日本人はなぜ戦争をしたか―昭和16年夏の敗戦 (日本の近代 猪瀬直樹著作集)

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著者 : 猪瀬直樹
  • 小学館 (2002年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093942386

日本人はなぜ戦争をしたか―昭和16年夏の敗戦 (日本の近代 猪瀬直樹著作集)の感想・レビュー・書評

  • 2002年刊行(ただし、本書の単行本は1983年刊行)。昭和16年の開戦前に設置された総力戦研究所。ここで、開戦前に対米戦争必敗の結論が出されており、東条英機(当時陸相)にも報告されていた。本書の愁眉は、101頁以下に集約される。研究所の担当官に文官が多かったこと、出身母体の省庁の情報がかなりの範囲で使えたこともあり、総力戦における、ある意味冷徹なほど数値の重みを感得することができる。それにもまして、東条がこの事実を認識していたという点は、彼の本意が何処にあろうとも、決して軽視すべきではなかろう。仮に、彼が熱烈な天皇擁護者であるのならば、敗戦必至の戦争の帰趨にまで思考を巡らせる必要があるし、おのずと解決策・方向性は決まっていたはずだ。

  • 昭和史を考える上で、やはり中心となるのは、なぜ戦争に至ったのかという点であり、その背景を理解するための良質のドキュメンタリーである。 特に大きな判断根拠であった、石油備蓄とその需給に関する試算が、以下に「判断ありき」の数字合わせであったかという点に、通常のビジネスにもつながるものを感じる。

  • 日米開戦前。昭和16年夏。
    軍部、官庁、民間から招集された内閣総力戦研究所の研究生36名。平均年齢33歳の彼らは「日本とアメリカもり相手戦わば?」という問いに対して結論を出した。その答えは「日本必敗」という現実。
    日米開戦は避けねばならぬ!と主張した彼らの意見は聞き入れられず、その年の12月に真珠湾への奇襲攻撃が結構され戦争が勃発してしまう。
    なぜ日本人は必敗と知りながら戦争に突き進んだのか?この本を読んで初めて知った総力戦研究所の存在がとても新鮮な驚きがありました。
    東条英機氏に対する考え方も少し新鮮で面白かったです。

  • 誰のリーダーシップも意思決定もなく、空気を読んでなだれ込んでいったというの!

  • 歴史にもしは禁物だが、戦争がなかったら日本はどうなっていたのだろうか。しかし官僚主導では戦争はなくならなかっただろう。大衆が貧困であることを解決してくれたのは、結局アメリカなんだから。官僚は金持ちだから、大衆や農民の貧困なんて理解できなかっただろう。

  • 軍部が暴走したことが日米開戦の引き金、と言われてきたが、開戦前の内閣および新たに作られた総力戦研究所の奮闘と困惑が記されている。
    近衛内閣時代に決定された基本国策(日米開戦)を、あえて東條内閣にすることで、開戦回避に向けて努力をしようとする天皇、そしてその意を汲んだ東條首相は、流れを変えようとするが、自分の組織の都合で思考・発言し、決断を迫る海軍・陸軍に打ち手を阻まれ、結局開戦を選択してしまう。
    開戦前に新設された総力戦研究所では、日米開戦のシミュレーションの結果、必敗を提案したものの、内閣には受け入れられなかった。というか、分かってはいるが、それを目の前に突き付けられても判断が出来なかったということだろう。
    これまでの、努力の積み重ね、議論で得られた方向性を、ただなぞっていくだけで、それを変えられなかったのは、東條首相だけでなく、各組織体の幹部の無責任に起因するのだろう。どこの組織にもあてはまりそうで、ちょっと怖い気持ちにもなる。
    しかし、猪瀬直樹氏の丁寧な取材に基づく、精緻な筆致が印象的である。

  • 軍事問題に精通している自民党 石破氏が国会答弁中に歴史認識について言及する中で紹介した本。

    日本が敗戦するのは、S20年であることは、周知の事実だが、この本では、S16年となっている。

    というのも、実は、S16年には、国家公認の疑似内閣が結成され、戦争に踏み切った場合のシュミレーションが行われ、ひとつの解答を得ていたのだ。

    このシュミレーションは、単純な軍事的衝突だけでなく、国民への物資配給についての見解など国民生活の細部に至る総合的な検証がなされていること。また、疑似内閣の構成員が若手エリートコースを歩む陸軍、海軍、マスコミ、省庁関係者等であり、次世代の日本において大きな影響を持つ確率が非常に高い人間が選抜されていた点に特徴がある。

    結果として、軍事的衝突に勝算は無く、国民生活への甚大な被害は免れない。つまり「敗戦する」という結果をS16年夏に出し、内閣に提出した。しかし、内閣はこの結果を活用することが出来ず、戦争に突入し敗戦した。

    戦争を感情論で片づけていないため、政治的判断の難しさに関して非常に参考になる一冊である。

  • 太平洋戦争で日本が敗戦したのは昭和20年。
    昭和16年夏、戦争に突入する前である。
    なぜ、戦争勃発前に「敗戦」したのか、なぜ「敗戦」してもなお太平洋戦争に突入したのか、本書では当時の資料をもとにその謎を解き明かす。

    大変素晴らしい本であるが、近代史等の予備知識なしに読み進めるのは大変労力を要するので、学生ならば歴史資料集、手元に資料集がなければ山川出版社の「もう一度読む日本史」を傍らに置いて読むことをお勧めする。

  • ラジオきっかけで読んだ本。
    丁度自分の誕生日の一日前(終戦日)に読了。
    シュミレートした結果、開戦前に必敗することがわかっていながらも、どことなく戦わなくてはいけない、短期決戦だったら耐えられるからと政府が戦争に踏み切った下りは、今の日本となーーんにも変わっていないんだと考えさせられた。
    開戦に踏み切った理由が、すごく真っ当に日本人らしい。

    「忘れてはいけない」と言われる戦争ドラマや戦争小説の起点が、すべてここに詰まっているということが何より重たい。

  • 第二次大戦で日本が敗れることを予見していた人は少なからずいたっていう本、ドラマって結構あったと思う。この本では政府が組織した研究所でもそう結論づけたところがあったとする所が目新しかったのだろう。さらに東条首相もその結論の重大性を認識していたからこそ、口外しないように研究所員に言っていたのだろう。
    しかしながら、戦争は起こってしまった。
    残念ながらこの本を読んでもなぜ戦争をしたのかはもやもやしたままだ。「短期なら持ちこたえられる」という楽観論や「米国の仕打ちにはもう黙っておれぬ」という義侠心がそうさせたのか?
    誰かの決断によって為された訳ではなく空気によってみんなで決めたということなのだろうか?
    首相のころころ変わる現代の日本人のこのような決定方法はずっと進化、変化していないように思われる。現代の日本にも現代版の「総力戦研究所」が必要なのではないか。

  • 太平洋戦争前、当時の政府において数多くの人が破滅への道だと考えながら組織や過去の成功体験に縛られ流されていく。後から結果論でいうことは簡単だが、本当に意思決定というのは難しいと思う。

  • 太平洋戦争は軍部の暴走という認識が改まった。
    戦争に向かう過程は現在の日本型意思決定システムに通じるものがある。

  • 伊勢湾での海軍夜戦模擬演習のあと、山本五十六連合艦隊司令長官は研修生に感想を求めた。「潜水艦対策や砲撃戦は見事でしたが、航空機に対する備えが弱いような気が・・・。」海軍の弱点を衝かれ、山本が唸った。「よし、ウィスキーを1本やろう」 山本にみる戦争回避派と、軍部開戦派とのそれぞれの人間関係、さらには内閣総力戦研究所の研修生との関係を織り交ぜながら、日米開戦への過程を詳細につづる。東條英機の苦悩は、あらためて太平洋戦争の意味を考えさせられる。

  • ものごとを始めるのは簡単だがやめるのは難しい。ということか。。開戦前にあれだけの答えがでていながら、そして関係者が皆知っていたのに、やめられなかった、ということか。

  • 昭和16年 30代を中心とする若き頭脳が、政府の依頼で日本開戦後のシュミレートを行いました。そして数度の条件変更・行動指針変更を強いられても、出た結論は日本は負けるということ。
    彼らに悲壮感は感じられないが、日本必敗の結論を政府が黙殺した事には無力感を感じたことでしょう。
    本をほとんど読まない私でも、スムースに読めたので、太平洋戦争に興味あればどうぞ。

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日本人はなぜ戦争をしたか―昭和16年夏の敗戦 (日本の近代 猪瀬直樹著作集)の作品紹介

いま、すべての30代におくる、ほんとうの日本人の物語。開戦前夜、若きエリートたちが密かに霞が関に集められた。"模擬内閣"、日米戦必敗の予測-。

日本人はなぜ戦争をしたか―昭和16年夏の敗戦 (日本の近代 猪瀬直樹著作集)はこんな本です

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