この国を出よ

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093897297

作品紹介・あらすじ

誰が日本をダメにしたのか?「ユニクロ」はなぜ世界へ出るのか?そして、ビジネスマンと企業はグローバル社会でどう戦えばいいのか?2大論客が初めて語り尽くした"斜陽"ニッポンへの処方箋。

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    「もはや日本国内に留まっていては、成長の機会はない」。
    このような文言をずっと聞いているけど、結局国外に出る人材はほとんど増えていないのではないか?
    ガラパゴス化が進んでいるとは言え、この国で終始完結し、居心地もイイから、わざわざ国外に出なくても大丈夫な環境だからなぁ。
    ただ、ドメスティックな人材のままでは、成功者になることはできないだろうなと思う。

    リスクを犯してでも、国外にチャレンジしなくちゃいけない時代が来るのかもしれないなぁ。
    国という籠の中は確かに安全なのだろうけど、自分自身

    自分はこのままでいいのか、読んでいると不安になってくる本でした。


    【内容まとめ】
    1.これから重要になるのは、グローバル市場の熾烈な競争の中で生き残り、勝ち抜いていくための能力
    もはや日本国内に留まっていては、成長の機会はありません。

    2.日本の最大の問題は「リーダーシップ」
    異論や反論が出た時にそれを説得する力、「なるほど」と納得させるリーダーシップが不可欠。

    3.日本の経営者は、ある程度まで会社が成長するとすぐに達成感を覚えてしまいがちになる。
    でも、その成功は客観的に見て「そこそこ」のレベルでしかなく、グローバルの視点から見れば「そこそこ以下」です。
    低いレベルのままで満足し、立ち止まっていたら、すぐにその企業は取り残され衰弱していくのは明らかです。

    4.松下幸之助や盛田昭夫といった偉大な経営者は、どれだけ会社が成長しても貪欲に勉強する姿勢を持ち続けていました。
    現状満足することなく、常に世界中に目を光らせ、何からでも学ぼうという意欲にあふれていました。

    5.サラリーマンとビジネスマンの違い
    ビジネスマンは自ら考えて行動するが、サラリーマンは上司から指示された仕事をこなすだけ。
    勝手に「自分の仕事はここまで」と境界線を決め、その範囲の業務だけをする。
    それでは本当の意味で仕事をしているとは言えない!

    6.「理想の仕事探し」より、「自力で食える人間」になれ!

    7.解決するにはその問題の実態や本質を的確に捉える必要がある!
    枝葉末節の現象だけを見て応急手当をするのではなく、根本的な原因を発見して解決に導く戦略的な考え方ができないと、結果は出せない!

    8.どんなビジネスであっても、最終的な評価を下すのは顧客です。
    自分の仕事を認めてくれる人、自分の仕事に対して喜んでお金を出してくれる顧客を一人でも増やしていくことがビジネスの本質!


    【引用】
    日本の企業社会は能力がなければ出世も昇給とないという時代に入り、従来の学歴偏重から「実力偏重」にシフトし始めています。
    これから重要になるのは、グローバル市場の熾烈な競争の中で生き残り、勝ち抜いていくための能力です。


    p13
    日本の最大の問題は「リーダーシップ」です。
    自分の意見に対する異論や反論が出た時に、それを説得する力、すなわち多様な国籍や多様な価値観の人たちを「なるほど」と納得させるリーダーシップが不可欠。


    p15
    もはや日本国内に留まっていては、成長の機会はありません。
    豊かで明るい未来を手に入れたいなら、「この国を出る」しかないということを、改めて日本人は肝に銘じるべきなのです。


    p30
    ・「自己肯定」よりも「自己否定」が必要。
    自己肯定が長く続くと、時代との間にズレが生じます。
    例えば、昨年売れた商品が今年も売れるとは限らないのに、そう思いがちです。
    成功している時こそ、「自己否定」が大切だと思います。


    p46
    振り返れば大平洋戦争にも大きな分岐点がありました。
    日本の連合艦隊が主力空母4隻を一挙に失い、以後戦争の主導権をアメリカに握られたミッドウェー海戦です。
    当時の大本営は戦局を冷静に判断することができず、インパール作戦に至るまで勝ち目のない戦いに突っ込んでいきました。

    大本営が日米の海軍力の比較、兵站のマネジメントを緻密に行えていれば、停戦交渉に持ち込めたかもしれません。

    今の日本はミッドウェー後とそっくりです。
    冷静に考えれば負けると分かっているのに、それを認めようとせず、「まだ大丈夫、何とかなる」と思い込んでいる。
    ではなく、これまでと全く異なる成長戦略を立てなければ、国力が地盤沈下し国全体が荒野となってしまうかもしれない。


    p49
    ・思考停止の状態から目覚める兆しを。
    企業も国と同じく、かつての成功体験に麻痺して努力を怠った瞬間から衰退が始まります。
    成功が現状満足のムードを社内に醸成し、改革や挑戦を遠ざける安定志向へと繋がります。


    p56
    ・日本は保養所に成り下がっている。
    極論、もはや日本はビジネスに適した場所ではなくなってきている。
    温泉やスキー、買い物で外国人客を喜ばせているだけ。
    「ジャパン・グラッシング」に見舞われないよう、もう一度我々の手で強い日本を創らねばならない!


    p102
    日本の経営者は、ある程度まで会社が成長すると、すぐに達成感を覚えてしまいがちになる。
    でも、その成功は客観的に見て「そこそこ」のレベルでしかなく、グローバルの視点から見れば「そこそこ以下」です。
    低いレベルのままで満足し、立ち止まっていたら、すぐにその企業は取り残され衰弱していくのは明らかです。

    松下幸之助や盛田昭夫といった偉大な経営者は、どれだけ会社が成長しても貪欲に勉強する姿勢を持ち続けていました。
    現状満足することなく、常に世界中に目を光らせ、何からでも学ぼうという意欲にあふれていました。


    p107
    台湾やシンガポールの「強さ」を真に理解している人はそう多くはありません。
    人口が少なく、資源も乏しい両国は、成長しよう、変わろうというエンジンが止まれば衰退してしまうという危機感を持ち続け、「どうすれば世界で生き残っていけるか?」と常に模索しています。


    p114
    ・サラリーマンとビジネスマンの違い
    ビジネスマンは自ら考えて行動するが、サラリーマンは上司から指示された仕事をこなすだけ。
    勝手に「自分の仕事はここまで」と境界線を決め、その範囲の業務だけをする。
    それでは本当の意味で仕事をしているとは言えない!

    本当の意味での仕事をしていなくても、毎月給料が振り込まれる。
    安定を願い、受け身で指示を待つ「サラリーマン根性」。
    指示待ちのサラリーマンが跋扈する日本では、局面を挽回してやろうという動きは生まれません。
    他人任せにするばかりで、自ら答えを探したり、行動する人がいないまま、ただ時間だけが過ぎていったのです。


    p120
    ・「理想の仕事探し」より、「自力で食える人間」になれ!


    p121
    ビジネスマンが直面する問題は、その背景にある本質を見抜けない限り、解決することは困難です。
    表面的な机上の知識ばかりを身につけたところで、いつまでたっても根本的な解決策にたどり着くことはできない!

    解決するにはその問題の実態や本質を的確に捉える必要がある!
    枝葉末節の現象だけを見て応急手当をするのではなく、根本的な原因を発見して解決に導く戦略的な考え方ができないと、結果は出せない!


    p132
    ・「自分が何を売りたいか」ではなく「顧客は何を求めているか」
    ドラッカー
    「企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。」

    もちろん上司の評価は必要だが、どんなビジネスであっても、最終的な評価を下すのは顧客です。
    自分の仕事を認めてくれる人、自分の仕事に対して喜んでお金を出してくれる顧客を一人でも増やしていくことがビジネスの本質!

  • 大前氏とユニクロ社長・柳井氏との往復書簡のような体裁で(実際は対談が元になっているんだろうか)、現代日本の病巣をえぐり、解決の方向を模索する。

    第1行目から、「今や日本は、世界の荒波の中で、羅針盤も舵も失って、ただ沈没を待つだけの難破船のように見えます。」とガツンとやられる。警世の書なのである。

    私利私欲しかない役人、「次の選挙」しか見えない政治家、不景気や外圧の中で嘆くしかない企業経営者、気概も野望も夢すらも持たない生活者をヤリ玉に挙げ、単なるバラ撒きに堕した高速料金や高校授業料の「本当の姿」を説き、「消費税を上げるなら、その前に所得税・法人税をゼロにせよ」などの、極めて魅力的でインパクトある施策を提案する。そして日本の殻を破ることで再び日本に活力を、と鼓舞する熱くて重要な書なのである。

    冒頭の言を読むまでもなく、日本は、経済的にも世界の中でのポゼッション的にも非常な危機にあると思う。だが、心ある人がいくらそう指摘し、このような熱き書がいかに世に問われても、世の中はのほほんとして動かないように見える。長きにわたるこの「日本病」が治ることはあるのだろうか。無能な政治家や、その蔭でほくそ笑む官僚が癌よろしく日本が死ぬまでしゃぶり尽くすだろうし、なにより知恵や実行力、高潔な魂を持ったリーダーを、この國は(國民こぞって)ほとんど育てて来なかったのではないか。

    いっぺん沈没したら、それがわかるのだろうか。

  • 日本という国自体の閉塞感、借金地獄になっている現実から目を背けている日本人が多く
    近年ビジネスに関してもイノベーションは起きていない日本。
    古典に学ばず、海外にも出ないビジネスパーソンは
    今後世界からますます取り残されていくはず
    その時代に警鐘を鳴らし、ビジネスマンとして生きていくために
    どのように生きていくべきか、考えさせられる本なので非常に価値がある
    偉大な経営者と名コンサルタントの話が交互に出てくるが
    今日からの行動にフィードバッグできる金言ばかりなので
    ぜひ一読してほしい。自分は行動を変えていくつもりである。
    (というか既に変えているので結局自分の考えを補間する意味での読書になったが)

  • ユニクロの柳井さんと大前さんが共同で書いた一冊。20代としてはイラつくぐらい現代の日本人の若者が海外に出て行かないことを憂いている一冊。個人的にはこの本を読んでコンゴにいく決意がまとまった本思い出の一冊

  • ありきたりな内容で目新しさはなかった。でも重要な事柄はいくつもあった。まだまだ大前氏から学べることは残っている。ロールモデルの重要性が語られているものの、周囲にいないという指摘も非常に的を射ている。しかも本書に書いてあることを助言してくれる上司や先輩は少なくなったと思し、同様に受け入れる若手も減った。それが日本や日本企業の現状だと思う。若い人からベテランビジネスマンまで本書を読み大いに反省すべきだろう。

  • 大前研一さんと柳井正さん、尊敬する二人の書だったので、思わず手に取りました。お二人が日本や日本人に抱いている危機感は私も共感しました。
    日本の破綻は差し迫っているというのに、この国の政治家もマスゴミもそして多くの国民もその危機感を全くもっていないように感じる。
    グローバルで戦えるビジネスパーソンになるべく自己研鑽に努めたい。

  • ユニクロを経営するファーストリテイリングの選考を受ける前に読んだ図書。国に出る、というよりは「ファーストリテイリング」という武器を用いて国を出るべし、という印象を受けた。確かに就職は大事。しかし、それを前提、というのは少しながら違和感を私が覚えたのは、間違いない。

  • 2人が指摘する、多くの日本の企業・自治体・個人が捉われている慢性的な「日本病」についての鋭い批判の眼差しは、3.11の震災後さらに緊迫するものとしてとらえられるべきだと思う。
    それは、内向き志向・慣習励行・予算ありき・表層的事象で満足すること・など、「変化出来ない」現代日本人の体質である。
    世界がよりオープンになっていく流れは止まらない。内に籠っていること自体がリスクであるということだ。 
    世界で・世界と勝負していくのに必要なものを全ての個人・組織が真剣に考えなければならないと思わせられる。

  • 日本の現状への危機感、行政⇒企業活動⇒ビジネスマンとしての個人を論じた著者二人の認識は、自身の最近のビジネス経験を通しても実感をともなうものだった。日本の政策になんともいえないもどかしさを感じていたが、本書をよんでより問題点が明確になった。グローバルで稼げる企業、人材が日本を見捨てないようにするための政策、制度が重要であり、日本経済が破綻した際にそなえて自身の行動を考える刺激を与えてくれた。

  • 経営コンサルタントである大前研一とユニクロ社長の柳井正の2名の論客による、日本再生のための要諦を示した本。

    本書が言いたいことは、正しくタイトルのとおり、「日本を出ろ」ということ。 何も日本を見捨てて外国に移れと言っているわけではなく、海外で勉強してから日本に戻れ、と説いている。
    900兆円の負債を抱え、経済破綻も間近な島国日本は、アジア圏の経済成長の波に乗れず、付け焼き刃的な経済政策を続けている。 過去の栄光にしがみつき、過去の成功手法に固執したばら撒き政策を続けている日本は正直言って未来はない。

    指摘されている点としては、
     ・日本政府の先見性のない政策
     ・グローバル化に立ち遅れた企業体質
     ・人材の育成の軽視
    となる。

    子ども手当や高速無料化など、政府が打ち出す政策は的を得ているとは思えない。 実際はそれらの政策がどの様な経済効果を導き出すか、シミュレーションが行われているのだろうが、これら政策の瞑想を見るに、やっていることが本質からかけ離れているように思える。
    シンプルに考えると、収入源を増やすために日本企業の体質強化を図れば良いのに、狭い日本国内での需要を喚起するだけに終わっているし、また子ども手当もその延長線上には次世代を担う人材の育成が本来すべきことなのに、弱者救済だけで終わっている。

    アジア経済の急成長には、海外留学をして勉強してきた若手が根底にある。 大前氏が他の著書でも再三訴えているとおり、海外の有名大学へ留学しているアジア人の比率をみると、圧倒的に日本人は少ない。 若い人材に投資をせずして次の世代に戦って行ける下地が出来るわけがない。 最近の若者は海外に出たがらないと言われているが、海外経験していないことが、大きなデメリットになるということは実感を持って理解できる。

    ちょっと他力本願ではあるが、この閉塞感を打破してくれるリーダーが出てこないものなのだろうか。

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著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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