか楽しさとかあるんだと知った。
    ただ、彼の授業だと「楽しい!」までいけていない。その授業の生徒を見ていると、教員が認めた「正答」が出て来るまで何も書かない子も多いからだ。
    機会あれば彼もその実践箇所だけでも読むといいと思う。取り組みは一緒でもやり方が微妙に違うから、授業改善のヒントになるだろう。

  • 昭和9年橋本先生は、教科書を一切使わずに「銀の匙」を教材に3年間、一言一句を読み解き授業を展開していった。久しぶりにこの本を手に取り、「アクティブラーニング」ってまさにこれなのではないかと思わされた。一つの言葉の裏には、広がりがある。詳細に読み込んで行くと、歴史・文化・社会・伝統とつながっていく。受験・受験となるのではなく、一つ一つの物事を丁寧に読み解いていけるって素敵なことだと思う。橋本先生の「すぐ役立つことは、すぐに役立たなくなります」という言葉も非常に共感。自分はどんな国語教師になりたいのか、受験だけに捉われずに熟考していけたらと思う。

  • 明治生まれの橋本武先生が、銀の匙を3年間使って授業をする。そのスタイルを紹介するとともに、それを学んだ学生の今を追跡、授業や今までの生き方を回想している。橋本先生の懐の深さを感じ取ることができ、愛のある授業を垣間見た。このような先生がこれからもいてくれたら。そして我が子も素晴らしい恩師に出会って欲しい。

  • 全国的に有名な進学校、灘校で教鞭をとられたエチ先生こと橋本武先生と、その教え子たち(と言ってももう立派な大人の方々)とのお話です。

    エチ先生の国語の授業は一風変わっていて、教科書は一切使わず、文庫本 『銀の匙』(中勘助著)一冊を読み通す、それのみを勉強するというものです。
    一冊の本の内容を深く掘り下げ、広く脱線し、大きく横道に逸れ、読み込んでいくことで、作品を自分のものにする。
    感性豊かな中少年の生き様を、中学生が三年間をかけて存分に味わうのだそうです。

    教え子たちは異口同音に、国語の授業を通じて、エチ先生から生き方の根源を教わったと、言っておられます。
    エチ先生の教育に対する覚悟と信念、魂は、教え子たちにしっかりと伝わり、彼らの人生の肥やしとなっているのです。

    エチ先生は退職された後、街のカルチャースクールの教壇に立っておられると知り、ぜひ一度講義をお聞きしたいと思いましたが、残念ながら2013年に101歳でお亡くなりになっていました・・・

    図書館スタッフ(東生駒):ほっこり

    ----------
    帝塚山大学図書館OPAC
    http://opac.tezukayama-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=1&category-mgz=1&materialid=1100379409

  • 「すぐ役立たつことは すぐ役立たなくなる」「国語は 学ぶ力の背骨になる」たしかにそうかも。スローリーディングの本なのに 流し読みしてしまって反省。

    1冊の本を 他の知識とリンクさせながら、深く読むことを勧めた本

    中高の国語教育の中で 国語を学ぶ生徒のメリットを 私に 教えてくれた教師は いなかった。こういう教師に出会いたかった

  • 仕事上の知り合いから進められ。

    人にものを伝える(教える)ことの価値観を揺さぶられました。

    灘に興味深々。

  • あたたかな気持ちになりました。先生の言う所の、『結果を出す』が、いい大学にすすむ学力を身につけることではなく、何歳になっても、前を見続けることだというのが最後にのっていて、特に素敵だと思いました。

  •  昭和59年まで50年間、兵庫県の灘中高の教壇に立ち続け、中学3年間は中勘助の自伝的小説『銀の匙』1冊だけを授業で扱うというスタイルを取っていた国語教師・橋本武先生のドキュメンタリー。各界を牽引する存在となった教え子たちへのインタビューを交えて、「エチ先生」の人柄や教室の様子が伝わってくる読み物となっている。途中で齋藤孝などの教育学者が、橋本先生の授業を分析するコーナーが設けられている。
     この読み物の舞台となるのが、戦後の昭和なので、とにかく時代のギャップが結構ある。表紙の写真は最近の子供達に囲まれるものなのに、ページをめくって出てくる写真がいかにも昭和の写真ばっかりなので、この表紙は何なんだ、とか思ってしまった。橋本先生みたいな授業が出来るのは、必要なことはこれでも出来る、という信念があるからだと思う。じゃなければ、「結果が出なければ責任を取る」なんて言えないだろう。
     いくつか共感した部分を挙げると、まず「壁を階段にする力」(p.79)という部分。橋本先生よりも、この本の著者が実は20年間英語教員だったという事実に驚いてしまうが、「単語がわからなくても、文法が難解でも、前後の文脈から類推しようとする。意味がわからない一文があっても、とにかく読み進めていき、後の文章からヒントを探そう、結論から逆算してみよう、などとあれこれ方策を練る。」(p.78)というのが、英語の成績が伸びる生徒、と著者は言っているが、この部分に共感した。おれは高校の時は、「ミクロで攻めて(倒置・省略・挿入を見抜けば文型は取れるはず)、マクロで攻めて(結局この筆者は何が言いたくてこの文を書いているのか)」と自分に言い聞かせて英文を読み砕いていた。あとはこれも橋本先生自身の言葉ではないが、教え子で東大総長の濱田氏の「知識を伝えるのは、一種の『美しいもの』を伝える」(p.160)という部分。知的な興奮を味わせてやる、というのは教える過程における究極のステージだと思うので、こういうステージに到達できる授業者というのになりたいと思った。『銀の匙』を読んだことがないので、また灘という学校も超有名進学校のトップ、という意識しかないので、入り込みにくい部分もないことはないが、全体としては読みやすいエッセイみたいになっている。(15/11/08)

  • エチ先生のことをもっと早く知っていればなあ。高学年では無理かと思っていたが、これはまさに理想に近い「総合学習」だ。

  • 学ぶって楽しいことなんだって伝えてあげられる教師ですね。
    これができる教師に私の人生では出会えなかった。

    私も一冊、基本となる本を作って子育てしてみようかなぁと思ったり。

  • 読みやすい。
    こんな授業ができたならどんなに楽しい日々を過ごせるだろう、と思う。
    文庫本一冊を丸々授業で読み込んでいく、という学習をするには、授業者として、言葉に表せないくらいものすごい大量の教材研究が必要だ。

    教員として、そのくらいの情熱をもって、教材とも向き合いたいし、目の前にいる生徒たちとも向き合いたい。

    大村はま先生のような、強烈なパワーをもつ教師だと思うか

  • 本を読むということは字を読み進めていくだけではないということを教えてもらいました。

    文脈から、なんとなく意味の分かる単語でも実際には分かっていない。

    それを知ることも勉強。

    読めない言葉があっても、つい読むことを優先させてしまう。

    辞書ではなくても携帯で読みを調べたらいいのにね。

    名前は知っている地名だけど詳しくは知らないとこも多々ある。

    そこの特産品を調べたり、今ならふるさと納税をしているか調べてもいい。

    読むスピードの速さや読書量も必要なのかもしれないけど、深く読み進めていく読書をすることも大切なこと。

    自分も橋本さんの授業を受けてみたかったです。

  • 最近とかく話題になっている灘の橋本武先生のお話。
    先日テレビにも出演されていたが、近所にお住まいらしい。
    「銀の匙」も読んでみないといけないかな・・・

  • 灘高校で国語の教師を務めていた、「エチ先生」による三年間で一冊の岩波の「銀の匙」を読むというユニークな授業。

    一つ一つの文章や言葉から横道にそれ、無限に広がる知識と繋がる。

    学力をつけるというのはこういうことを指すのだね。

    先生というのは、叩けば出てくる小槌のように、学生の好奇心に火をつけるような知識や教養をたくさん持ち合わせた大人であるべき。

  • 素晴らしい授業です。

    凧が出てきたら、凧を作ってみるなんて、詰め込み教育の対極ですね。

    体験学習か総合教育とでもいうのでしょうか。

    わからないものを調べ、実物を見て納得し、消化して自分のものにする。

    実はこういうことが出来る人が、社会で仕事が出来る人と呼ばれるんですよね。

    私もこういう授業を受けていたら、少しは勉強が好きになっていたのかも…なんて思ってしまいました。

    今の学校にこのやり方を求めるのは難しいので、家庭で実践してみるといいのでは。

    そういう意味で、お子さんがいる方にオススメ。

    ちなみに「銀の匙」自体はあまり面白い本ではなかったです。

    教育に感心がある方は是非!

  • ゆっくり読む。
    味わって読む。
    それが大事なことって分かりました。

  • 印象に残った言葉:①壁を前にしたときに押したり、引いたり、下から見たり、離れてみたりして壁を階段にする力が大事。②受験勉強は記憶一点張りのツメコミでまかなえるものでなく、観察力、判断力、推理力、総合力などの結集がものをいう。

  • 凄く勉強とは何か。人生とは何かを痛感させられる一冊。モチベーションを凄くあげてくれた。スローリーディングの大切さ。読書量の大切さ。追求することの大切さ。読み込みます。おおおー。凄くいい感じで頭が働いてる。

  • 本当の学力とは、学ぶ楽しさを教えることなんだ、と感じた。
    伝説の灘高校国語教師・橋本武さんの教育現場の追想の本。
    その授業とは、たった1冊のの単行本を、
    3年かけて読む究極のスローリーディングだった。
    教材は、中勘助著「銀の匙」。
    登場人物の見聞や感情を追体験していき、一言一句を丁寧に読み解き、
    そこから膨らませていく授業は、生徒の興味を起こさせるものだった。
    苦学の果てに赴任した名も無き創立したての私学を、
    東大などへ進学させるだけでなく、あらゆる分野で活躍する逸材を育てた。
    子供の探究心を育てることが大切だと感じた。

全144件中 1 - 25件を表示

奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたちに関連する談話室の質問

奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたちを本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたちを本棚に「読み終わった」で登録しているひと

奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたちを本棚に「積読」で登録しているひと

奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたちの作品紹介

橋本武、98歳。昭和9年、旧制灘中学に赴任。戦後、1冊の文庫本『銀の匙』を3年かけて読みこむ授業を実践。公立高のすべり止めだった灘校を一躍、東大合格日本一へ導く。その後、『銀の匙』の生徒たちはニッポンのリーダーへ。伝説教師の言葉・人生からひもとく脱「ゆとり教育」への解答、そして21世紀に成功するための勉強法『スロウ・リーディング』の極意に迫る。

ツイートする