逆説の日本史8 中世混沌編(小学館文庫): 室町文化と一揆の謎 (小学館文庫 い 1-8)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094020083

感想・レビュー・書評

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  • おなじみの『逆説の日本史』
    第8巻では室町八代将軍・足利義政の時代(応仁の乱)や室町文化、一向一揆の発生などがメインテーマ。

    応仁の乱という、十年以上も続いた未曾有の戦乱の中、現在の日本文化のルーツとも言える室町文化が花開いたのは不思議な感じがする。和室、お茶、懐石料理、生け花、能、将棋・・・この時代に始まったといわれるものは数限りない。

    知らなかった・・・。

  • ご本人とその政治的主張は非常にクセがあり(マイルドに言って)、好き嫌いが別れそうですが、彼の通史は本当に面白い。「怨霊信仰+コトダマ+ケガレ忌避+和の精神」という日本人の宗教観をベースに古代史から現代までを新たな視点で考察しています。粗い・甘い箇所もあるけど掛け値なしに面白く、目から鱗。考えさせられます。

  • 室町時代に発達した文化として、能や華道・茶道、風呂敷、将棋などが第4章に掲載されており興味深く読むことができた。この時代に農民が自治共和国を作ろうとしたことと一揆を結びつける考え方が新鮮に感じた。

  • この巻は今までの中で一番読みやすかったかもしれません。  井沢節も未だ健在・・・・ではあるものの顕在というほどではないうえに、KiKi 自身があんまりよく理解できていない時代の話であるために「うっそぉ!!」と思うことがほとんどなかった・・・・・というのがその大きな理由なのかもしれません。

    正直なところ、KiKi は「応仁の乱」っていうヤツのことがよくわかっていなかった(名前だけは知っていたし、嫌になるほど長い争いだったことや都を疲弊させたことは知っていたけれど、根本的に誰と誰が何のために争っていたのかを理解していなかった)から、その輪郭がうすぼんやりと・・・・ではあるものの、ようやく理解できてきたような気がするし、同時に「惣国」というもののことを全くと言っていいほど知らなかったので、「惣国一揆」と「一向一揆」のどこが根本的に異なるのか?を丹念に解説してくれていたのも有難かったです。  まあ、この著者の言うことですからどこまで信じていいのか?は甚だ疑問ではあるんですけどね・・・・・・(苦笑)



    又、「能」というヤツをこれまでの人生の中でただの一度も観たことがなく、同時にほとんど知らないという意味では同じように知らないと言っても過言ではない「歌舞伎」以上に有名どころのストーリーさえ知らなかった KiKi にとって「能」に関する解説も楽しく読むことができました。  さすがに信長さんのイメージ・ソングとでも言うべき「人生50年・・・・」というヤツが「敦盛」という演目の中の歌舞であったことは知っていたけれど、肝心要のストーリーは知らなかったし・・・・・(苦笑)  と、同時に「観阿弥・世阿弥」親子の名前に入っている「阿弥」の謂れに関してもなるほどと思わされるものがありました。

    室町文化に関して考察している最終章は KiKi にとってはさほど目新しいことがあるわけではなかった部分ですけど、1点だけ「なるほど!!」と思わされたのは華道に関する記述の中で「南京大虐殺」に関して井沢氏の反論が書かれている部分があったのですが、そこで書かれている視点は KiKi にとってはなかなか斬新なものに映りました。  

    曰く、華道の大元を辿ると「香華を手向ける」という仏教発祥の地インドの習慣があり、これは元はと言えば死臭を防ぐという目的があったということ。  その伝から考えれば世に言う「南京大虐殺(≒ 30万人に及ぶ大虐殺)」があったとしたら、仮に99%の遺体を何らかの方法で処理できていたとしても、残り1%(≒ 約3,000体の遺体)の腐敗臭に多くの人が苦しんだはずであるという説です。

    KiKi 自身、この時代の文献を実際に調べてみたことがあるわけではないので、そういう事件が全くなかったと断言できるわけではないのだけど(と同時にインドと南京ではどの程度の気候差があるのか知らないけれど)、これは心にとめておきたい視点だなぁと感じました。

  • 室町文化と一揆の謎

    ・「懶惰の帝王」足利義政編―「無責任」将軍が招いた応仁の乱
    ・日野富子と傀儡政権編―「半将軍」細川政元のクーデター
    ・国一揆と一向一揆編―律令制度の崩壊と新しい土地システム
    ・室町文化の光と影編―忘れられた日本文化のルーツ

  • 学校で学ぶ歴史では、戦国時代へ雪崩れ込むような形でしか触れられない室町時代。本巻ではその室町時代に焦点をあてる。

    銀閣寺を建設させた義政の、政治的無責任さや、幕府をテコに富を貪った日野富子など、見落とすには惜しい人物が入り乱れる。
    また、「一揆」という、新たな勢力も、この時代が萌芽の時代である。


    その他にも、茶道や能、華道など、現在の日本の文化のルーツはこの時代から始まっている。パトロンとしての義満、義政にも注目したい。

  • 影丸伝を読み終えたので一向一揆をおさらい。

  • 怨霊、言霊、穢れから日本史を見据える《赤松正雄の読書録ブログ》

     日本史をおさらいするうえで比類なき面白本をようやく見つけた。歴史の書というよりも歴史推理小説といった方がいいかもしれない。かねてからの「歴史通」や、今はやりの「歴女」には、何を今更と言われよう。このシリーズが世に出てもう10有余年も経っているのだから。しかし、恥ずかしながらその存在を私は知らなかった。井沢元彦『逆説の日本史』1~12である。未読の方は、まず文庫の第一巻を購入されることをおすすめしたい。

     日本史を追う井沢さんのキーワードは、怨霊、言霊、穢れの三つ。彼はことごとくをこれで抑えていく。見事なまでに。彼にかかれば歴史学者は形無し。木っ端微塵にやっつけている。宗教の本来的な役割を知らずに、文献至上主義に陥ってることの弊害を事細かにまた繰り返し飽きもせずに説く。読んでる端から忘れがちな私のようなものには、まことにこれは助かる。しかし、この手法ではさぞかし正統な歴史学者や同業他者から嫌われよう。であるがゆえに、あまり世の中に評価されていないように思われるのは、著者ならずとも口惜しい。

     近眼の人が寝ぼけ眼に顔を洗ってメガネをかけた時のように、ぼんやりしていた歴史絵巻が忽然と姿を現すのは嬉しい限り。というのは少々ほめすぎかも。だが、古代から中世にかけての日本人たちにとっての、様々なる神社仏閣の存在や「和歌」の持つ意味が判明するのは大きな収穫であった。軍事について現代日本人がとかく敬遠しがちなのは、何も戦後に始まったことではなく、古代からの歴史に根ざした伝統であることを知ったことも大きい。

  • 2007/9/25 Amazonにて購入。2008/2/15移動の電車で読み始める。2008/4/13家で読了。
    あまり注目されることのない室町後期について。足利義政についての記述と室町文化についての記述について面白いものがあった。

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著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。独自の歴史観からテーマに斬り込む作品で多くのファンをつかむ。著書は『逆説の日本史』シリーズ(小学館)、『英傑の日本史』『動乱の日本史』シリーズ、『天皇の日本史』、『お金の日本史 和同開珎から渋沢栄一まで』『お金の日本史 近現代編』(いずれもKADOKAWA)など多数。

「2023年 『絶対に民主化しない中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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