多甚古村,山椒魚 (小学館文庫 R C- 6 新撰クラシックス)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 34
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094041064

作品紹介・あらすじ

南国の海辺の村に新しく赴任してきた甲田巡査は平和を愛する好人物。その甲田巡査の日録のかたちで綴られた「多甚古村」は、瓢々とした著者独特の文体で、ジグザグした人間模様が生彩を放ちつつ展開される。この他、棲家である岩屋の居心地のよさにうっかりと2年間暮らすうち、一生外へ出られなくなってしまった山椒魚の狼狽と悲しみを描いた「山椒魚」など、機智的ユーモアとペーソスに溢れた井伏文学の代表作3作品を収録。「新撰クラシックス」シリーズ、第6作。

感想・レビュー・書評

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  • 名作の「山椒魚」の他「本日休診」「多甚古村」の三作。山椒魚の短さには少し驚いた。

    「本日休診」は戦後まもなく、「多甚古村」は戦争中の当時の人々を暮らしを描いている。日記風なので、少し飽きてくるが、三作を通して作者の人への温かみが感じられる。

    最後に作者の写真等があるのは非常に良い。

  • 「山椒魚」
    短編で読みやすくて、人間でないものを描く。視点が面白いね。

  • 「山椒魚」:言わずと知れた井伏鱒二の処女作(大正12年)です。お話自体は有名な小説ですので、あらかたの筋はみなさんご存知かも。2年間を文庫本12ページで読み切る短編です。標準の文法から逸脱しながら、抑制の効いた文章が綴られています。問題はラストの蛙のセリフですよね。色んな読み方ができると思います。私は「今でも」というセリフから、いつから蛙がそのような心持になったのか非常に気になりました。
    「本日休診」:昭和24年に第1回読売文学賞にも輝いた作品です。映画化もされました。本日休診って言うとなんだかほんわかした感じがしますが、実際には、東京蒲田を舞台に、戦後の貧困にあえぎながらも何とか生にしがみついている人たちの風俗を赤裸々に活写した作品です。お金がないので治療を拒否して死んでいくエピソードなど胸をうちます。
    「多甚古村」:徳島のある村の駐在さんが日記を井伏に送り付け、それをもとに日記風の小説にした昭和14年の作品です。これも映画化された作品です。日中戦争のさなかとは言え、のんびりした田舎の風俗が描写されます。でも、ところどころに「非常時」とか「日本が一番強い」とか「出征兵士の見送り」とか戦争が影を差します。駐在という権力装置の末端にありながら、村人に頼られる姿。一方で、権力に対し遠まわしに批判を示す村人。駐在さんを取り巻く環境は一様ではありません。文章の端々におっと思わせる作品です。

    山椒魚
    本日休診(読売文学賞)
    多甚古村

    第1回読売文学賞
    著者:井伏鱒二(1898-1993、福山市、小説家)
    解説:立松和平(1947-2010、宇都宮市、小説家)

  • 多甚古村のほのぼのとしたお話がいい。
    おまわりさん、ご苦労様と声をかけてあげたくなる。

  • 短編集で表題作の山椒魚も屋根の上のサワンも朽助のいる谷間もすべてよかった。

  • エキセントリック

  • 山椒魚。人生アキラメも必要。ってか深いー

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著者プロフィール

井伏鱒二 (1898‐1993)
広島県深安郡加茂村(現、福山市加茂町)出身。小説家。本名は井伏満寿二(いぶしますじ)。中学時代より画家を志すが、大学入学時より文学に転向する。『山椒魚』『ジョン万次郎漂流記』(直木賞受賞)『本日休診』『黒い雨』(野間文芸賞)『荻窪風土記』などの小説・随筆で有名。

「2023年 『対訳 厄除け詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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