男であれず、女になれない

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著者 : 鈴木信平
  • 小学館 (2017年3月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093885492

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男であれず、女になれないの感想・レビュー・書評

  • この本、誰に向かって書いてるのかな~?って読みながら思った。途中は当事者に向けてかな?と思ったが、最後は多数者に宛てて書いてる気がしたので。

    性的少数者は本当にいろんな人がいるので、そんなに単純な話ではない。でもマスコミ等に取り上げられる性的少数者はある意味「分かりやすさ」を持っていて、それ以外のこういう人もいるよって言いたかったんだと思う。で、それはわたしもすごーくよく分かる。わたしもある意味人とずれたことをやってても誰も何も言わないでそのまま受け入れられてたし、別に性的少数者であることに悩みもしなかったし。

    ただ、カミングアウトは性別違和を抱える人とシスジェンダーの同性愛者では話が違ってくる。同性愛者であることは「見た目」では分からないので、わたしは今後深く関わりそうな人だったら何もないうちにすぐにカミングアウトしちゃう。それは別に自分のセクシャリティを誇示しているのではなく、自らの存在がセクシャリティのみで構成されてると思ってるわけでもなく、言わないと「異性愛者」に思われてあとで自分が困るのだ。異性愛者と決めつけて話されると、それを否定するのがとても苦痛になるからだ。だったら間違われないうちに本当のところを早く白状する方が自分にとって楽なのだ。

    というように、自分が置かれた立場によってガラッと状況が変わって怖いのが性的少数者だ。

    途中気になる話があった。髪の毛が長いから会社の上司が毎日毎日切れと言ってきて、それならって髪の毛を切った話。いや、別にその対応があってるとか間違ってるとか言いたいわけじゃなく、でもわたしがこういう記述を見て危惧するのは、読んだ人がこういう些細なことではなく法律や制度がないことまで「あんたたちが我慢していればいいじゃないか」という考えに繋がってしまうのでは、ということ。そこの線引きが非常に難しいので、わたしも自分のことについて別にこちらが譲ってもいいことは譲るけど、そのことをおおっぴらに言ったりはしない。こういうの読んだ人が性的少数者に向かって今までの慣習に合わせておけばいい、性的少数者は多数者に合わせるべきだって印象が残ったら嫌だから。だから「この本は誰に向かって書いたのかな~?」って最初に思ったのだ。

    それ以外は特に珍しいでもなく、こういう人もいるだろうなと思って読んだ。確かに「自分以外はみんな異性」って思う人は結構いる。その表現の仕方は個人個人によって違うのだけど。まぁそういう点ではシスジェンダーはこの世では格段に生きやすいよねと思う。

    ですます体とそうでない文章が混在してるのは、きっと敢えてだと思うけど、ちょっとそこら辺が違和感あって気になったかな。でも、こういう「分かりにくい人」の本がもっとたくさん出てもいいと思う。本当に性的少数者って皆んな違うから。ゲイだって「ゲイ」とひとくくりにはできないから。

  • マイノリティであるがゆえの苦しみ。
    定義を知識として知っていて、わかった気になっていましたが、そんな自分が恥ずかしくなりました。
    当事者にならないと本当の理解は絶対にできないこと、でも理解しようとする姿勢は失ってはいけないこと、知れてよかったです。
    自分にはうっすらと想像するしか出来なかったことが、日常の具体的な困りごと、身近な人とのかかわりの中での心の置き所の不安定さなどを通じて、克明に描かれていて、その世界を自身の事として考え直すととても恐ろしくなりました。
    傲慢に、人の苦しみを〝わかった気〟になることの暴力性に気付かせてくれる、重要な本だと思います。

  • あー…なんかもう感無量とはこのことですよ。

    自分が何者で今どういう思いなのかをなんとかして持てる言葉で正確に紡ごうとしたらこういう表現になりました、という文章。

    たぶん事実の描写としては冗長というか回りくどいような表現もあるんだけど、これがそのまま実感をリアルタイムで言葉に置き換えようとした跡なんだろうな。

    筆者と同じではないけれど、
    ある自分の強烈な不全感と、
    社会的には恵まれてることの自覚と、
    恵まれてることが必ずしも望むことに合致するとは限らないことへの焦燥感は、
    すごくよくわかる…というのもおこがましいのだけど。
    読めて良かった。

  • 「しんぺいちゃん」と友だちになりたいと思った。でも、確実に違う環境と違う道にいる人だなと、幸せな人だなと思った。

    けっこうくねくねした文章で、アスペ脳には読みづらかった。
    時々くすぐりが入るのと、展開に興味ありありだったので、何度か行きつ戻りつしながらも読んだ。

    最後のしめくくりが、ちょっと共感できなくて、
    勝手だけど、読後感がよくなくて、
    それでも、読んでよかったです。

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男であれず、女になれないの作品紹介

小学館ノンフィクション大賞紛糾の問題作!

2015年3月9日、当時36才。私は、男性器を摘出した。

「女になった」と言わない理由は、この選択が女性になるためじゃなく、自分になるためのものだったから。だから私は、豊胸も造膣もしないことを選んだ。

「性同一性障害」という言葉が浸透して、「性はグラデーション。この世は単純に男と女には分けられない」と多くの人が理解する時代にはなったかもしれない。けれども私は自分の性別を、男にも、女にも、二つのグラデーションの中にも見つけることができなかった。

男であれず、女になれない。

セクシャリティが原因でイジメにあったことはない。事実はその逆でみんな優しかった。でも、男子クラスになったことを機会に私は高校を中退した。
女性を愛する男性に命がけの恋をして、葛藤し、苦悩して、半死半生の状態に陥ったこともあった。ひたすらに自己否定を繰り返したりもしたけれど、周囲の誰もが私を一生懸命に支えてくれた。
そして社会人である今、多くの人が愛情と親しみを込めて私を「しんぺいちゃん」と呼ぶ。

これは、人生に同性も異性も見つけることができなかった一人の人間が、自らの“性”を探し続ける、ある種の冒険記です。


【編集担当からのおすすめ情報】
第23回小学館ノンフィクション大賞に、まさかの「自分自身を取材したノンフィクション」が送られてきました。

選考会では、「これはノンフィクションといえるのか」「第三者への取材を行なうべきではないか」など、さまざまな意見がでましたが、選考委員の感想に共通したのはただひとつ。

「それでも、この作品は面白い」

小学館ノンフィクション大賞を紛糾させた異例の”自伝的ノンフィクション”は、「性自認」だけが話題の中心ではありません。
どうしてもその道を選ばざるをえない、多くの「マイノリティ」の心の支えとなるはずです。

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