- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093884679
感想・レビュー・書評
-
副題が「一神教のタブーと民族差別」となっていて、このシリーズが通史ではないことを示している。キリスト教徒21億人、イスラム教徒12億人、地球の人口の半数は、一神教の信者なのだ。この一神教を理解しなければ、世界史はなかなか分からないということなのである。この2つの宗教は、どちらもユダヤ教から生まれているというのは驚くべきことである。この本は、ユダヤ教、キリスト教、十字軍、オスマン帝国を順に考察していく。一神教-とにかく神の言うことが正しい、教えを守れ、何か不都合があれば人間が悪い。他の神を信じているやつら(いやそれは本当の神ではない)は、敵である、滅ぼしてもいいというわけだ。ユダヤ教徒は、出エジプトのとき、敵対するエリコ、アイの町の住人を皆殺しにしたという。旧約聖書にそうあるのである。ユダヤ教に限らず、キリスト教、イスラム教もどれも排他的である。イスラム教の開祖のムハンメドは、信仰を広げるために生涯戦争し続けたのだ。これが聖戦のいわれなのだ。そのときから、信仰のために戦って死んだ者には、楽園が約束されたという。その楽園とは、上手いもの食べ放題、若い処女抱き放題だという。うーん、いったいこれはなんだろね。
中世ヨーロッパよりも、同時代のイスラム帝国のほうが文化も科学も優れていたというが、近代資本主義社会の成立に成功したのは、ヨーロッパの方であった。プロテスタントの考え方は、商業や金融という世俗的職業も天職で、救われるべき人間は神のみ心のままに行動するに違いないから決して道を踏み外さないということであり、資本主義の活動は肯定されたのである。神の考えを上手に改竄することができたという。イスラム教ではそれができなかった。政教分離をして、なんとか資本主義経済をとりいれようとしても、イスラム原理主義のもと揺り返しがあるのである。うーん、この辺り、まだまだ私には分かりにくかった。
第2次世界大戦後の中東の紛争は、イギリスの三枚舌から始まっているという。中東戦争については、分かりやすくまとめてあった。クルド人問題も取り上げられていて、戦後すぐにクルド人の国の建国を援助していればよかったということであった。
古代から現代まで、一神教の問題は大きい。今後どうしていけばよいのか。歴史を学ぶことによって、様々な意識を変えていかなければならないのだ。 -
キリスト教 vs イスラム教 の因縁が分かりやすく解説
-
本から離れていたから、読み始めるには重い感じ。でもずっと、宗教、とくにユダヤ教は興味の範囲。でもこの本は、微妙にキリスト教、イスラム教が多かった。興味深い本でした。
-
「逆説の日本史」が編年体であるのに対して、こちらは紀伝体というか、あるテーマを深堀している。今回は一神教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教がテーマ。
ユダヤ教やキリスト教は、初詣に神社に行くだけの不信心な日本人にはわかりにくい点があるとはいえ、その成り立ちも含めある程度の知識はある。一方、イスラム教はそうはいかない。
昨今の新聞等のメディアで断片的に目にするだけのイスラム教について、実にわかりやすい解説書になっている。
「世界史」の本としてではなく、宗教解説本としても十分に興味深く読める。
旧訳の「民数記」にこんな記述があります。
カナンの地に向かうユダヤの兵が途中でミ...
旧訳の「民数記」にこんな記述があります。
カナンの地に向かうユダヤの兵が途中でミディアン人を打ち負かし「総ての男を殺して家畜と家財を奪い、街を焼き払って」凱旋すると、モーゼが怒ってこう言います。
「なぜ女子どもを生かしたまま残したのか。男は幼子でも殺せ。男を知っている女も殺せ。ただ処女はお前たちの慰みに残していい」そして、飲めや歌えの大騒ぎ。
つまり、聖書の中で奨励されたことだから、そうするらしいです。
いけないことと非難してもこれらの国の人々には全く理解できません。
非難すると聖書を否定することに繋がり、かえって怒らせます。
ムダ知識だったらごめんなさいね。