逆説の日本史5 中世動乱編(小学館文庫): 源氏勝利の奇蹟の謎 (小学館文庫 R い- 1-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094020052

感想・レビュー・書評

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  • ①②源頼朝というと武士のお館様!というイメージだったけどミコシの側面があったというのが面白かった。あと源平の戦いではなくて武士対天皇(公家)という見方が新鮮だった。
    ③④北条氏による政治がそれまでの公家の政治とどう違うのか、どう違うべきと思われていたのかと考えて歴史を見ると理解も深まりそうだと思った
    ⑤三方一両損についてエピソードから歴史的背景を考えるのが面白かった

  • 今回は、鎌倉幕府の成立から御成敗式目の制定までが扱われています。

    平安時代以降の中央の土地をめぐる政策に不満を抱き続けてきた武士たちが、自分たちで政権を作ろうとしたのが幕府だったとする見方が、本書の全体を貫いています。戦術の天才だった源義経は、武士による政権を作るために努力していた兄・頼朝の意図を理解せず、そのために頼朝に討たれることになったとされます。さらに同じ観点から、北条氏による源実朝殺害に至るまでの鎌倉時代初期の歴史の流れが解説されています。

    一方、北条泰時が制定した「御成敗式目」は、武士の「道理」を実現するものでした。著者はそこに、現代にまで続く日本人の「自然」理解を読み取ろうとしています。

    今回は主題が絞られているためか、政治的な発言がさしはさまれるのもあまり気にならず、おもしろく読むことができました。

  • 本巻で著者は、義経のアイドルとしての人気が、判官贔屓につながった、すなわち、「怨霊のタタリを予防するための「心構え」が「和」であり、それでは防ぎ入れずに発生してしまった怨霊への対症療法が「神として祀ること」および「判官贔屓する」ことなのである。」として、怨霊信仰と「和」の精神から判官贔屓の由来を説明している。また、明恵の「あるべきよう」=「日本自然教」が朝廷と幕府が併存する「朝幕併存体制」を成立させた、と説く。

  • 相変わらず切り口は面白いし、「なるほど」と膝を打つことも多いのだけど、ふと疑問に思ったのは「自分たちの感性をどこまでこの時代に適合させていいんだろう?」ってこと。

    「怨霊」について現在とはまったく違う考えが膾炙していた、という主張はとても説得力がある。
    じゃあ
    「あいつ、向こうの仲間に入りやがって」
    とか
    「戦術を優先させて、戦略を台無しにするのは愚かな行為だ」
    とか、僕からしたらもっともな感情は、はたして当時はどうだったんだろうね。

    ほんの数十年前の小説を読んでも、たとえば貞節に関する感覚なんか今とまったく違ってたりして、だから僕たちが素朴に「アプリオリな感性・態度」と思っているものも、実は時代の産物かもしれない。
    なんかそんな想像をしてみた読後数時間。

  • 鎌倉幕府が起こった背景として、公家たちの領土に関する取り決めに不満を持った武家たちにより源氏がかつがれたことなどが丁寧に書かれている。
    横道にそれつつも多面的に歴史を検討する逆説の日本史シリーズは勉強になる。

    目次
    第1章 源頼朝と北条一族編
    第2章 源義経と奥州藤原氏編
    第3章 執権北条一族の陰謀編
    第4章 悲劇の将軍たち編
    第5章 北条泰時と御成敗式目編

  • (2008/04/04読了)

  • 相変わらず、面白い。本筋に関係ないけど、「アニミズム・マナイズム」の対比は「アマ・マナ」→「オモ・モノ」の対比を使った方が日本語として明瞭になる。オモ主義とは情理主義、モノ主義とは合理主義のこと。これらは現代思想の文脈では実存論と実在論になる。根拠に興味のある方はjump。http://homepage2.nifty.com/midoka/

著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。独自の歴史観からテーマに斬り込む作品で多くのファンをつかむ。著書は『逆説の日本史』シリーズ(小学館)、『英傑の日本史』『動乱の日本史』シリーズ、『天皇の日本史』、『お金の日本史 和同開珎から渋沢栄一まで』『お金の日本史 近現代編』(いずれもKADOKAWA)など多数。

「2023年 『絶対に民主化しない中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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