始祖鳥記 (小学館文庫)

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著者 : 飯嶋和一
  • 小学館 (2002年11月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094033113

始祖鳥記 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 2017年は酉年、ということで選んだ1冊。(鶏ではないけれど…)

    江戸時代、岡山の町では夜な夜な藩の失政を嘲笑う鵺が飛ぶという。
    民衆たちは藩を非難する怪鳥に喝采を送り、役人たちは捕縛に躍起になった。
    町を騒がす怪鳥の正体は、1人の空を飛ぶことに魅せられた男でした。

    主人公・幸吉を突き動かすのは「空を飛びたい」という一念のみ。
    世間から、悪政に反発するため空を飛んだ男、と見られていることに、幸吉自身は戸惑いを感じています。
    しかし、当の本人を置いてきぼりにして、幸吉が空を飛んだ話は日本中に広まり、人々を奮い立たせ、大きな動きを生み出す源になっていきます。
    たった1人の志を貫く姿が、多くの人々に伝播していく様に胸が熱くなりました。

    物語は3部構成で、第3部はわが故郷・駿府が舞台。
    馴染みのある町名や場所が登場したことも手伝って、より一層物語にのめりこんでいました。

    ほかの飯嶋和一作品も読まねば!

  •  うおー!すごい!「全日本人必読!」と書くだけはある!<br>
     ものすごい急展開もない。すさまじいオチもない。派手な名ゼリフがあるわけではないし、現実離れした濃いキャラクターが出てくるわけでもない。それなのに、とても胸が熱くなるのだ。第一部では天才表具師でありながら、空を飛ばずはにいられない幸吉の心中に共感し、第二部では「××が来た!」と伊兵衛と一緒になって叫んでしまった(笑)そして第三部では……と、それは読んでのお楽しみ。<br>
     それじゃあ、この小説はどんな小説だったんだ、と振り返ってみる。ものすごくざっくりした言い方だが、ただ出会うべき人物が出会い、為すべきことを為し、淡々と、しかし着実に、物語が展開していき、辿り着くべき結果へ辿り着く。<br>
     そこで、ああそうか、とはたと気づく。それが歴史というものなのだ。それは人間の営為の積み重ねなのだ。同作者の「出星前夜」に井上ひさし氏が寄せた賛辞と重なってしまうが、そこにはたしかに歴史があった。

  • 元気のないとき、勇気が必要なとき、また奮起したいときなどに聴く曲、というのをもっている人は多いと思う。
    自分の場合は、それにあたる小説が、この『始祖鳥記』である。
    仕事がうまくいかんとき、海外旅行のとき、入院したときなど、読んで力をもらったものである。

    本書の、資料資料した説明をいやがる人もいると聞く。だがこの小説の3人の男たち備前屋幸吉、巴屋伊兵衛、福部屋源太郎の男前さを堪能するには必要な部分なのだ。

    もう何回目かの読了かわからん。カバーを引っ剥がしてところかまわず読んじゃうので、自分がもっている今の文庫本は3代目にあたる。

    数少ない、次回作が楽しみな存命作家が飯嶋和一なんだもんね。

  • ひとつの夢を追い続けることはとても難しいことだと思っている。子供のころ純粋に思い描き形にしようと思う傍ら生きてゆくための暮らしがある。それは年齢を重ねる程に大きな割合を占めるようになり、強く願っていたことは次第に生活の中次第に色色あせていってしまうことが多いのではないだろうか。そのため「夢は夢」…そんな切ない言葉がつい口を衝いて出てしまう。それは単なる言い訳なのかもしれないと、この本を読んで考えてしまった。

    例えば生活の中、薄れてしまったとしてもいつまでもその思いを胸のどこかで温めていることで描いた夢へと向かうことが出来る瞬間を見逃すことなく進めることは出来るのだと思う。その時はとても勇気が必要となるかもしれないけれど夢を叶えるということは、何かを犠牲にする「勇気」や「ちから」が必要なものなのかもしれない。

    そんな風に夢を持ち、夢へと向かう姿は他者からの目にも輝くものが見て取れ、それがその人の魅力となり、またその姿を見た人の希望にも変わる。誰かの夢が誰かの夢の手助けをする…そんな連鎖が続いていく。夢というものには、そんな不思議な力が宿っているようにも思えた。

    この「始祖鳥記」は、そんな夢が夢を呼び忘れかけていた希望を手にして行く男たちのお話。またこのお話は実際にあった出来事をモデルとしたもので、この時代にとんでもない夢を持った人物がいたということに驚く。

    夢は風を見極め掴むこと。
    共に夢を見てくれる理解者。
    そして何より飛び立つ勇気と羽ばたく力強さ。
    それとほんの少しの運。
    これらが重なったときに形をなすのかもしれない。

    その運は単なる「運」ではなく夢に対する自身の思いが運んでくる「運」でそこには必ずひとがついてくると思う。そう考えると「夢を描き続けること」それこそが夢を叶えることに繋がるのだろう…

    そんな風に自分の中で眠ってしまった夢を再び思い起こさせてくれる素敵な本だった。

  • ずば抜けてレビューが高評価でしたので読んでましたが・・・

    自分の好みではなかったようです。
    江戸時代のお話であり、言い回しが耳慣れない文章だったのと、凧や船について延々と専門的な説明が続くのも苦痛でした。

    最後にちょっと感動みたいなのも感じましたが、
    飛ぶなら「イツマデ」言わなきゃダメでしょw

  • 次回プレゼント本予定:茂樹さん

    理由はまだ読んでいるのが途中だから。
    (この本面白そう)

  • この小説は、江戸時代で地震・火災など天変地異の多発によって、人々の心が低下している中一人の岡山・津山の主人公「表具師 弥作」が希望をもって鳥人になり。

  • 2016.09.05読了。
    今年6冊目。

    岩田書店、一万円選書の一冊。

    ひさしぶりにものすごく面白かった!
    凧で空を飛んだ幸吉の話ももちろん面白いんだけど、源太郎や伊兵衛、杢平など登場人物も魅力的で面白い。
    塩の話や、船での沖乗りの知識や颶風の中の航海などは興味深かった。
    元気がもらえる一冊です。

  •  ライト兄弟の人類初の飛行機による初飛行よりも120年も前の江戸時代後期、人は空を飛べると確信した男がいた。

     備前屋幸吉は表具師としての腕を持ち、その腕で己を乗せた大凧を作った。
     職人としての最高位の銀払いの身であったが、空を飛んだことで人心を惑わした罪で岡山から追放された。

     幕政に苦しむ民は幸吉の行為を、お上に対する反発だと喜んだ。
     武士階級への反発心は、また別の男たちの心にも火をつけた。

     江戸衆が独占する下り塩に苦しんでいた行徳の塩問屋、巴屋伊兵衛と、起死回生に手を貸す児島廻船衆たち。
     そして幕府直轄で独占していた商人たちから、商いを奪い返す。

     ところ変わって、幸吉は駿府で商いを興して成功していた。しかし、このままで人生を終わらせていいのか悩み始める。
     やり残したことは一つ。再び空を目指す。


     お上に逆らえず、ただうなだれるだけの毎日を過ごしていた男たちが立ち上がる。

     その中心に幸吉がいた。本人は、ただ空を飛びたかっただけだが、周り放っておかなかった。

     確かに、備前屋幸吉は実在した人物らしい。空を飛ぼうとした男が200年以上前にいた。

     それを飛べる。そのためには何が必要か。鳥の羽を調べ、竹組の翼を技術で完成させる。

     そんな技術者の魂にとても惹かれた。人が思いもしなかった何か、それを生み出し完成させるまでのプロセスは昔から変わらない技術者の基本だ。

     そんな技術者になりたい。

  • 元祖鳥人間の話。
    鵺騒ぎとして財産没収され船乗りになって塩を運んだり駿河の地に安住しようと隠居したけどやっぱ飛びたい気持ちを抑えられなかった人。趣味っていうか、そういう抑えられない衝動ってずっとあるものだと思う。

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始祖鳥記 (小学館文庫)の作品紹介

空前の災厄続きに、人心が絶望に打ちひしがれた暗黒の江戸天明期、大空を飛ぶことに己のすべてを賭けた男がいた。その"鳥人"幸吉の生きざまに人々は奮い立ち、腐りきった公儀の悪政に敢然と立ち向かった-。ただ自らを貫くために空を飛び、飛ぶために生きた稀代の天才の一生を、綿密な考証をもとに鮮烈に描いた、これまた稀代の歴史巨編である。数多くの新聞・雑誌で紹介され、最大級の評価と賛辞を集めた傑作中の傑作の文庫化。

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