マジシャン (小学館文庫 R ま- 2-9)

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  • 小学館
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  • / ISBN・EAN: 9784094032598

感想・レビュー・書評

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  • ここ2ヶ月ほどで3冊目の、松岡圭祐。



    ●扱われているトリックの数々は、現実に存在する技法であるという点は疑っていない。
    が・・・、トリックの活用法やその運営などについてはツッコミどころが満載すぎて、、、、読むテンションを維持するのに困った。

    ●黒幕の男以外の登場人物全員が(主人公も含め)、かなりの振り幅でキャラ造形がブレているのも、残念。
    (白金さんなど、目も当てられられないくらい・・・)

    ○しかし、ヒロインの設定には魅力があるし、おハナシの勢い(盛り上げる“場”の数が多かった)もよかったので、総合すれば楽しく読めた。

    とりあえず、「千里眼」のシリーズともリンクするのだとかいう続編も、まあ、読んでみたくさせられた。

    ★2つ、5ポイント半。

    ※評価を「★2つ」とつけときながら、続編も読んでみたくなっているのが、我ながら不思議(笑)。

    ※「千里眼 ミドリの猿」でも感じたが・・・・極めて漫画的なキャラ造形とストーリー展開。
    単行本3~4冊分くらいの連載期間で漫画化されたなら、上記に挙げたような“白け要素”も全く気にならなく物語世界に浸れたと思う。
    ・・・・少年ジャンプ、少年マガジン、ビックコミックスピリッツあたり向け・・・・で。

  • 図書館
    挫折

  • 「目の前でカネが倍になる」。参考人らが口を揃えてこう証言する奇妙な詐欺事件が多発。事件を追う警視庁捜査二課の警部補・舛城徹の前に、マジシャンを志す一人の少女が現れる。その少女が語ったカネが倍に増えるトリックとは?警視庁に通報される金融関連詐欺の中には、奇術詐欺的なトリックを使ったものも少なくないという。その驚くべき手口とは?騙す、誤魔化す、まやかす、眩ます、嵌める、惑わす、誑かすー人をあざむくプロである「奇術師VS詐欺師」のとんでもない頭脳戦が展開。

  • ◯ 総合評価 ★★★☆☆
     お金が倍になるという魅力的な謎から始まる。その謎は物語の中で,沙希が考えたトリックとして種明かしがされる(お金を圧縮して半分の厚さにしていたが,時間がたつともとの厚さに戻る。)。トリックは平凡だが,つかみとしては秀逸。物語のプロットとしては,VXウイルスというコンピューターウイルスによる犯罪計画の阻止と,吉賀によるマジックの種を使った詐欺の捜査が併行して進み,どちらも飯倉という詐欺師(沙希の父)が真犯人というオチ。その中で,ミスディレクションとして沙希という探偵役が描かれる。
     全体的に,冗長に感じてしまった。また,焦点が絞り切れておらず,やや散漫なイメージがある。万能鑑定士Qの事件簿で利用された,お金の番号の偽造による偽札のアイデアが,マジックの種だったということにはやや驚いた。
     いっそ,VXウイルス騒ぎを描かず,マジックの種を利用した詐欺に絞って,沙希の活躍を描き,一見,沙希が黒幕ともとれるような伏線を用意しておけば,サプライズもあるミステリになったような気がする。アイデアはいいだけに惜しい作品。★3で。

    ◯ サプライズ ★★☆☆☆
    ミスディレクションに当たる人物がいないので,黒幕が飯倉であるという点は,あまり驚けなかった。一応のミスディレクションとして,吉賀による「里美沙希が黒幕」という告白がある。これが真相なら相当のサプライズだったが…。そもそも黒幕になり得るのがこの二人くらいしかいない。里美沙希が,飯倉の実の子どもであるなど,ちょっとしたサプライズはあるが,驚かそうという記述になっていない。そもそもサプライズを売りにしたミステリではないということ。サプライズは★2。

    〇 熱中度 ★★☆☆☆
     物理的に長い上に,やや散漫な印象があるため,そこまで熱中できなかった。いろいろ詰め込み過ぎている印象がある。★2

    〇 インパクト ★★★☆☆
     お金が倍になるという現象や,折々で出てくるマジックなど,それなりのインパクトはある。とはいえ,やはり,散漫な印象がある。いろいろなアイデアの寄せ集めだが,上手く整理できていない。そのため,インパクトも「それなり」どまり。★3で。

    ◯ キャラクター ★★★☆☆
    舛城警部補,白神,浅岸といった警察側のキャラクターはそれなりに描かれている。しかし,掘り下げ不足。舛城警部補は,貴代美という15歳の自閉症の娘がいるという設定だが,とって付けた感じで,あまり活かされていない。コネで入った科捜研の落ちこぼれという白神,いかにも若手刑事という感じの浅岸も,あまり活躍できていない。白神は,VXウイルスがATMに侵入するのを防いだが…それだけ。
    ヒロインの里見沙希も,大人びたマジシャンの女子高生といくらでも膨らませそうな設定なのに,そこまで魅力的に描けていない。強く印象にのこるほど,しっかり描かれているのは、犯人役の飯倉と,沙希の先輩マジシャン役の出光マリくらいか。★3で。

    〇 読後感 ★★★☆☆
     飯倉が実は悪人で,実の娘である沙希を殺害し,罪をきせようとしていたので,これが成功して終わっていればかなりのイヤミスだった。この計画が失敗し,沙希がドイツに向かうシーンで終わっているので,読後感は悪くない。
    ★3で。

    〇 メモ
    〇 プロローグ。舛城警部補と新米刑事の浅岸裕伍による雀荘の経営者「岩瀬浩一」の取り調べ。金が倍になるという。取り調べ後,岩瀬が持っていた6万円の現金が12万円になる。
     →茶番。ポケットの中の6万円を机に出していた。
    〇 XEコンピュータウイルスが金融機関のネットワークに入り込むのを防ぐための捜査班が設けられる。舛城はその捜査のために捜査2課に配属された。舛城は,捜査会議で警視総監を説得し,金が倍に増える事件=新手の詐欺の単独捜査を行う。
    〇 澤井という内装業者が,金が倍に増える瞬間が映っている映像を提供する。科捜研の研究員として,下っ端の白金恵子が捜査に加わる。映像を見る限り,実際にお金が倍に増えていた。
    〇 舛城,浅岸,白金は,百貨店のマジック売り場に行く。ここで,マジックについての話を聞き,マジックの専門店を紹介される。
    〇 マジック専門店での捜査。ギミックコインが違法であることなどで店員を揺さぶる。店長が出光マリのショーに立ち会っていることを聞く。また,中野坂上で,お金を倍にしていた連中の集会があるという情報を得る。
    〇 出光マリのショーに捜査に行く。舛城と里見沙希の出〇 浅岸と白神は中野坂上に向かう。舛城は出光マリのショーの会場で,10年前に詐欺罪で逮捕をした飯倉という人物に出会う。沙希は飯倉を逮捕したときに飯倉が預かっていた少女だった。沙希は,お金が倍になるというトリックは,どっきりテレビの企画だと聞いていた。
    〇 お金が倍になるマジックの種を考案したのは沙希だった。お金の厚さを半分にするというトリック
    〇 中野坂上では集めたお金がトピットというトリック(すり替え)で奪われ,フラッシュペーパー(燃える紙)にすり替えられていた。実行犯の西谷達は,沙希の機転で,すんでのところで焼死せずにすんだ。
    〇 中野坂上の詐欺事件の捜査で,沙希のマジックの知識が役立つ。別の車のウインカーとランプカバーの破片を落としておくトリックと,お札のナンバーの書き換えのトリック
    〇 沙希に捜査に協力してもらうために,舛城,浅岸,白神の3人は下手なマジックを披露する。
    〇 お金倍増トリックの主犯と思われる吉賀とつるんでいたと思われる「新国金ローン」という闇金での捜査。マジックで使う用紙を利用して客の名前などを知るというもの。舛城は,「剛田武」という名前を利用して詐欺の証拠をあげて,逮捕につなげる。
    〇 牧田という芸能リポーターが沙希を取材する。沙希は有名になるチャンスとして浮かれてしまう。
    〇 プレス機を洗濯機として購入した島岡という人物についての捜査。これも吉賀のマジックを利用した詐欺。この捜査で舛城と沙希は仲たがいをし,芸能リポーターの牧田がそのすきにつけ込む。
    ◯ プレス機事件のトリックをテレビで公開することで,沙希は一躍スターになる。沙希は,出光マリの舞台を利用し,空中浮遊のイリュージョンのマジックテープを行う。
    ◯ 舛城と浅岸は,府中競馬場で元橋鮎子という吉賀の元愛人を捕まえるための捜査を行う。沙希は舞台での成功をきっかけにテレビに出演するが,テレビでの扱いはひどいものでショックを受ける。舛城は挫折していた沙希を元気付けて,府中競馬場での捜査に参加させる。
    ◯ 元橋が使っていたトリックは爪で字を書く「ネイルライター」というものだった。元橋も吉賀のトリックで1000万円の借金の連帯保証人になっていた。沙希はトリックを暴き,元橋から吉賀の居場所の心当たりを聞き出す。
    ◯ 輸入宝石などをディスカウントで発売していた店(すり替えのトリックで粗悪なコピー品を売っていた)で,吉賀を捕まえる。
    ◯ 捕まった吉賀は,沙希こそが黒幕だと自供をする。舛城はその自供が嘘と見抜く。吉賀は,奪った7億円を利用してVXウイルスを成長させていた。舛城は,真の主犯が飯倉だと見抜く。
    ◯ 飯倉はリフレ・チェーンというリサイクルショップを起動に乗せるため,200億円もの借金をしていた。その借金を帳消しにするため,VXウイルスをATMに侵入させることで,日本経済を混乱に陥れようとしていた。また,飯倉は全てを沙希の仕業にすることを計画し,舞台の上で沙希を殺害する計画を立てていた。
    ◯ 沙希はワイヤーを自分で貼り直しており,結果として,飯倉の殺害計画を失敗させる。
    ◯ 白神は,トリックを見抜き,VXウイルスがひかり銀行のATMに侵入することを未然に防ぐ。
    ◯ 舛城は,飯倉が残したタバコから,飯倉の逃亡先が沖縄であることを突き止め,石垣島で飯倉を捕まえる。トリックを利用し,犯罪計画を暴き,飯倉を逮捕する。
    ◯ エピローグ。舛城は,FISMの世界大会(マジックの大会)に出場するために,ドイツに向かう沙希を見送る。白神は,VXウイルスを食い止める活躍が認められ,今や科捜研の花形に成長したという。舛城は,沙希を見送り,娘と妻が待つ家庭に帰る。

  • 最後の最後までドンデン返し、面白かった。

  • なかなか千里眼を超える作品、キャラはないなあ。唯一、刑事さんのセリフで「死人が出てから犯人当てても意味なし」的なことが書いてあり、なあるほど、と納得。

  • お子様向けの小説。

  • 千里眼シリーズとは別物の設定である。解説によれば、次回昨でコラボしているとのこと。楽しみである。読み始めるとストリー展開に引き寄せられていくのはいつものこと。なぜだろう。金が倍になるのは、タイトル通り、何かのマジック、つまり、タネがあるということを匂わせながら、話が進んでいくから目が離せなくなるのだ。それが、わかるのは、完読してからだというのが、これまたマジックだね。

  •  目の前で金が倍になるトリックの種明かしにも驚くが、小ネタ満載の本作品はおすすめである。マジックのネタを明かすことで、被害者を防ごうとする少女と刑事の人間模様にはじまり、彼女の養父が天才的な詐欺師であることで話は更に盛り上がる。平行して発生する、銀行システムに重大損失を与えかねないXEウイルス感染事件がどのように絡んでくるのか、最後まで見逃せない。

  • 松岡圭祐さんの本を読むきっかけになった本。マジックが好きだったことがきっかけで読んだ。マジックのトリックが満載でマジックの勉強にもなる。もちろんストーリーもスピード感があってワクワクする。

  • 再読。
    マジックのトリックと犯罪を絡めた小説。

    闇金融とマジックとか、なかなか無理があるなーという部分もあるけと、面白かった。
    お金が倍に増えるとかっていうのもインパクトある。

    が、言うなれば沙希と舛城が千里眼シリーズとキャラクターの要素が似ているのが残念。
    顔が小さくてスタイル良くて美人で頭が良い。若干の幼さがあるくらいで、あえてそうしたのかもしれないけど違いがあんまりないところが。

    読んでると書き分けられているのは分かるけど。

  • マジックを使ったトリックだったのですが、布団乾燥機で圧縮って・・・ヾ(・・;)ォィォィ
    クリーニング屋さんに対する詐欺商品もヾ(・・;)ォィォィというものでした。
    そんなんで、だまされるんか? ちょっと

    マジック世界の裏話もあって、なかなか楽しめましたが。

    で、結局真犯人は貴方だったのですか・・・・。しかも、貴方は・・・。
    ということで、ラストもなんだかなぁ、実の娘相手にソコまでするか?

    この作者は過去に作中で扱った事件や登場人物をちょこっと書くのが好きなようですね。ちょっとにんまり。

  • 久しぶりにワクワクするミステリー。一気に読めてしまいました。

    最後に犯人を「子供」と片付けてしまうところがちょっと納得いかなかったけど…

    完全版の方もぜひ読んでみたい。

  • 魅力的なキャラクターの天才少女マジシャン里見沙希は、シリーズ化されているらしいので、ほかのものも楽しみだ。
    コンピューターウイルスの話とマジック用品の流通ルートを追う展開が融合していく展開が素晴らしい。

  • 松岡さんの小説はやっぱり面白い!

    他の方の感想を読んで気付いたのですが…。
    この小説、推理小説?になるのかな?トリック小説…?
    うーん、まぁ、犯罪が関わるお話で、大抵人が死ぬのが常ですよね。
    だけど、この本では殺人が起きない…!
    人が死ぬ、それも残虐死が多く、その描写に気持ち悪くなる性質なので、これは嬉しい。

    この小説はマジックを使って詐欺をしていくわけですが、やっぱりマジシャンって凄い…と思わされます。
    あわよくば自分も覚えたい。
    そんな憧れを抱くマジシャンだけど、現実問題は厳しい…というのも本編で盛り込まれてもいます。

  • ドラマの「トリック」みたいな話です。
    売れないタレントをやっていた人が作家としてこれだけ成功するなんて誰が予想したでしょうか。

  • どんどん読めるが、若干安っぽい展開

  •  脱税の疑いでしょっぴいた男は、奇妙な証言をする。「本当だよ!目の前でその男がカネを倍にしたんだ」――。どこからか男が現れて、一切手をふれないままに、お金を2倍にして去っていったというのだ。新手の詐欺の存在を疑った警部補・舛城徹(ますじょうとおる)警部補であったが、なんとそんな奇妙な証言をする者が他にも何人も現れたのだ。どういうトリックがあるのかと捜査をすすめるうちに、舛城は”マジック・プロムナード”という劇場にたどりつく。そこで出会ったのがわずか15歳の少女・里見沙希であった。

     早く千里眼シリーズを読み進めたいのだが、次の話にはこの「マジシャン」の里見沙希が登場するということで、先にこちらのシリーズに着手。天才的なマジックの才能をもつ沙希だが、まだ15歳ということもあり、かなり大人っぽいとはいえ、千里眼の岬美由紀とは違ってまだまだ発展途上な、感情も行動も揺れまくりな未熟な少女といった感じ。舛城に頼まれて、犯罪の裏に隠されたマジック的トリックを見抜く手助けをすることになる。マジシャンがもしも悪意を持っていたら、犯罪なんてやすやすと・・・と思ったこともあるので、実際そうなってしまったらと、そう思われてしまうこととの葛藤が描かれている今作はとても興味深かった。舛城と一緒に捜査をする新人の浅岸裕伍、そして手が足りないという理由で科捜研から送られてきてしまった白金恵子(しろかねけいこ)も最後には随分成長したし、沙希もマジックの祭典が行われるドレスデンに向かったので、次作ではきっと、少し成長した姿が見られるのであろう。

  • マジシャンの詐欺師を相手にした警察もの。
    おもしろかったーーー。
    ちょっぴりマジックの種明かしみたいなのもわかるし、人情的でもあるし、どんでん返し的でもあるしすごいたのしかったーーー。
    15歳の女の子マジシャンが、警察と協力して大きい詐欺事件を追う。
    そして果ての犯人はその女の子の父であり、もと詐欺師で逮捕された男。。。
    そして警察が大きく追っていたPCウイルスの問題にも関わってるから大きい展開。包み込まれるような。
    女の子は人を信じることができないから、最後は殺されなくてすんだし。良かったー。

  • ・奇術師対詐欺師の目眩く頭脳戦
    ・目の前で金が倍になる・・・という奇妙な言葉を被害者が言う
    ・警察は毎回の被害者たちの証言に困惑
    ・その正体はじつはマジックであった
    ・さまざまな事件で凝ったトリックが使われることは珍しくない
    ・ひとりのマジシャンを志す少女の証言がさらに事件を困惑させていく
    ・最初から最後まで騙し合いの連続の物語

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著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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