ヘーメラーの千里眼 (上) 小学館文庫 ま 2-15

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094037951

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  • 美由紀の元同僚で、航空自衛隊のパイロットを努める伊吹直哉(いぶき・なおや)が、訓練中に篠海悠平(しのみ・ゆうへい)という11歳の少年を誤射してしまうという事件が起きます。訓練に使われた武器が機密であることから、自衛隊は事態を隠蔽しようとしますが、自暴自棄になった伊吹は周囲と衝突を起こし、精神鑑定を受けることになります。そこで、このところ急速に成長した「アルタミラ精神衛生株式会社」に精神鑑定が依頼されることになります。

    一方、アルタミラから情報が流出することを恐れた自衛隊幹部は、元自衛隊員で臨床心理士の美由紀を引っ張り出すことで、事件の終息をもくろみます。こうして美由紀は、アルタミラで秘書を務める見鏡季代美(みかがみ・きよみ)という女性と敵対しつつ、伊吹の心と事件の秘密にせまっていきます。

    前巻までのメフィスト・コンサルティングとの世界を股にかけた戦いは、どこまで話が大きくなるのかと少々ついていけない気持ちにさせられましたが、今回は物語がかなりスケール・ダウンされたことで、密度も濃いものになっているように感じました。

  • 航空自衛隊の演習中に発生した未曽有の過失事故。事故を起こしたのは戦闘機の精鋭パイロット・伊吹直哉だった。国家の威信に重大な波紋が生じる一方、かねてから麻薬密輸船の領海侵犯に頭を抱えていた防衛庁は、パイロットの精神鑑定を要求する巨大企業にも翻弄され、途轍もない陰謀に巻き込まれていくー。かつての恋人でもある伊吹を守るため、臨床心理士・岬美由紀は青春を謳歌した航空自衛隊基地に帰還。そして彼の精神鑑定に乗り出すのだが。

  • 2015.07.01.読了

  • こんな人っているよね。
    本文より、p50
    「己れの意見を持たず、ただ感情と情勢だけに流され振りまわされる小役人の典型的な姿だった。」

    岬美由紀の高校時代と防衛大学校時代の話しが長く物語の進行が今ひとつ進まない。しかし、話しにのめり込み、バス停を一つ乗り過ごしてしまった。

  •  防衛庁航空自衛隊のエース・伊吹直哉一等空尉が、あろうことか演習中に安全確認を怠り、子供が隠れていたと思われる標的を撃ってしまった。明らかに自分の落ち度であり、自分はおかしいのだと自責する伊吹。精神鑑定を求めるが、アルタミラ精神衛星などの民間企業に依頼し、事が外部に漏れると世間の非難を浴びるのは必至。ならばと政府が思い浮かべた人物が、航空自衛隊の内部事情もよく知る岬美由紀であった。そして・・・実はこの伊吹直哉、岬美由紀の元恋人であった。

     美由紀の防衛大学校時代の初恋、そしてその次の恋(どちらもキスすらしていないが付き合ってはいたらしい)が描かれていてシリーズとして興味深い今作。まさか自衛隊に入った理由が、好きな男のそばにいたいからだったなんて!その他にも、親に反発して家に帰らない不良娘だったり、簡単なワナで男にオチてしまうただの女の子だったりで、今の姿からは想像つかないような幼さが見える。防衛大学校のこと自体も、一般人からすれば未知の世界であるので、どこまでが本当なのかはわからないが「へぇ~」と初めて聞くようなことばかりでおもしろかった。美由紀の過去、そして上坂・伊吹との出会いや関係が書かれたのが大半だった前半。さて、後半ではいよいよ伊吹が子供を見逃してしまった理由が明らかになるか。

  • この話は、今までは経歴でちらっとしか語られることしか無かった岬美由紀の自衛隊入隊から伊吹との出会い、F15のパイロットになるまでのことがばっちりわかるので、シリーズを読んでいる人は必読です。

  • 昔の千里眼みたいに悪との戦いがない。岬美由紀の過去が少しわかる。下巻に期待。

著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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