鞍馬天狗 3 新東京絵図 (小学館文庫 R J- 17-3 時代・歴史傑作シリーズ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094042337

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  • 明治元年の東京が舞台。
    幕府が崩壊し、新政権が樹立された直後の東京は、古い時代と新しい時代が混然となっている。
    武士は帯刀し、髷をつけたままだし、一方では横浜で異人館が続々と建てられ、発展を始めている。

    維新の志士のひとりとして戦った鞍馬天狗は、新政府につくわけでもなく、気ままな傍観者として、この世情を眺めている。

    物語は自然、革命後の幻滅を描いていくことになる。そのまま暗く不満に満ちた話になるのかなと思ったら、さにあらず、旧武士の中の若い芽、将来への希望を描いて明るく終わる。
    娯楽作品であるから、口あたりのよいエンディングは当然だろうけれども、こういう難しい背景を扱って、こういう快い結論を見いだすのは、やはり作者の大衆作家としての力量なのだろう。

    この作品では、作者はストーリーよりも、古い時代と新しい時代の混じり合った東京を描くことに関心が引かれているようだ。

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著者プロフィール

大佛次郎
一八九七年横浜市生まれ。本名・野尻清彦。兄抱影は天文学者。東京帝大政治学科卒業後、鎌倉高等女学校の教師、外務省嘱託を経て、一九二三年関東大震災を機に文筆に専念。『鞍馬天狗』シリーズで急速に支持を得る。『パリ燃ゆ』『帰郷』『地霊』など歴史と社会に取材した作品も多い。六七年から死の直前まで朝日新聞で『天皇の世紀』を執筆。六四年に文化勲章受章。七三年没。生涯で五百匹の猫を世話したほどの猫好きでも知られる。横浜に大佛次郎記念館がある。

「2023年 『宗方姉妹』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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