日本の未来について話そう

制作 : マッキンゼー・アンド・カンパニー 
  • 小学館
3.69
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本棚登録 : 906
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093881890

作品紹介・あらすじ

復興への希望や、目指すべき未来への道筋など、愛情に満ちた筆で描かれた日本再生への提言。

感想・レビュー・書評

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  • 惜しい本。様々なオピニオン・リーダーが、日本のこれからについて語ってくれているのだが、どうも刺さらない。
    理由はなにかな、、と考えてみると、既に日本に対しての依存心がなくなってきている自分に築く。

    他のお題で読んでみたい。皆さん数字を根拠にしているところは印象的。出来るところは定量的に!

  • 日本経済は、独特の社会主義経済の側面を持っている。

    江戸時代の終焉、戦争の終結など、日本の改革の多くは、既得権益についていた旧体制派を一新し、その後新しいエリートが同じ利益誘導型政治と派閥ヒエラルキーにつく、といったことを繰り返している。これが硬直化と日本の若者のチャレンジ精神を奪った。
    →経済的、社会的に、外界に対して門戸を開き、起業意欲を持つ外国人が日本に乗り込んでくるのを奨励すれば、日本にもまだ未来はある。

    日本は変化にあらがうため、改革がやりにくいという人もいるが、それは間違い。
    日本に変革を起こすには、
    ①変革をシンプルにする
    ②しっかりと説明を行う
    ③人々の気持ちを変革に向けさせる必要がある
    一度理解すれば実行は早い。

    政府と経済界が結びついて協調路線を取る姿勢が、日本経済の随所に見られる。

    GHQによる憲法草案が未だに改正されないのは、日本人の「反軍思想」によるものであり、この遺産が、緊密かつ非対称という特異な性格を有する戦後の日米安保条約に翻弄され、歪められてきた。

    「国際化」は資本輸出や対外援助だけに限定できる、と日本人の多くは考えており、安全保障を視野に入れていない。

    日本の成長のカギを握るのは、ICT化による生産性向上と、輸出(特に最大の輸出相手国である中国)との貿易と直接投資。
    失われた20年を受け、「日本経済は特殊」とする見方があるが、欧米諸国も、バブル崩壊等の金融ショック時には同じ現象が起こる。
    しかし、日本経済の場合は「大不況」が長期化したことに特徴があり、これは明らかにマクロ経済政策や金融政策の誤りによるもの。
    日銀の利下げの遅れ、消費税の引き上げ、財政刺激策の弱さ、不動産融資の焦げ付きなど。

    逆に、2002~2008にかけては経済が回復した。ここでは労働者一人当たりの生産性向上率は、G5中1位だった。
    ここにおいて日本の経済構造問題はそこまで危惧すべきことはないが、最大のリスクは、、日本の政治家達が、自国の潜在成長率を過小評価し、税収不足を危惧する余り角に金融・財政政策を引き締めてしまうことだ。
    ①政府の誤った認識により潜在的成長率gは低く見積もられ、実際に低迷してしまうこと
    ②労働力不足や設備投資の抑制が長引いた結果、本当に供給能力が損なわれること。
    →2000年代は、誤ったマクロ政策が改善されたら景気は好転したのだから、過度に悲観的になる必要はない。
    多くの女性に労働市場を開放し、サービス業の自由化を進め反故産業を国際的自由競争の世界に解き放つことができれば、日本経済は成功していくだろう。

    【数字で見る日本の競争力】
    ビジネス洗練度→世界のリーダークラス。流通・原材料生産のインフラは世界トップレベル。特許数も米国の次に多い。
    しかし、マクロ経済環境は世界105位。男女格差、高齢化、法人税率の高さ、政治家に対する信頼度などが低い。

    何故若者がキャリア選択に保守的になったのか?→若者を取り巻く労働環境が変わったのに、日本企業の雇用慣行がまったく変わっていないから。
    終身雇用システムが崩壊し、企業が必要なときにのみ雇用される「流動的」雇用者が増えたのに、新卒一括採用、正社員と非正社員の賃金格差など、安定を得るためのチャンスが一度しかない。安定を得られた正社員は、そのまま既得権益に一生しがみつけるが、チャンスを逃した非正社員は、這い上がる道を失くしている。

    日本人が海外に出なくなった理由→日本が居心地のよい場所になりすぎたから。
    安定志向とリスク回避
    しかし、外国に出なければ、台頭するアジアの新興国により、日本の存在感がどんどん希薄化されていく。
    サービス経済の国際化、世界に開かれた大学、アジア同盟の締結等々。。。

    日本が保有する外交カード
    ①ソフトパワー(他国の協力を、軍事力や経済援助に頼ることなく取り付ける能力):人気で信頼できる国
    ②高度な民主主義の進んだ国
    ③海洋国家との戦力的関係を強化できる

    日本はWTOなど、一部の国際会議の場で重要な力を発揮できていない。
    国際会議で日本に好感を持ってもらう必要性を意識する。大臣任命の際には、派閥のバランスを考えずに、トップレベルの有能な人材を選ばなければならない。農産物の防衛障壁の撤廃、集団的自衛権に関する改憲など。

    教育に求められるいちばん大切なことは、独立した精神を持って自分で思考する力である。
    また、課題を見つけたら、結論を見出して解決策も構築するような態度や習慣を身につけること

    【教育改革】
    日本の学生は情報処理力は高いが、情報編集力はない。教育改革は教育技術をよりよいものとすると同時に、マネジメント(校長の民間登用など)をする必要がある。

    【日本のロードマップ】
    余剰能力の削減(人材削減や事業の売却)、より高い目標を目指す成果主義の実現、企業家精神の発達を目指した官民の協力体制、教育改革(自立志向、グローバル・シチズン、大学との連携)、高齢者ビジネスの開発、アジア諸国との協力強化

  • 社会
    ビジネス

  • 孫正義、柳井正、カルロス・ゴーンをはじめ、ボビー・バレンタインや岡田武史など著名人から日本の将来についての熱い提言集
    震災前から企画されていたらしく、幅広く日本の将来について語られている
    正反対な意見同士もあえてそのまま載せられており、良し悪しは読む側に委ねられているのが面白い。
    「海外志向を持つこと」「女性をもっと採用すること」が共通してよく出ていた提言。

    ・政府が正しい対応をしない場合、事業者が率先して必要なサービスを提供すべきであるという新しい発想(セブンイレブン・ローソン)
    ・日本でダイバーシティを推し進めるならばもっと女性を採用すること
    ・日本企業の多くは「最高財務責任者(CFO)」がいない
    ・時間をかけてビジョンを作り、それをシンプルに説明し、人々にとって意味のあるものにするべし
     →資生堂「日本をオリジン(起源)とし、アジアを代表するグローバルプレイヤーになる」
    ・日本国民の貯蓄は「郵便貯金」などに預けれられていたため国内外を問わず新しいエネルギーには流れなかった
    ・以前の取締役会:社員が入念に準備した資料を40分かけて読み、その後10分コメントを述べる
     現在の取締役会:会議前に十分に資料を読み込んでおき、会議はほとんどディスカッション(資生堂)
    ・海外経験は上級幹部職を目指す人材の必須条件(P&G)
    ・新規開発案件で社外の企業や提携先が何らかの形で参加しているのがほとんど(コネクト&デベロップ<P&G>)
     →競合、消費者、起業家、学術機関、発明家と幅広い
    ・少子高齢化を世界で最初に迎える日本は、「介護ビジネス」のノウハウを得る事で世界から必要とされる国になる(島耕作作者 弘兼憲史)
    ・孤独な育児が2人目の出産意欲をなくす(小室淑恵)
    ・人間開発指数(HDI)8位、女性活躍度指数(GEM)59位
     →これだけの差がある国は先進国では他にない
     →女性の潜在労働力を使えていない
    ・「自ら機会を創りだし、機会によって自らを変えよ」:リクルート社スローガン
    ・「クールジャパン」クールを自称する経済産業省はまるでテティーンエイジャーの娘の友だちに受け入れてもらおうとして
     彼らのスラングをでたらめに使う中年の父親のように浮いてしまう
     →クリエイティブツーリズム(技術への情熱)を日本の新たなブランドにすべし(クリストファーグレイブス)
    ・フォードストーリー(HP)はお手本サイト
     →アクセスしたファンが刺激を受けて自分のストーリーを語りだし、自分でもコンテンツを創造し始めるサイト
     →人口統計に基づく顧客層やグループの設定に加えて、消費者自らの情熱からつながりが生まれているオンライン上のグループにも注目すべき
    ・俵屋の精神は300年変わらないが、その精神を受け継ぐためにスタイルは変えていかないといけない(京都 俵屋旅館 11台目女将佐藤さん)
     →伊勢神宮が20年ごとに建て替えられるのと同じ
     →宮崎駿:広重が使ったプルシャンブルーを用いて、神道の教えを取り入れてアニメ映画を制作した
    ・グローバル化という均質な時代だからこそ、ローカルであることが新しい、特別な力を持つようになった
    ・「アウトサイド・イン」思考でイノベーションの成長を促す

  • もっとリスクをとる日本人を増やすための、自分が積極的にリスクをとっていこうと思えた一冊。

  • ようやく読了。執筆者は様々。処方箋も様々。共通してるのは今決断して実行しないとヤバいという空気。ポストラグジュアリー論とか秋田犬の気性とか、面白いネタは色々あります。マッキンゼーがアムウェイとは意外でした。約10年前の提言、広く深く受け止められはしなかったようで。

  • マッキンゼー責任編集という形でビジネス的な有名人54名の「日本再生への提言」をまとめた本。
    東日本大震災のあった2011年の秋に出版で、震災からの復興もふくめた日本再生に対する各人からのメッセージとなってます。

    とりあえず柳井さん、孫さん、ワークライフバランスの小室さん、島耕作の引兼さんからのところを丁寧に読了。あとはパラ読み。
    印象に残ったのはカルロス氏の「日本人のサービス品質の高さ、プロセスを重視するところ、カイゼンのスピリットは素晴らしい、自信を持って世界にでるべき」という主旨のメッセージ。
    ちょうどいま会社の研修の一環で改善プロセスの勉強と実践に取り組んでるところで、日本人的なカイゼンとアメリカ的なカイゼンの違いの面白味を感じているところ。

  • 切迫早産で入院中、なんだか急に大極的に物事を考えたくなって(ホルモンバランス?)たまたま電子書籍で発見したのが、この本。

    ユニクロの柳生さん、DeNAの南場さん、ソフトバンクの孫さん、日産のカルロス・ゴーン、サッカーの岡田監督から海外の知見者まで。
    色んな人が日本の未来を明るくするには?というお題で意見を述べてます。

    日本の未来を明るくするのは若者しかいないと思うし、私たちが真剣に向き合って本気で考えないと、いつまでもこの閉塞感は変わらないと思うから。。

    ぜひ若い人たち(もちろん、私たち世代含む)に一回読んで考えてもらって議論したいな、と思う本でした☆

    時間のあるときに読んでみてください(^^)
    特に熱い人、オススメ。
    熱すぎる人、アドレナリン出るから注意☆

  • 別に、全然、こんなの読みたくなかったなぁ、ていう、そういう本でした。その語り口かよ、ていう。そういうの、いらない。(13/4/3)

  • 経営者、作家などの有名人による日本への提言。今まで読んだことがない人もいて、もっと読んでみたいと興味が湧きました。
    それぞれの内容は、不思議と共通する項目が多い。ひとつひとつの文章がコンパクトで読みやすく、わかりやすい言葉て書かれているのはさすがだと思いました。わかりやすいだけで、随分読みたい気持ちになります。高校生や大学生にも読んで欲しい内容です。これからの時代を作る人に。また、会社や行政の上の方の人たちにも。どうしたら、これができるのか?失われた20年のあとの、これからの20年が楽しみです。

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