14階段ー検証新潟少女9年2ヶ月監禁事件ー

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093897020

作品紹介・あらすじ

私はその階段を上ってあの男の「王国」へ踏み込んだ。当時27歳の引きこもり男が9歳の少女を9年2ヶ月にわたって部屋に監禁した前代未聞の猟奇事件。追跡3年、ノンフィクション界の新鋭が犯人の家で遂に突き止めた「真相」とは。小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 2014.6.9読了
    正直、取材方法や表現にうんざりすることが多々。現場から離れた後にこの事件を「元カノ」と表現する神経、ノンフィクションライターなんて名乗って欲しくない。私も驚愕した事件だったので、逮捕直後はテレビや関連書籍も読んだりしていた。過去に松田美智子氏のルポを必死に読んだ記憶があり、この度書店で何となく目にしたこの本を読んだけど、読まなければよかった。

  • 「新潟女児監禁事件」という実際の事件を取り上げているものの、これは「ルポルタージュ」ではない。
    加害者母へのインタビューから、犯人の実像を探って行く。引きこもりを続ける息子に厳しい態度を取れなかったのは、母親の過去に原因があるとする点、父親と息子の決裂に、父親の趣味が関わっている点など、なるほどと思わせるくだりはあったが、結局全て著者の憶測に過ぎないのだ。
    犯人の性格、実生活がハッキリ見えてこないのも、インタビューの相手が母一人に限られているからだろう。
    もっと幅広く親戚や関係者に話を聞けば、このような内容にはならなかったのではないか。というか、ルポルタージュってそういう物ではないの?
    「弱い立場の加害者母一人に的を絞り、知りたい話を聞き出した」という印象が拭えない。著者は文中で「自分の好奇心を満たすため」とエクスキューズしているが、まさにそれが本心だと思う。

  • ふむ

  • 著者は正直な人だなと。フライデーのライターで、かつ被害者に直撃インタビューをしようとして父親や警察に怒られたりた、犯人の母親に説教しようとしたり。不快極まりない部分もあるが、発行部数稼ぎの週刊誌ライターという仕事のリアルなのだろう。一時風俗ライターをした事まで赤裸々に語る。

    誤った記事の検証、自ら取材を深める事で繋がっていく原因考察。この辺は妄想、推測の域を出ない。しかし、事件が起こった時にあれやこれや結びつけて連想してしまうものだろうから、共感する部分が無いでもない。しかし、安っぽいミステリードラマという印象。そこに感情移入しての事件の正当化はあり得ない。

    ところで、再犯も懸念された犯人は、出所後に病死しているらしい。少女の人生を奪った末路。世の中には、こうした人間がいるという事も読書を通じて、頭の片隅に。

  • 後半は想像だし主観が入りすぎている。
    母親を攻め立てるのも越権行為な気がする。

  • #読了 ルポルタージュとはいっても、著者の主観や憶測が入ってしまうことは仕方がないのかもしれない。けれど、これは度が過ぎていると思わざるを得ない。
    加害者の母親とはいえ、 高齢の、しかも病を得ている老母をここまで苦しめる必要はあるのだろうか。加害者の家族に反省を促すのは、 記者の仕事の範疇ではないだろう。
    事件自体は私がまだ子供の頃に起こったので、その時の報道の状況などはわからないが、センセーショナルな報道がされたことは想像に難くない。この著者も、著作内では反省しているが、取材手法があまりにも不快でついイライラしてしまった。

  • 9割想像で書いたような本。わざとなのか、インタビューの時の著者の口調も不快極まりない。心理学というかせめてDVについてリサーチすることができなかったのか不思議すぎる。久々にクソな本だった

  • ちょっと犯人の母親に対して筆者の感情が入り過ぎているかなという印象。

    9年2ヶ月監禁された少女が、鍵のない部屋で犯人が留守の時に逃げなかった行為については充分に理解を示しているのに(それは私もです)、母親が息子の暴力を恐れ、20年間も2階への階段を上がれなかったことをかなり辛辣に責めている。

    もちろん被害にあった少女と違って血縁者だし親に責任はあると思うしこの母親が息子可愛さに何かを隠蔽している可能性も0ではないが、長期に渡る恐怖で常識では考えられない感情の麻痺があるのではないかなと素人ながら思うのであった。

    だからといって母親を責めない訳ではなくて、取材に私情を挟まないドキュメントが好きなのでこのような感想に。

  • 事件のことは鮮烈すぎて覚えている。
    元フライデーの記者の取材に基づく検証。

    最初は事件のことよりも、著者がスクープを取りたい一心の気持ちしか伝わってこなかった。だからあまり好きな書き方ではないと思ったのか。

    事件のいきさつ、背景、取材、専門家の意見、裁判記録など全体的にまとめて読めるとよかった。

    彼の育成歴、母親の甘やかし、収集癖や固執するところ、潔癖症、女性への関心などは父からくるものなど、要因は感じ取れた。大人になって刑務所に入っていても、競馬雑誌を母親に差し入れさせるところや、著者に対しても同じことをするということ。大人になっても母親しか友達がいなかったとみられるところ。人間関係がうまく作れなかったところ。

    実際犯人の友人にあったり、母親と何度かインタビューしたり、自宅に泊まったりと取材を重ねていってとれた証言だと思う。

    母親は息子の暴力に耐えられないと保険所に電話で助けを求めているのに、インタビューにはそれほど暴力はひどくないと答えている。これだけされても、息子を守りたいということしか思えなかった。

    事件発覚時の新潟県警の対応にも腹がたった。

    犯人、A子さん難しいけと両者の言葉も聞いてみたいと思った。

  • 新潟で起きた少女誘拐9年2ヶ月の全貌…??
    微妙にやり切れなさが漂います。

    元フライデーの記者が著者。
    著者が色々聞いて回っているうちにモヤモヤが伝わってきます。
    この親だからこの子供が出来上がったのか?

    だとしても。

    この事件が許される事はないのだ。
    子供を一瞬にして攫われて。
    その親はどれだけの思いをしてきたのか。
    しかも。
    今考えれば犯人は下手したら既に釈放されている可能性も…?
    日本にはアメリカのように犯罪者を近所の人が知れないようになっているから…
    これは、日本でも導入したほうが良いと考えている一人です。

    あまりスッキリしないのはノンフィクションだからなのか。
    まぁ、事件自体嫌な事件ですから。
    当然と言っちゃー当然なんですが。
    母親が、ずっと犯人となる息子を庇っている。
    親だから当然なのか?
    釈然としない、だけど、無視できない事件。

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著者プロフィール

1974年、東京に生まれる。ノンフィクションライター。学習院大学文学部史学科卒業。在学中より報道番組のスタッフとして制作に携わる。「世界ふしぎ発見!」(TBS)やドキュメンタリー番組のアシスタントディレクターとして活動後、「フライデー」記者、朝日新聞記者、「実話ナックルズ」などの副編集長を経て、現在は週刊誌や月刊誌などに取材記事を寄稿するかたわら、豊富なメディア経験をいかして企業や公共機関の報道対策アドバイザーもつとめる。IT mediaビジネスオンラインにて「スピン経済の歩き方」、ダイヤモンド・オンラインにて「情報戦の裏側」を連載中。
著書には『スピンドクター』(講談社+α文庫)、『14階段』(小学館)などがある。

「2017年 『「愛国」という名の亡国論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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