日本人を縛りつける役人の掟: 「岩盤規制」を打ち破れ!

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093897495

作品紹介・あらすじ

役所のルールが日本経済をダメにしていた!

世界一高いとされる日本の「タクシー料金」――。
安い運賃でお客を運ぼうとするタクシー会社が出てきても、役所の規制によって「値上げせよ」と指導を受けてしまう。

日本では、「役人の掟」がタクシー料金以外にも、スマホの電波、オフィス街での弁当販売、保育所経営への参入など様々な分野の経済活動を縛りつけている。中でも役所と業界団体や政治家が手を組んで新規ビジネスを阻むケースは「岩盤規制」と呼ばれ、日本の経済成長を邪魔してきた。

そうした「役人の掟」の仕組みは複雑だ。タクシー料金規制の根拠となる法律の条文を調べてみても、

〈能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであること〉(道路運送法 第9条の3第2項第一号)
〈第9条の3第2項第一号の規定の適用については、当分の間、「加えたものを超えないもの」とあるのは、「加えたもの」とする〉(同 附則2)

といった文章に突き当たり、容易には理解できない。
そこで本書では、「官僚のレトリック」を知り尽くす元霞が関キャリアの著者が、難解な条文を丁寧にわかりやすく解説。この国に必要な本当の改革とは何かを明らかにしていく。

【編集担当からのおすすめ情報】
日本の経済成長を邪魔する「岩盤規制」の問題点をわかりやすく網羅した1冊です。本書は3部構成のかたちを取り、

●第一部では「道路運送法(タクシー規制)」「薬事法(薬のネット販売規制)「医師法(ワンコイン健診規制)」「食品衛生法(オフィス街の路上弁当販売規制)」といった身近な規制

●第二部では「農地法(農業への新規参入規制)」」「健康保険法(混合診療問題)」「社会福祉法(待機児童問題)」「電波法(電波オークション問題)」「労働者派遣法(日雇い派遣規制)」といった成長が期待される業界の規制

●第三部では「法人税法(税金タダの特権法人)「公職選挙法(若者の政治参加規制)」「道路整備特措法(高速道路の民間開放)」「国家公務員法(官僚の人事制度改革)」「地方公務員法(天下り規制)」といった国家の仕組みにまつわる規制

という分類をして著者が改革の必要性を解説しており、興味のある分野から読み始めることのできる構成となっています。

感想・レビュー・書評

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  • 岩盤規制の構造。政治と官僚の関係と既得権益のつながり。
    タクシー料金
    薬のネット販売、本丸は処方箋薬
    ワンコイン健診と医師法
    出入国管理法により外国人は和食の料理人になれない
    農業生産法人と農協
    医療法と病床数規制
    学校法人規制による株式会社学校への不利益、通信制高校は学校内で教育を
    社会福祉法人の優遇による保育所の不足
    漁協、漁業権の既得権益
    電波法、総務省が裁量権を維持し周波数オークションが進まない
    法人税法、非営利法人への特権付与と天下りがセットになっている
    道路整備特措法、償還主義により経営の効率性や営利性が失われている
    国家公務員法、大臣は官僚の人事権を持たない
    地方公務員法、地方公務員には天下りの規制はない

  • 「なぜ、処方箋薬をネットで買えないの?」「待機児童が一向に減らないのはなぜ?」それらは『おバカ規制』が世の中に蔓延っているからだという。特定の既得権者が族議員や官僚と一緒になって「鉄のトライアングル」を組み不合理な規制を死守しようとする。この本ではなぜそうした規制が作られ、守られ、我々消費者が搾取されているのかを多角的な視点から分析している。この本を読むまで、あまり規制に縛られているという実感は無かったが、実はものすごく身近なところに規制=役所の掟はあるのだと分かった。

  • 大崎Lib

  • 新聞、雑誌、テレビよりも掘り下げているのは良かったです。公職選挙法の被選挙権の年齢に目をつけたのは、斬新かと。若さをアピールして、選挙演説や広報活動している候補者には、高齢になったら辞めるの?と聞いてみたいですけど。

  • 元役人の著者が「役人の掟=規制」について書いたSAPIO連載記事をまとめたもの。過剰な規制、時代遅れの規制を一刀両断。一つ一つの話は短く読みやすいのだけど、だからどうなの、単なるガス抜き?と思えなくもない。

    既得権、政官業の「鉄のトライアングル」
    裁量権、省令、地方分権の落とし穴
    特区での取り組み

  • 中身が薄い。表面的な話に始終している。

  • ○コンサルタントの原氏の著作。
    ○いわゆる「岩盤規制」と呼ばれる法律などの規制について、その法律等の条文や具体例を交えて解説しており、理解しやすくなっている。
    ○新聞やテレビでの感情的な岩盤規制の排除、既得権益の打破といった報道とは一線を画しており、論理的で分かりやすい。
    ○何が問題なのかを知るには、丁度良い一冊。

  • レビューには高評価が多いようだが、標準的解説と解釈が主のように感じられ、おおそうだったのかという強いインパクトはさほどない。
    国家戦略特区の実験だけで根本的解決が図れるとも思えないのだが・・・。

  • 勉強のできる人だった役人の、自分の利益しか考えない行為の典型だなあ。

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著者プロフィール

株式会社政策工房代表取締役社長。
1966年生まれ。東京大学卒、シカゴ大大学院修了。通商産業省(現・経済産業省)入省後、規制改革・行政改革担当大臣補佐官などを経て退職。2009年に株式会社政策工房を設立。国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、規制改革推進会議投資等ワーキンググループ座長(-2019年)、大阪府・市特別顧問、NPO法人万年野党理事なども務める。
主著に『岩盤規制』(新潮新書)、共著に『国家の怠慢』(新潮新書)などがある。

「2021年 『総務省解体論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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