十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争

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著者 : 峯村健司
  • 小学館 (2015年2月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093897549

十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争の感想・レビュー・書評

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  • 習近平と李克強の共産党総書記を争った際の駆け引きが面白い。このふたりに加え薄煕来の三人の出世レースだったわけですが、結果的に能力的に一番劣るとみなされていた習近平が権力を手中におさめるというところがなんだかんだいってアジア的という感じもします。
    李克強と薄煕来はずば抜けた能力で周囲の人間に対する要求もきつく、恨みを買うことも多かったそうですが、習近平は引退したもと高官などの家を定期的に訪問することも多かったそうです。若い頃から、人柄は良いが能力は???という評価だったらしい。だけど一度権力を手中に収めてからの行動力は凄まじいですね。薄煕来事件とは実はクーデターの鎮圧であった、という事もこの本では書いてあります。
    その他、中国の関する本といえばやはり
    【ワイルド・スワン(上) (講談社文庫) 文庫 – 2007/3/6ユン チアン (著), 土屋 京子 (翻訳)】でしょうね!一般市民から見た文化大革命がどんなものだったのか?ということの一端をこの本で教えてもらえましたし、衝撃的でした。ちなみに習近平の父親は文化大革命で吊るし上げられ失脚(その後名誉回復)習近平自身も地方へ飛ばされ、かなり貧しくつらい生活を送ったということです。13億分の一の男によれば、竪穴式住居に6年間住んでいた?という記述もありますね。で、そんな権力をほしいままにしていた父親が一夜にして人から蔑まされ、母親も市中引き回しみたいな刑に合わされたことが、習近平の現在に大きな影響を及ぼしていないわけはないですね。ある種の人たちにとって、権力を手にし維持し続けるということは生きるか死ぬか?ということと同義であるのかもしれません。

  • 著者は朝日新聞の元中国特派員。権力闘争こそが、中国共産党を永続させるための原動力ではないかー。「現場」に突入し様々な人に取材をしながら、ドロドロとした政治の世界に踏み込んでいく。この表紙に出ている習近平にしても、決して盤石に立っているわけではない。今このときも殺るか殺られるかの世界に身を置いているのである。中国の公安当局がまっさきに飛んでこないかと心配するような内容だが、その現場力に圧倒される。

  •  第一章:ロス郊外の愛人村。
     第二章:偽名を使い地味に暮らす習明沢と派手な薄瓜瓜、対照的なハーバード留学。
     第三章:13年の米中首脳会談での「新型大国関係」提起以降に攻勢を強める中国。
     第四章:胡錦濤vs江沢民の結果、胡が江を道連れに完全引退。
     第五章:ガス田合意と四川大地震での自衛隊機派遣、胡錦濤の対日改善賭けはいずれも失敗。しかし江沢民も実は日本に親しみ?
     第六章:引退・11年病死説の後もしぶとく生き続けた江沢民。
     第七章:有能な李克強を追い上げる人心掌握に長けた習近平、09年訪日と天皇会見が決定打。
     第八章:軍・警察をも動かし得る周永康・徐才厚と令計画が薄熙来を担いだクーデター計画。

     章ごとの時系列は前後するし、第一~第三章は厳密には内政とは言えず浮いている感もあるが、全体を通じて政治実録のようで読みやすく面白い。第九章でまとめられているとおり、胡錦濤と江沢民の対立の中で、両者とも受け入れられる習近平がトップとなり、胡と江が共に完全引退することで権力を掌握できたというのが本書の結論である。
     その上で筆者は、最大のリスクは「強大になり過ぎる習近平」だとし、党を安定させる一方で党自体の弱体化につながる懸念を挙げている。「核心」の呼称が出始めたのを見るとそれが当たっているかと思う一方で、現在の中国人の価値観は毛沢東時代とは比較にならないほど多様化しているはずでもあり、今後は一体どの方向に向かっていくのか。

  • 中華人民共和国の成立から 長い期間が経っているが、
    結局は 『毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤、習近平』
    の 五人が 表舞台に立っている。
    毛沢東の期間は長く 皇帝になった。
    鄧小平によって 沈滞した中国を変革した。
    その後 権力も才能もないと思われた 江沢民が
    権力を握り 鄧小平が 死ぬことで、
    大きな権力を握った。
    賄賂と腐敗政治をつくったのは江沢民だった。
    胡錦濤は 江沢民に頭が上がらず、
    中国の経済成長の推進力になったが、
    習近平に権力を渡さざるを得なかった。

    控えめで、おとなしいと思われた 習近平が
    核心的なリーダーとなった 背景を 
    朝日新聞の記者らしく 丁寧に書いている。

    『権力闘争こそが、中国共産党を永続させるための原動力ではないか』
    とさえ言う。

    アメリカ ロサンジェルスの 
    愛人たちが暮らす村 月子中心 に突撃取材。
    6億円の豪邸を 一括現金払いをする。
    裸官たちの生態。
    2008年までの10年間に 1万6千人から1万8千人の流出。
    中国から流出した資産は 8000億元。
    そして、ハーバード大学にいる習近平の娘/習明沢をさがし、
    彼女は 本名を隠して、それで、勉強にいそしんでいた。
    薄煕来の息子との対比をする。

    紅3代のカップル。
    薄瓜瓜と陳雲の孫娘 陳暁丹。

    2兆5000億円の国際会議 2014年11月 APEC。
    贅沢禁止令のもとでの 晩餐会。
    習近平とオバマとの会談。
    鄧小平以来の 強力で、自分の言葉で語ることができる。
    という評価をもらう。

    胡錦濤の完全引退。そして、江沢民も引きづりおろす。
    薄煕来事件での 習近平の対応。
    胡錦濤の腹心 令計画の長男 そして 妻の素行。

    反日狂想曲。
    胡錦濤が 意外と親日に近い立場を取っていた。
    江沢民が 反日にこだわる理由。
    江沢民の父親が 旧日本軍の協力者だった。
    学生時代に 日本語を勉強したこともあった。

    江沢民は 胡錦濤に譲っても 院政を貫く。
    曹慶紅を揺るがせたスキャンダル。魯能。
    江沢民は 若い軍人の血を集めて、蘇る。

    李克強は 優秀で サラブレッドだったが。
    記憶力、数字に強い。しかし、中国には優秀な人材はイクラでもいる。
    必要なのは 人をまとめる 統率力。団結力。
    胡錦濤と李克強の強い絆。
    しかし、着々と 習近平は 上り詰めていく。
    天皇との会見でも 小沢を射止めて こぎ着ける。
    習近平は 着実に 軍の仕事も 取り組んでいた。

    秦城監獄 
    陳良宇、薄煕来が入る。
    2012年4月 薄煕来 逮捕。
    薄煕来の収賄は 2044万元。海外へ移転した財産が60億ドル。
    2012年11月より 2年間で 25万人を逮捕 処分した。
    2012年12月 谷俊山 軍隊 総後勤部 副部長。逮捕。200億元の賄賂。
    2014年6月 徐才厚 軍事委員会副主席。逮捕。
    売官。将軍になるのに約3000万元いる。
    2014年12月 周永康 政治局常務委員。逮捕。収賄 8.7億元。
    500人以上の元部下、親族。1200億元の財産を没収。

    習近平は 荀子の書 を愛読している。
    紅二代と大子党 とは違い 紅二代は摘発しない。

    中国の上位1%が、国の財産の3分の1を保有している。

    荀子はいう。
    『君は舟なり、庶民は水なり、水はすなわち舟を覆す』

    新聞記者として 充実した取材ぶり。
    それでも、中国の闇は 明らかにされない。
    『新聞記者』という身分の限界なんでしょうね。

  • 中国を永らく取材してきた記者が文字通り「あし」でかせいだ情報をもとに中国の権力闘争を描いてる。それはまさに凄まじいの一言。習近平の権力基盤が江沢民、胡錦濤の権力闘争の結果、強固なものになっていることが理解できた。共産党と軍部の関係も含め、中国の指導者の言動を理解するうえで大いに参考になると感じた。

  • 朝日新聞の記者による習近平国家主席にまつわる権力闘争を記述。描写が生々しくかつ鮮やかで面白いが、本当に本当なのかは確信は持てない。
    毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤、習近平の5世代目のうち特に江沢民からの権力、腐敗、ライバルの追い落としを描いている。胡錦濤は江沢民の院政から逃れられなかった。胡錦濤も江沢民の影響力を減じようとしたが逆に部下のスキャンダルにやられてしまった。それが習近平の就任につながる。
    一方その間に有力者の腐敗が進んだことでそれをテコに習近平が、江沢民を支える基盤の力を削ぎ(腹心の有力者を追い落とす)、ダークホースから最も堅い権力基盤を固めるまで至った。

  • 現在、中国で最高権力を握っている習近平の姿を、朝日新聞中国特派員であった著者が暴く。

    といっても、いきなり米国にいる習近平の娘を一年間かけて追い求めるとか、米国に存在する政府高官や富豪の二号さんが暮らす町の取材とかで、いきなり出鼻をくじかれる。
    その後も、丹念な取材?で群雄割拠の中国の中で、権力を握り続ける習金平を描いてはいるが、書いてある内容はなんとなく夕刊紙。逆に言えば、夕刊紙や週刊誌にかかれるような、どたばたで陰惨な劇が、中国権力層では繰り広げられているのだなと、取材を元に実感する思いがした。
    いずれにせよ、中国の政治体制は人民のための共和国では決してなくて、一部権力者による絶対的な皇帝制であって、諸外国はお金があるときはすり寄っていくけど、金の切れ目が縁の切れ目になるのでしょうね。

  • LA, SF 月子中心 出産後体調を整えるために静養する習慣 坐月子

    裸官 賄賂など不正収入を得て、妻や子、資産を海外へ移す党や政府、国営企業の幹部

    アメリカの投資移民 2013年 中国人80%

    朴正煕 植民地時代 高木正雄の名前で陸軍士官学校で学んだ

  • 2007年から2013年までにわたって朝日新聞の中国駐在記者であった筆者が、公開情報のみならず、独自の情報源から得た情報をつなぎ合わせて、習近平が13億人の頂点にたどり着くための凄まじい権力闘争を描き出す。

    結果的に習近平を利することになった江沢民と胡錦濤との長きに渡る権力闘争、次期指導者レースをリードしていた李克強とのつばぜり合い、そして、クーデター寸前の危機的状況だった薄熙来や周永康、徐才厚の失脚を巡る内幕・・・。とにかく、凄まじいとしか言いようがない。このような苛烈な権力闘争を勝ち抜いてきた化け物のような相手と、日本の政治指導者が伍することができるのだろうかと思ってしまう。

    本書で描かれる中国での腐敗の規模も凄まじい。周永康に絡み、500人もの共産党や政府の幹部、国有企業幹部らが摘発され、没収された資産は2兆2000億円を超えるという・・・。また、習近平の「トラもハエも叩く」というスローガンで、この2年間で汚職により摘発された公務員は25万人にも上るという・・・。徐才厚時代の軍の腐敗ぶりもすごい。賄賂を払わなければ出世できない「売官システム」が作り上げられ、将官になるためには日本円にして5億円以上が必要だったという!もしかしたら、このような状態に慣れっこになってしまった中国人にとって、30万円の収賄で首長が逮捕される日本のクリーンさは、信じがたく、ある意味異常なものに映るのかもしれない。

    そのほかにも、本書によれば、富裕層の6割以上がすでに海外へ移住したかその準備をしており、将来の移住を考えているものは8割以上にも上るという。その行き先は、中国が仮想敵国とするアメリカだ。今世紀半ばには中国がアメリカを超える超大国になるなどと言う説もあるが、このような中国の内情を踏まえると、とてもあり得ないように思えてくる。

    もっとも注意すべきなのは、これが習近平の権力掌握直前の中国であるということだ。習近平の反腐敗キャンペーンは、権力闘争の一環という意味もあろうが、このような中国の現状への強烈な危機感にあることも疑いない。従来の指導者とは比べ物にならないほど早期に強固な権力を築き上げた習近平が、本当に腐敗を一掃し、凄まじい貧富の格差や環境などの問題に取り組んだとき、中国は我が国にとって本当に脅威となると思う。

    尖閣諸島国有化や習近平ご来日した際の天皇陛下との会見を巡る内幕なども非常に興味深い。ここで改めて感じるのは、(韓国でも同様だが)中国内部での権力闘争が対日政策に色濃く反映されること、そして、中国側は国内での反応を気にするあまり、政策選択の幅がかなり狭いということだ。また、本書で中国側が「尖閣を国有化しないようにとの胡錦濤からのメッセージの翌日に日本政府は国有化を決めたが、せめて決定を遅らせるなどすれば中国側のメンツも立ち、これほどの反発はなかっただろう」と述べるように、中国首脳の行動原理を日本の外交当局が理解できていないように思えるのも気になるところだ。

    一つ気になったのは、尖閣国有化の際に中国最高幹部の中で何が起こっていたのかについては詳しく述べられているのに対し、同じく尖閣諸島での漁船衝突事件については全く言及がないことだ。筆者によれば、共産党一の親日派、知日派であったという胡錦濤時代に起きたこの事件の背後に、どのような内幕があったのか、ぜひ描いて欲しかった。

    何れにせよ、現在の中国を知り、近未来の日中関係を考察するために、広く読まれるべき書。

    (2015/11/28読了)

  • 日々の動きを追う記事や新聞だけではわからない、中国の権力闘争が理解できる。
    しかし本書の白眉は、ハーバードに留学していた習近平の一人娘、米西海岸にある愛人村などを明らかにする、著者の体当たり取材であろう。
    これからも素晴らしい報道を続けて欲しい。

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十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争の作品紹介

習近平の一人娘に世界初直撃!

現代の中国皇帝・習近平が政権を発足させて以来、中国共産党には粛清の嵐が吹き荒れている。検挙された共産党員は、25万人超。なぜ習近平は、そこまでして腐敗撲滅に取り組むのか。

実は、側近すら信用しない習近平の「不信」と「警戒」は、自らを放逐しようとした最高幹部たちによるクーデター計画の露見から始まっていた――。中国13億人からたった一人に選ばれた中国皇帝、その男が直面する生存闘争は、まさに「死闘」とよぶに相応しい。

本書は、優れた国際報道の貢献者に贈られるボーン・上田賞を受賞した朝日新聞記者の徹底的に「現場」にこだわり抜いた取材から、中国共産党の最高機密を次々と明かしていく。

例えば――。
●習近平の「一人娘」を米国・ハーバード大学の卒業式で世界初直撃
●ロサンゼルスに存在した中国高官の「愛人村」への潜入
●側近が次々と逮捕された今際の江沢民が習近平にかけた「命乞い電話」
●「世界秩序」を決めた米中トップ会談、語られざるその中身
などである。

中国共産党が最も恐れるジャーナリストが、足かけ8年にわたって取り組んだ、中国報道の集大成となる衝撃ノンフィクションが、ここに解禁される。

【編集担当からのおすすめ情報】
たしかな取材を基にしたスクープノンフィクションであると同時に、著者が中国共産党の監視の目をくぐって、いかに取材対象に近づいていくのかを味わえる一級のエンターテイメントでもあります。中国高官の「二号さん」が暮らす「愛人村」に潜入する際の臨場感を”仮想体験”してみてください。

十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争はこんな本です

十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争のKindle版

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