枯木灘,覇王の七日 (小学館文庫 R な- 2-1 中上健次選集 1)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094026115

作品紹介・あらすじ

兄や姉とは父親の違う私生児としてこの世に生を受け、複雑に絡みあった因縁を抱えて、二十六歳の今を生きる秋幸。体の半分を流れる父である男の血と、閉ざされた土地の呪縛の中で、愛憎は幾重にも交錯し、激情は出口を求めて迸る…。著者自身の郷里・紀州を舞台に、繰り返される宿業と、血で結ばれた父子の葛藤を描く壮大なサーガ。その中核をなす代表作「枯木灘」に、父・龍造の視座で綴った番外編ともいうべき珠玉作「覇王の七日」を併録。

感想・レビュー・書評

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  • 2017年5月14日に紹介されました!

  • 血縁とは逃れらなれないもの。つくづくそう思う。秋幸がどれほど嫌おうと父・浜村龍造を意識してしまう。ひとりの男の姿形に似ることに嫌悪を感じつつもその存在を見ずにいれれぬ何か。頭の中身は関係ない。どうしても似てしまう身体性と感情の発露が生き物の個体と個体を結び付けている。その連なりと積み重ねが一族の家系図であり、秋幸のみならず人はそのなかを生きている。種から木になりやがて枝分かれし繁栄するように、人間も巨大な系統樹のなかを自分は自由であると勘違いしながら生を営む。秋幸の悩みや葛藤、義弟・秀雄を石で打ちつける激情も、系統樹のなかの過去の誰かが悩み闘ったことであり、秋幸はその輪郭をなぞり反復しているにすぎない。これを物語として描き切った中上健次という作家の凄み。慄かずにはいられない。傑作。

  • 中上健次の世界性:柄谷行人

  • 疲れた。幾世代にも亘り生と死が繰り返される。『鳳仙花』の方が女性の視点から書かれていたが、この作品は主人公秋幸と実父との話。
    とにかく疲れた。

  • 濃い。とことん濃い。360ページが長い。
    でも面白い。

  • この本はちょっと凄すぎると思う。

    (2009年 3月 13冊目)

  • もやしな文学青年には薦められない本。

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著者プロフィール

(なかがみ・けんじ)1946~1992年。小説家。『岬』で芥川賞。『枯木灘』(毎日出版文化賞)、『鳳仙花』、『千年の愉楽』、『地の果て 至上の時』、『日輪の翼』、『奇蹟』、『讃歌』、『異族』など。全集十五巻、発言集成六巻、全発言二巻、エッセイ撰集二巻がある。

「2022年 『現代小説の方法 増補改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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