逆説の世界史 2 一神教のタブーと民族差別

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著者 : 井沢元彦
  • 小学館 (2016年5月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093884679

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逆説の世界史 2 一神教のタブーと民族差別の感想・レビュー・書評

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  • 宗教について解説してくれるのはありがたい。

  • イスラム教について参考になる点が多かったし、最後に中東戦争と歴史的背景の整理がされているのも勉強になった。

  • 本から離れていたから、読み始めるには重い感じ。でもずっと、宗教、とくにユダヤ教は興味の範囲。でもこの本は、微妙にキリスト教、イスラム教が多かった。興味深い本でした。

  • 新年(2017)になって最初に読破した大部の本(300頁超)は、逆説の日本史シリーズでお馴染みの、井沢元彦氏の書かれた「逆説の世界史2」です。

    この本のテーマは「一神教のタブーと民族差別」です、私の受け取ったメッセージは、元々は同じ神を信じている、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教が、経済発展にどのように貢献・障害となったのか、です。

    世界の主要三宗教の違いを解説した本をある程度読んできましたが、なぜ、キリスト教国が近代になって、イスラム教国に対して有利になったのか、逆に言えば絶大な力を持って世界を制覇していたイスラム社会(オスマン帝国)が、なぜ西欧諸国に圧倒されることになったか、私なりの解答を得ることができたのが、この本を読んだ成果でした。

    資本主義を支える考え方、経済を発展させるうえで必要となる金融業(利子をとることの正当性)について、どのように宗教の考え方と折り合いをつけれたかがポイントだったと思いました。ユダヤ教徒が差別されていた経緯も、それが良いかどうかは別にして理解できました。

    以下は気になったポイントです。

    ・世界三大宗教は、仏教・キリスト教・イスラム教である。民族を超えて世界中に広がっている世界宗教であるから(p8)

    ・世界史を知ることの根本に、宗教を知るということがある(p9)

    ・輪廻とは、人間の生命は消滅しないということ、死んでも何等かの別の生命体に生まれ変わる。動物や昆虫になる場合もある、その次の生を決定づける要因は、道徳と結び付けられ、生前に良い行いをした者は高貴な者に生まれ変わり、悪行を行った者は、下等な生命体に生まれ変わる(p13)

    ・神が天地創造を行った後、第7の日ひそれを完成させ休息に入ったため、その日を聖別し祝福したことに基づく。現在全世界で行われている日曜日を休日とする習慣はこの安息日に由来する(p45)

    ・旧約聖書に書かれている4つの獣は、バビロニア・メディア・ペルシア・ギリシアの4大帝国とされている(p97)

    ・自分は絶対の正義であり、反対するものは絶対悪と決めつける、というのが一神教の大きな特徴(p103)

    ・仏教の仏と神道の神は8世紀の奈良時代から習合(統合)の風潮が始まり、10世紀の平安時代になると、仏と神は根本的に同体であるという、本地垂迹説が、仏教と神道が融合した「日本教」というべきものの主体となった(p104)

    ・キリスト教神学者(アウレリウス・アウグスティヌス)が自殺を悪と考えた理由として、1)自分を殺すことは他人を殺すことと同じ、2)神への真の信仰心を持つ人間なら絶望しない、3)自殺したら、神の前で行いを悔い改められない、4)自殺という罪によって別の罪を避けようとする態度は許されない(p119)

    ・中国の場合は、皇帝以下、貴族から庶民まですべて順位がつけられる社会であり、平等ということはあり得ないし、一人一票もあり得ない(p141)

    ・世界中でナチスドイツの民族浄化政策を受け継いでいるのは、旧ソ連と、その消滅後は、中国のみ(p144)

    ・儒教の世界において、孔子の例では、「父親の無罪を勝ち取るためには裁判でウソの証言をしても構わない」となるし、孟子の例なら「たとえ最高権力者でも国法に従って父を罰することようなことがあってはならない」となる(p148)

    ・福音とは、ギリシア語「エヴァンゲリオン」に由来する言葉で「良い知らせ」=朗報を意味する。イエスの4人の弟子(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)が福音書という形でまとめた、BCは、Before Christであり、ADは、Anno Domini(ラテン語で、主イエス・キリストの年代)である(p153)

    ・クリスマスイブ、つまり前夜も重要な祭日とされているのは、昔は1日の始まりが、朝ではなく日没だったから。冬至を祝うという習慣は、これをどん底として、日はだんだん長くなり、太陽の力が復活していくと考えられたから(p155)

    ・キリスト教最大の祭典は、復活祭である、イエスは処刑されたが、3日後に死から復活して「神であることを証明した」、こちらの方がこの世に降誕(クリスマス)よりも重要であるとされている(p155)

    ・三位一体説(アタナシウス派)とは、神は、父と子と聖霊という3つの形を持つように見えるが、実際には一つの実体である、それに対して、すべてを創造した創造主である神は唯一「父」のみであり、当然「子」なるイエスは天地創造前には存在せず、神の創造物で、イエスの地位は「神の養子」と解釈する、アリウス派もあった(p204)

    ・邪教がキリスト教とはまったく違う宗教であるのに対して、同じキリスト教の枠内で正しくないとされた教義が異端である、325年のニカイア会議以降は、ほとんどの宗派が三位一体説を正統とした。後にカトリックと分裂した、東方正教会、独立したプロテスタントもそのまま採用している(p206)

    ・キリスト教が成立して数百年後、紀元7世紀に、預言者ムハンマドは、唯一絶対の神である、アッラーから、「三位一体などあり得ない」という内容のメッセージを受け取った、これがイスラム教のはじまり。(p212)

    ・ウマル率いるイスラム勢力は、ササン朝ペルシア帝国と、ローマ帝国の後継者ビザンツ帝国との激しい消耗の中、漁夫の利を得る形で両軍を撃破した。エルサレムも支配下においたが、ローマ帝国によってユダヤ民族が追放されてから、キリスト教徒の聖地となっていたが、ウマルは、両者(キリスト教徒、ユダヤ教徒)に対して、殺戮せずに税を取り立てた。これによりエルサレムは、三宗教が混在する場所になった(p250)

    ・イスラム教徒にとって、エルサレムは、これ以降、メッカ、メディナに続く、第三の聖地となった(p250)

    ・イスラム教が重視するのは、「六信」と「五行」である。(p262)

    ・西ヨーロッパは、ローマ教皇が聖職者組織の頂点に立ったが、東は何人かの総主教がいわば「教区」を、分割統治した。ここに至って、ローマ帝国の言語であったラテン語は、それぞれの地方の方言に吸収される形となり、イタリア語・フランス語・スペイン語となった。一方、ゲルマン人の言葉は、その勢力の強かった地方ではスタンダードな国語に変化した、英語・ドイツ語・オランダ語である(p285)

    ・後に蒸気機関を開発し、その力で世界を植民地化した欧米諸国は、現在までの勝者であるが故に、昔は中国やイスラム帝国に、学問や化学技術ではるかに及ばない時代があったということを封印したい、その偏見は、相手を「無信の徒」と見る感覚があるからだろう(p292)

    ・十字軍が始まって以来、キリスト教陣営がエルサレムを確保できた期間は、1099-1187,1229-1244までの103年間である、これ以降、20世紀に至るまで、エルサレムはイスラム教徒が支配した(p322)

    ・イスラム教世界は停滞し、キリスト教世界が発展するようになった分岐点は、オスマン帝国がイスラム帝国としての支配権を固めた1517年とする見方がある(p330)

    ・中世に古典としての聖書を研究するにはギリシア語の聖書が必要で、しかもギリシア語を学ばねばならない。それを欧州からの留学生に提供し、教授したのは、イスラム帝国のムスリム学者である(p337)

    ・オスマン帝国、サファヴィー朝、ムガル帝国が鼎立した16-18世紀あたりは、まさにイスラム帝国の時代であり、世界の中心部をイスラムが治めていたと言っても過言ではない(p338)

    ・ユダヤ教、キリスト教、イスラム教では、「人に金を貸して利息を取ること」は、まさに極悪人の所業である。現在でも人は、自分の親兄弟に金を貸しても、通常は利息を取らないのと同じ。この考え方で、ユダヤ教徒は、キリスト教徒相手なら金融業ができることになる(p354)

    ・近代資本主義が有効に効率的に運営されるためには、1)利益の正当化、2)流通、3)金融が必要、金融とは利息をとって利益をあげる(不労所得)ことができるか(p351)

    ・カトリックの「ラテラン公会議」@1179、公正な金利上限を年33.5%とした、これ以上は高利貸しとなり悪徳になる(p355)

    ・第一次中東戦争は、1948年5月14日に、イスラエルの独立宣言をきっかけに、独立に反対するアラブ諸国(エジプト、サウジアラビア、イラク、トランスヨルダン、シリア、レバノン)が攻撃を開始したことで始まった(p368)

    ・ナチスのユダヤ民族大虐殺を暗黙に支持する反ユダヤ感情がドイツだけでなく、ドイツとは敵対していた欧州諸国にもあったという事実がある(p370)

    ・労働は尊いもので、それ故に生じた利潤も尊いというプロテスタントの考え方は、イスラム教徒にとっては神の教えを蔑ろにする冒涜となる。人間が主体となり神の教えを「改変」していったからこそ、神から独立した形の科学、近代資本主義、民主主義が生まれ、キリスト教を信じない人にとっても、これらのシステムは受け入れられた、このパワーにより、キリスト教世界はイスラム教世界を圧倒した(p381)

    2017年1月8日作成

  • キリスト教とは一口に言えば、約2,000年前にいたユダヤ教世界の中に生まれ、いちどは死んだイエスが死から復活したと言う奇跡を認め、イエスを人間でなく唯一の神と信じる宗教のことだ

  • 逆説の世界史、2巻目は一神教─ユダヤ教、キリスト教、
    イスラム教が題材である。なぜ当時最先端だったとも言える
    イスラム教国が歴史的に没落していったのかについての
    分析など、著者独特の視点は相変わらず読んでいて面白い
    のだが、何せ相手は一神教という巨大な存在、ごく浅く
    歴史をかいつまんで紹介するまでにとどまっているように
    思える。この一冊を踏まえてのさらなる論に期待するところ
    である。

  • 「逆説の日本史」が編年体であるのに対して、こちらは紀伝体というか、あるテーマを深堀している。今回は一神教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教がテーマ。
    ユダヤ教やキリスト教は、初詣に神社に行くだけの不信心な日本人にはわかりにくい点があるとはいえ、その成り立ちも含めある程度の知識はある。一方、イスラム教はそうはいかない。
    昨今の新聞等のメディアで断片的に目にするだけのイスラム教について、実にわかりやすい解説書になっている。
    「世界史」の本としてではなく、宗教解説本としても十分に興味深く読める。

  • 旧約聖書、ヨシュア記、なぜ神は大虐殺を許すのか?その理由は、善悪とは神が決めるものであるから、上には絶対的な存在であり、人間は神を中断することをはできない、

    インカ帝国を滅ぼしたスペイン人ピサロ、自分は絶対できんなぁ正義であり、反対するものは絶対悪、中南米全体から多神教を撲滅、現在のキリスト教徒の多い地域に変えた。

    本来、善悪は人間同士にとっては相対的な概念、一神教の世界では絶対的な概念に変化、自分が前なら相手は必ず開く、共存を認めることができない相手、
    カルバン主義、予定説、マックスウェーバー、
    予定説では、仮眠にやらばれた人、救われる1点は神の御心のままに行動するに違いない、人間の生き方、えーと、

  • 世界史の中の宗教の位置づけが、ユダヤ教キリスト教、イスラム教の比較の中から理解できます。
    宗教の違いが、どのように歴史に影響を及ぼしているか、丁寧に解説してあります。
    特にイスラム教が世界史に与えた影響について、再確認することができました。
    現代に続く各宗教の確執、イスラム問題などがよく分かりました。

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逆説の世界史 2 一神教のタブーと民族差別の作品紹介

「逆説史観」の新たなライフワーク、第2弾

『逆説の世界史』シリーズは、累計500万部突破のベストセラー『逆説の日本史』の著者による新たなライフワーク。待望の第2弾は、多神教信者の多い日本人には分かりづらい「一神教の世界」がテーマです。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれの「神」の誕生と「聖典」の成立にかかわる謎を解明しながら、現代まで続く民族・宗教の対立の深層に迫ります。
混迷する世界のニュースをより深く理解するために、「逆説史観」によって分かりやすく解説した必読の入門書です。

「ユダヤ民族差別を生んだ根源は『マタイによる福音書』」「ローマ・カトリック教会がタブー視するキリスト教の大矛盾」「ダンテの『神曲』がイスラム教社会で「禁書」となる理由」「シーア派とスンニー派の抗争とムハンマドの血脈」「聖地エルサレムは誰のものか」「十字軍遠征がもたらした憎悪の連鎖」「最大最強だったオスマン帝国が衰退した要因」「中東和平をこじらせる最大の障害」等々、日本人が知っておくべき一神教世界の基礎知識を解説。

『逆説の世界史』は小学館のウェブサイト「BOOK PEOPLE」で連載中(【日本語版】http://bp.shogakukan.co.jp/gyakusetsu/jp/【英語版】http://bp.shogakukan.co.jp/gyakusetsu/en/)。

逆説の世界史 2 一神教のタブーと民族差別はこんな本です

逆説の世界史 2 一神教のタブーと民族差別のKindle版

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