いまだから読みたい本――3.11後の日本

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制作 : 坂本 龍一  編纂チーム 
  • 小学館 (2011年7月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093881982

いまだから読みたい本――3.11後の日本の感想・レビュー・書評

  • 2011年8月1日発行である。最も早い時期に発刊された震災関連の「真摯な」単行本かもしれない。アンソロジーだが、内容の紹介よりも【目次】を見る方が最も適切な紹介になっている気がする。

    【目次】
    (巻頭詩)大男のための子守唄(茨木のり子)/心に響いた言葉たち(坂本龍一)/母なる樹(竹村真一)/リオの伝説のスピーチ(セヴァン・カリス=スズキ)/きぼう(ローレン・トンプソン)/震災後一五〇日(中井久夫)/津波と人間(寺田寅彦)/現代における人間と政治(丸山眞男)/戦争責任者の問題(伊丹万作)/「われ=われ」のデモ行進(小田実)/なぜ交換船にのったか(鶴見俊輔)/被爆地に夫を捜して(吉部園江)/チェルノブイリの祈り(スベトラーナ・アレクシエービッチ)/アトムの哀しみ(手塚治虫)/イシュマエル(ダニエル・クイン)/倚りかからず(茨木のり子)/七世紀の掟(管啓次郎)/先住民族指導者シアトルの演説

    引用を始めたら、キリがなくなるのは判り切っている。それでも、いくつかを記す。

    私の世代には夢があります。いつか野生の動物たちの群れや、たくさんの鳥や蝶が舞うジャングルを見ることです。でも、私の子どもの世代には、もうそんな夢を持つこともできなくなるのではないか?あなたたちは、私ぐらいの歳のときに、そんなことを心配したことがありますか?(リオの伝説のスピーチ/セヴァン・カリス=スズキ12歳1992)

    「だまされていた」といって平気でいられる国民なら、おそらく今後何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによってだまされ始めているのにちがいないのである。(戦争責任者の問題/伊丹万作1946)

    一方、アトムの動力源は元は原子炉だったことをあげつらい、アトムを原子力推進派に分類しようという輩がおり、アニメ「アトム・ザ・ビキニング」でその議論は再燃しているのだが、私はあえて言いたい。手塚治虫は、明確に反原発の立場に立っていたと。ドラえもんを見よ。22世紀ではどら焼きなどの質量をエネルギーに変えているだけで放射能など出ない設定になっている。アトムも80年代のアニメでは核融合反応でエネルギーを引き出すように変わっている。何よりも、チェルノブイリのあとに手塚はこう述べている。

    ぼくの代表作と言われる「鉄腕アトム」が、未来の世界は技術革新によって繁栄し、幸福を生むというビジョンを掲げているように思われていることです。「アトム」はそんなテーマで描いたわけではありません。自然や人間性を置き忘れて、ひたすら進歩のみをめざして突っ走る科学技術が、どんなに深い亀裂や歪みを社会にもたらし、差別を生み、人間や生命あるものを無残に傷つけていくかを描いたつもりです。(略)つまり「鉄腕アトム」で描きたかったのは、一言で言えば、科学と人間のディスコミュニケーションということです。(ガラスの地球を救え/手塚治虫1989)

    こういうときだからこそ、心にひびくたくさんの言葉を集めて、少しでもだれかの役に立てばと願っています。(心に響いた言葉たち/坂本龍一2011.6.25)

  • <閲覧スタッフより>
    もともと環境問題に取り組んできた「教授」こと坂本龍一。3.11によって、これまで信じて疑わなかった「日常」の脆さを痛感した私たちに、いま、どんな言葉が必要か。先人たちの言葉のなかに「教授」が読み取ったものとは?

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    所在記号:019.9||イマ
    資料番号:20098778
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  • だますだけでは戦争は起こらない。騙すものと騙されるものとがそろわなければ戦争は起こらない。戦争の責任もまた当然両方にある。騙された者の罪は、ただたんに騙されたという事実そのものの中にあるのではなく、あんなに無造作に騙されるほど批判力を失い、思考力、信念を失う。

  • いかにもオサレっぽい装丁に、あまり期待せずに最初のページを開けてみたら、茨木のり子さんの「大男のための子守唄」にいきなりノックアウトされた。
    「どこかがひどく間違っている/間違っているのよ」という直感に導かれるようにして、さまざまな時代と場所から集められた文章たち。こんなに薄い本なのに、密度の濃いヘヴィ級の言葉が詰まっている。
    なかでも、ここで知ることができてほんとうによかったと思えたのは、伊丹万作「戦争責任者の問題」、丸山真男「現代における人間と政治」、そして「先住民指導者シアトルの演説」だ。どれも、私たちが生きている社会の恐るべき倒錯を指摘するだけではなく、そこで生きるものの個人的責任と集合的責任について語っている。国や東電や、「何も考えてないやつら」の責任ではなく、私は今何をすべきなのかと考えつづけるためのヒントが見つけられる本。図書館で借りたけど、やっぱり買いに行こう。

  • (2012.10.28読了)(2012.10.26拝借)
    【東日本大震災関連・その105】
    かみさんの本棚から拝借しました。色んな本を読む人です。
    坂本龍一さんとその周りの方々が、震災後に、あの本、この本とつぶやいた物のなかから、編纂チームで選んだ本の一節を集めて編集した本です。
    チームのメンバーは、坂本龍一・荒川祐二・伊藤亮一・熊谷朋哉・空里香・牧村憲一・吉村栄一です。坂本さん以外は知りません。
    後ろに、「さらに読みたい人のために」ということで、チームの各人のお勧めが掲載されています。

    【目次】
    巻頭詩 大人のための子守歌  茨木のり子(詩人)
    心にひびいた言葉たち  坂本龍一
    母なる樹  竹村真一(文化人類学者)『宇宙樹』
    リオの伝説のスピーチ  セヴァン・カリス=スズキ(環境運動家)『あなたが世界を変える日』
    きぼう  ローレン・トンプソン 『きぼう―こころひらくとき』
    震災後一五○日  中井久夫 『清陰星雨』
    津波と人間  寺田寅彦(物理学者)
    現代における人間と政治  丸山眞男(政治学者)『現代政治の思想と行動』
    戦争責任者の問題  伊丹万作(映画監督)
    「われ=われ」のデモ行進  小田実(作家)『べ平連―回顧録でない回顧』
    なぜ交換船にのったか  鶴見俊輔(哲学者)『思い出袋』
    被爆地に夫を捜して  吉部園江 『ピカ―益田からのヒロシマ・ナガサキ』
    チェルノブイリの祈り  スベトラーナ・アレクシエービッチ(ジャーナリスト)
    アトムの哀しみ  手塚治虫(漫画家)『ガラスの地球を救え』
    イシュマエル  ダニエル・クイン
    倚かからず  茨木のり子(詩人)
    七世代の掟  管啓次郎(比較文学者)『野生哲学―アメリカ・インディアンに学ぶ』
    先住民指導者シアトルの演説
    作者紹介
    さらに読みたい人のために
    あとがきにかえて  吉村栄一

    『きぼう―こころひらくとき』と『ガラスの地球を救え』は、既読ですが、内容を忘れてしまっていました。他の本は、以前から気にしている本もありますので、機が熟したら読んでみたいと思います。

    ●津波(32頁)
    こんなに度々繰り返される自然現象ならば、当該地方の住民は、とうの昔に何かしら相当な対策を考えてこれに備え、災害を未然に防ぐことができていてもよさそうに思われる。これは、この際誰しもそう思うことであろうが、それが実際はなかなかそうならないというのがこの人間界の人間的自然現象であるように見える。
    ●戦争中の服装(50頁)
    もともと、服装は、実用的要求に幾分かの美的要求が結合したものであって、思想的表現ではないのである。しかるに我が同胞諸君は、服装をもって唯一の思想的表現なりと勘違いしたか、そうでなかったら思想をカムフラージュする最も簡易な隠れ蓑としてそれを愛用したのであろう。
    ●国(69頁)
    法律上その国籍をもっているからと言って、どうしてその国家の考え方を自分の考え方とし、国家権力の言うままに人を殺さなくてはならないのか。わたしは、早くからこのことに疑問をもっていた。同時に、この国家は正しくもないし、必ず負ける。負けは「くに」を踏みにじる。そのときに「くに」とともに自分も負ける側にいたい、と思った。
    ●チェルノブイリ、三日間の疎開(79頁)
    疎開の準備をするように一日中ラジオが伝えていました。疎開は三日間、その間に洗浄され、検査が終わるんだと。子どもたちは教科書を必ず持っていくように言われました。
    ●鉄腕アトムのテーマ(83頁)
    自然や人間性を置き忘れ、ひたすら進歩のみをめざして突っ走る科学技術が、どんなに深い亀裂や歪みを社会にもたらし、差別を生み、人間や生命あるものを無残に傷つけていくかをも描いたつもりです。
    ●放射能や薬害(8... 続きを読む

  •  3.11を機に、改めて読んでみようという本からの一部抜粋集。
    評論・詩など、昭和の三陸大津波の後の各界の提言や、学生運動・反戦運動などのころの発言etc。

  • 3・11を通して皆それそれの体験をしたと思う。僕にとっても異常であり、異様かつ未知の恐怖体験でした。大地震に続き、多くの命を飲み込んだ未曾有の大津波、そして迫りくる目に見えない死の灰。毎日恐怖におののいてネット上でニュースを漁っていました。
    この本には様々なソースから集めた力強いメッセージが入っています。残念な事に抜粋集という形式を採っているため、それぞれの文章のトーンに濃淡があり、テーマもまちまちのため、唐突で入り込むのに難儀しました。巻末のコレクション一覧とコメントを見て解った事には、総勢7人の編集者が寄ってたかってそれぞれのコレクションを集めて偏さんしたものであるということ。なるほどやや統一性に欠けるわけです。

  • ■2012.02 TV

    エディション: 単行本
    出版社: 小学館
    出版日: 2011/7/27

  • 震災後だからこそ読むべき本、心にとめておきたい文章、教訓とすべき言葉の数々が紹介されている本です。
    物理学者で随筆家の寺田寅彦の「津波と人間」についての文章には驚かされました。その他、私の好きなセヴァン・カリス=スズキの伝説のスピーチや、手塚治虫さんの言葉も紹介されています。
    とても考えさせられる本でした。

  • 請求記号:908/Sak
    資料ID:50062432
    配架場所:図書館入口横 め・く~る

  • この本を入口にして、もっと深いところへ進もうと思う。

  • 寺田寅彦の分は、他のところで読み終わっている。それ以外は興味をひかれなかった。

  • 本屋さんの棚で。グググ~っと吸い寄せられて購入した1冊。言葉に飢えてる自分っていったら大袈裟だけど。311以降、「言葉」に対しての感じ方、見方・・・とかがどこか変わった気がしてて。言葉に飢えてる自分が何か得られたらって。そんな思いで読んでみた。難しいこともたくさん書いてあるけど、全てではなく、自分のとって大切なこと、必要なことを少しでも与えてくれる「言葉たち」と出逢えるきっかけになればいいのでは?

  • 3.11そしてフクシマの事態を前にして、坂本龍一らが
    いまだから読みたい、読むべき本を引用とともに紹介している

    いずれも、先人というにふさわしい昔の人なんだけれども
    太平洋戦争の受け止め方、その後の高度経済成長の見すえ方など
    重たいけれど傾聴すべき本が多く紹介されていた

  • 難しい内容もあったけど……何十年も前の文章が今この状況で心に迫る。言葉の力を感じるとともに、人の進歩もないような気もした。
    昔仕事上でつきあいのあった大好きな先生の文章が載っていて、とても懐かしかった。

  • 今だから読んでよかった。寺田寅彦の言うように、同じことは未来において何度となく繰り返されるだろう。七世代の掟を念頭に進まなければ!

  •  ポスト3.11の世界について考えるためのアンソロジー。それぞれ短文なので、これだけ読んでも?な文章もあるけど、これをきっかけに興味をもった人物も多数。巻末のブックガイドも役に立つ。

  • 確かに3.11から自分の意識が変わった。イデオロギーとか関係なく、災害に直面した際に出てくる感情はもっと根源的なもの。テクノロジーの発達は自然に近づいているが、まだまだ遠い。それに気づかないのは傲慢なんだろう。

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