鳳仙花―中上健次選集〈4〉 (小学館文庫)

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著者 : 中上健次
  • 小学館 (1999年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094026146

鳳仙花―中上健次選集〈4〉 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 新宮市立図書館の中にある中上健次資料収集室に行った時、そこの若い女性司書さん(?)と少し話をした。
    彼女はもちろん中上作品の愛読者ではあるけれども、独特の描写、特に欲望を直接的に表現した性描写や、新宮で生活する者として、地元で現実として潜んでいる差別についての描写が、ときとしてあまりにも生々しく迫り、受け止めるのに正直言って苦しいこともある、と話してくれた。

    しかし、彼女が、そんな自分でも物語に入り込むことができた作品として紹介してくれたのが、中上作品のなかでも数少ない、女性が主人公の「鳳仙花」だった。
    「中上健次が自分の母親をモデルに書いた作品で、母の人生をなぞるように書かれていて、母への尊敬と愛情が感じられ、女性として共感し受け入れることができた作品」と教えてくれた。

    新宮に住む人から、新宮に生まれ新宮を愛した中上の作品の感想を聞けたのは幸運だった。やはり、その土地に住む者としての独自の視点が発見できたから。

    一方で、私が印象的だったのは、「孕む」という言葉の多用と、何かを断ち切るかのような「死んだ」という言葉の使い方。
    また、まるで母が作家に乗り移ったかのようなフサの視点に徹底的にこだわった描写は、一人の人間の生の営みを描くうえで、小さな感情の揺れが大きな炎の閃きのように増幅され、それが生理的イメージの強い言葉を効果的に使用する手法との相乗効果で、変化が激しいフサの内面を、空中分解させずに形作る結果をもたらしている。

    だが、フサの心情は、男であり、作品と異なる時代を生きる私にとって、正直、充分に捉えられているとは言えないだろう。しかし心情はわからなくても、フサの喜び悲しみ怒りは物語を読んでいて伝わってくる。フサの心の動きが少しでも自分の心に染み込んできたのなら、それが読書の醍醐味であり、そして、母の人生の結晶化によって人間根源の可視化を成就しようとした作家の望みに少しでも近づいたのかなとも思う。
    (2012/8/16)

  • 『鳳仙花』と父 中上紀

  • 秋幸三部作があって、千年の愉楽があって、鳳仙花がある
    そして『奇蹟』がある。

    2002年6月17日読了

  • 中上初心者がもし女子なら、まずはこれから入りましょう。

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