神々の指紋 下 (小学館文庫 R ハ- 1-2)

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (471ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094038422

感想・レビュー・書評

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  • (01)
    トンデモ,珍説,空想小説などのレッテルが貼られた本も,その時代の空気を呼吸しており,その意味では書かれた動機からは少し離れて歴史的な史料として読むこともできる.本書もそんな時代の空気を頁に保管してくれているのではないだろうかと手にとった.
    時代とは,もちろん本書が発表された20世紀末であり,その世紀末はたまたまそれまでの1000年の終わりでもあった.しかし,本書を読めば,その時代の終わりは,もしかすると1万年にも及ぶ周期にあっての末世を示すものでもあった.著者はその終わりの時代にあって,始りの時代にあった中南米とエジプトにある古代遺跡の現場へと足を運び,そこで吸った空気を,本書に吐き入れているのであるから,敏感な読者は,その世界とその終わりに呼応することもあるだろう.
    歴史を超えて,何か時間的なものごとを語ろうとするとき,それは預言的に,黙示録的に,また神話的なテクストに拠らざるをえない.歴史学や偏屈な考古学を超えようというのであるから,地質学,天文学,気象学といった別の時間スケールにある科学(*02)や,それを計測するための数学も動員される必要がある.
    天体としての地球や星々をにらみ,地表をなす石や砂や水,大地と大海,そして氷と雪と向き合った遥か昔の人々が呼吸していた空気が,本書から感じ取られるとすれば,それは詩と科学という方法が,古今を通じているからなのかもしれない.

    (02)
    科学の定立は機械の設置を必ずともなう.観測装置や実験装置として機能した機械のイメージが古代遺跡に重ねられている.それは残された建築という産物は,産まれた当初にあっては機械として機能していたのではないだろうかという問いかけでもある.
    その時代を生きて死んでいく人のための建築,住むために住居として機能し,死んでいく人のために墓所として機能する建築を否定する建築とはどのようなものであろうか.本来的な建築とは,時代を貫通するべく,強大で不変で定位され,次代の時代,そのまた次代の時代へと時を運ばれる程度の科学と技術を有した機械でなければならないのではないか,という超古代からの提案であるかもしれない.
    長期的な天体運動に合わせた不動は観測所にもなり測量原点ともなる.その不動性(*03)を確保するための素材は主に石であるから,位置と素材の選定,材料の運搬と構築は,技術複合体となって巨大な石造物という機械を取り持つ.文字通りの月日や星々に向き合い,巨大や長大をもって望遠的に空と時に望みつつある姿,風や雨にさらされるつも,時に水を貯えながら配水し,文字や像を刻むための白紙としても機能する姿,こうした機械としての建築の姿には,超古代の人類からのメッセージを読むよりも,彼女ら彼らの偏執的な建築愛(機械へのマニアックな愛)を読むのが正しいのかもしれない.

    (03)
    不動と遊動は,何をその動性の基点に置くかによって相対的であるが,技術とそれを運ぶ技術者を基点とした際に,航海術は世界の動態を相対化させる.動かないもの,どこでも使えるものとしての技術を伝える人は,そのとき動きまわる人になる.箱舟や草舟といったモチーフも本書には記されており,遺跡との興味深い絡みも説明されている.
    水をこなす航海と石をこなす建築という両技術の複合を日本列島に入力したとき,この国の古代史の動かしがたいところと動きまわるあたりが,はっきりしてくるのかもしれない.

  • 人類の失われた記憶を探し求める旅は、エジプトに辿り着き、いよいよクライマックスを迎える。巨石を驚くほど正確に、しかも天体の法則に従って積み上げ、配置したのはいったい誰なのか。この地や中南米の遺跡など、それぞれの地域に伝わる伝説に見られる共通点は何を意味するのか。失われた高度な文明に生きた人々が、時空を越えて私たちに伝えようとしたメッセージがいま解き明かされる。

  • (上巻より続く)
    そりゃ、エジプトのピラミッドもナスカの地上絵もククルカン神殿も謎だらけだけど、
    その謎が解けた、という結末まで至ってない。

    私的にハイライトは、
    クフ王のピラミッド、
    王の間の石棺に著者が横たわっていた時に、
    日本人観光客に取り囲まれたところ。
    そりゃ、そんなところ人が寝ていたら、びっくりするでしょ。

  • フィクションとして面白い。

  •  この本の説を真実へと押し上げるのは、おそらく地表面がつるとすべってあれほど長い距離の移動するというこが本当に起こったのか、ということを証明できるかどうかにかかっている気がします。
     考古学者がどうこういうより、科学者がその可能性を口にするほうが論証作業は進むと思います。

  • 南米旅行の帰り San Salvador 空港で5時間の待ち時間があるというのに、コムズカシクてぶ厚いから大丈夫だろうと頼りにしていた「神々の指紋」上下巻を、着陸直前に読み終わってしまいました。なんという不覚。読む本がなくなるくらいなら、荷物が増えるほうがよかた。

    本書は文明の夜明けとされている 3,000BC のエジプト以前に繁栄し滅亡したと考えられる古代文明、「人類の失われた記憶」の存在を仮定し、その論理的証拠を求めて中南米の遺跡や各地に伝わる伝説を実地検証していくという壮大な作品です。主な証拠としてあげられている事象は以下のとおり。

    ●南極大陸の正確な地図を、大陸発見以前に作成した者がいた。南極大陸が氷に覆われていなかったのは、6,000BC以前のこと。地図の作成には高度で複雑な技術を要する。

    ●エジプト文明を代表する建造物、スフィンクスや河岸神殿に、科学的に間違えることができないほどはっきりと雨による磨耗の痕跡が残っている。エジプトで石を侵食させるほどの降水量があったのは、10,000BC頃。

    ●エジプト文明ではナイル低地の陸に閉じ込められた人々が、農業には必要ないはずの航海民族レベルの天文学を使いこなしていた。これらの知識は、エジプト文明がさらに太古の文明から継承したものだと考えるべき。

    ●インカ帝国征服の際に、スペイン人の歴史学者が残した記録によると、ティワナコの遺跡はすでに磨耗していた。インカ文明はこの巨大かつ精密な石造建築物を太古の文明から引き継いだのではないかと考えられる。マチュピチュだけを見ても、遺跡のあちこちで建築技術の水準に明らかにばらつきがあり、これは既存の建造物に手を加えて使っていた形跡と考えられる。

    ●各地で別々に発展したばずの、伝説、神話、宗教の経典に共通して繰り返し使われるモチーフ (象徴的数字、洪水に箱船、民を教え導く知識人など) が存在する。これはもう、実際に氷河時代の最後(15,000BC 〜 8,000BC)の破壊的な解氷によって失われた、太古の文明が体験した実話ではないのか。

    つまり太古の高度な文明は少なくとも一度滅びている → その高度な文明が当時の技術を集大成して、現在の文明もまた滅びるということを我々に伝えている → 現在の技術を駆使して我々も後世に技術や文化やメッセージを送るべきなのではないか、と展開します。若い研究者や各分野の権威の好奇心を刺激し、多方面の研究の発展を促すことが目的なのでしょうが、どうもムダにおどろおどろしい。

    こういった終末思想をテーマにすると、どんなに理論的に証拠をあげていてもどうしてもうさんくささは拭えない。それは、世界が終わるなんて信じたくないからではないと思う。広大な宇宙にぽっかり浮かぶ小さな地球に住む以上、そういうことがあっても不思議はない。ではどうして、地球が滅びることは必至という過去の天才たちのメッセージ (著者によると... ) に耳を塞ぎたくなるかというと、多分何もできないからだと思う。

    宗教の有無に関わらず、巨大隕石が地球に衝突する、地殻大変動が起こる、他の惑星が地球の磁力引力を乱す「その時」が来たら、手の届く限りの人を守り、思いつく限りの人の無事を祈り、あらん限りの知恵と物資を使い果たしたら、おとなしく儚くなるしかないじゃないかと思う。

    まぁ、論理を展開していく部分は天文学や古代史の背景知識がないとついていくのが難しいのに加えてこの上なくうさんくさいですが、遺跡がたくさん出てくるので旅行の予習にお勧めです。とにかく行動力のある人なので、旅行記としてだけ楽しんでみるのもいいと思います。守衛に賄賂をばらまいて深夜ピラミッドに登ってみたりと、めちゃくちゃです。

    「過去というものは、とにかく乾いてほこりにまみれたものだ。だが、無口なことは少なく、耳を傾ける者には、情熱を込めて語りかけてくる。」
    - Graham Hancock

  • 読了

    出版社 / 著者からの内容紹介
    人類の失われた記憶を探し求める旅は、エジプトに辿り着き、いよいよクライマックスを迎える。巨石を驚くほど正確に、しかも天体の法則に従って積み上げ、配置したのはいったい誰なのか。この地や中南米の遺跡など、それぞれの地域に伝わる伝説に見られる共通点は何を意味するのか。失われた高度な文明に生きた人々が、時空を越えて私たちに伝えようとしたメッセージがいま解き明かされる。解説は映画「地球交響曲」の監督・龍村仁。

    Fingerprints of the Gods by Graham Hancock

  • 「ピラミッド建造者の本当の目的はなんでしょう?」
    自分たちが姿を消した後の、遠い未来の人々を、自分たちの考えに巻き込むことができるのを知っていた。それを行うためには永遠に動く機械を造ればよいことも知っていた。それは質問を生み出す機械だ」
    「機械とはピラミッドのことだ」
    紀元前一万一千年前、地球的規模の大災害が起こり、超高度な技術文明を持っていた人々も含め、当時生きていた人々も死んだ。・・」
    かれらはこの機械(ピラミッド)を通して何を未来に伝え様としているのか?
    下巻52章「夜の盗人のように密かに」ここに答えがある。


  • はやった時に読めれば良かった。読了せず。

  • 1995.5.1 1刷 683
    人類の失われた記憶を探し求める旅は、エジプトに辿り着き、いよいよクライマックスを迎える。巨石を驚くほど正確に、しかも天体の法則に従って積み上げ、配置したのはいったい誰なのか。この地や中南米の遺跡など、それぞれの地域に伝わる伝説に見られる共通点は何を意味するのか。失われた高度な文明に生きた人々が、時空を越えて私たちに伝えようとしたメッセージがいま解き明かされる。解説は映画「地球交響曲」の監督・龍村仁氏。

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著者プロフィール

イギリス出身。元『エコノミスト』特派員。国際的なノンフィクション・ベストセラーの著者。主な著書は『神々の指紋』、『創世の守護神』、『神々の世界』(共に小学館文庫)、『天の鏡』(翔泳社)、『異次元の刻印』(バジリコ)、『神々の魔術』(KADOKAWA)など。冒険小説には『リアとレオーニ・時空を超えた姉妹』(講談社)、『WAR GOD』がある。彼の著作は30ヶ国語以上で翻訳され、世界中で700万部以上売れている。有名なテレビ・シリーズ『Quest for the Lost Civilization and Flooded Kingdoms of the Ice Age』をはじめ公開講演、ラジオ・テレビ出演も多数。WEBでも数千万人の視聴者を捉え存在感を示している。また、型にとらわれない思想家として知られるハンコックは、人類の過去や私たちの現在の苦境について、共感を呼ぶ疑問を投げかけている。

「2020年 『人類前史 失われた文明の鍵はアメリカ大陸にあった(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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