キューバ・リブレ (小学館文庫)

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制作 : 高見 浩 
  • 小学館 (2007年11月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094054682

キューバ・リブレ (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  • 脱獄、追いつ追われつ、ヒーローと美女、等々のエンターテイメント性たっぷりでした。

  •  クライム・ノヴェルの名手と言われるエルモア・レナードが初めて挑戦した時代活劇小説が本書。もともと少しレトロ風味がかったレナードの世界に、さらにセピアのフィルターをかけて、時間軸を巻き戻してあげたような、それはそれは味わいのあるビターなドリンクに仕上がっている。もともとクーバリブレというカクテルが、本書のタイトルだ。ぐっと一息に飲み干すがいい。

     米西戦争として知られる1898年のエポックを背景に、例によって一筋縄では行かないパーソナリティの数々が、騙し合い、化かし合い、殺し合い……といったレナードならではの本領を発揮し合う。史実に即した時間軸の中で、そうしたヒーローやアンチヒーローたちがどれだけ演ってくれるかというところに興味を惹かれる。

     読み始めてすぐに気づくのだが、この作品は、いつものクライム・ノヴェルの味わいに、独特のウエスタン風味が加味されている。何しろ、主人公のベン・タイラーはカウボーイなのだ。まさしく馬に乗って牛を追う仕事をするあれである。

     そうしたタイラーが渡った先のキューバでは、アメリカとスペインの間に戦争が今まさに起きんとしている。タイラーは馬を売りに来ただけなのだが、ふとしたきっかけから、戦争の舞台裏で暗躍する秘密警察、ゲリラ軍の水面下での闘争に巻き込まれてゆく。さらには恋あり、誘拐身代金の強奪戦ありのゴージャスな冒険活劇に展開してゆく様は、あまりに嬉しい限り。

     特に列車を襲撃するゲリラや追跡チームから荒野を馬で逃れ行く我らがヒーローチームの銃撃シーンは、本書の白眉である。まるで、『ワイルドバンチ』と『明日に向って撃て』が小説の中に埋め込まれたようなスリルと痛快を覚える展開は、レナードの小説としては珍しいかもしれない。

     負傷兵として出現し、やがてはタイラーと行動を友にしてゆくバージル・ウェブスターは、8年後の作品『ホット・キッド』のヒーローであるカール・ウェブスターの父親として再登場する。『キューバ・リブレ』から30年後の設定であり、バージルは威厳を感じさせいぶし銀の風貌での登場となる。

     『ホット・キッド』も、無法者と早撃ち保安官の対決を前面に持ってきたウエスタンが基調となっている。馬で荒野を駆け回る時代から、車で銀行を襲うボニーとクライドの生きた時代へ。郷愁に満ちた世界をレナード節に乗って、荒くれ男たちや、美しく男よりもずっとタフな女たちが駆け回る世界を、ぼくはやっぱり愛してやまないのである。

  • 著者には珍しい歴史大作。アクションの見せ場が多数盛り込まれているのも新境地だろうか。著者らしい渋いラストも思わず納得。「もうお腹いっぱい。これ以上は食べられない」といった感じの満足度。10年くらい経ってからもう一度読み返したい。

  • 舞台はスペイン統治下のキューバ。アメリカ資本も入りつつ、いろんな人や国や軍がそれぞれの利害関係を胸に正義や主義そっちのけで自分の利益を追求して騙しあい、利用しあうようなそんな時代。途中で、既得権益を守ろうとしたスペインがアメリカの艦を攻撃して沈没させる(これ史実だそうです)事件が起こり、両国の間で戦争が勃発し、状況はますます混乱してゆきます。
    そんなキューバに暮らすアメリカ人資産家と、資産家に囲われている若いアメリカ女性、馬の売買を隠れ蓑に銃や大砲の武器を資産家に密輸する男、その男に雇われたカウボーイ、資産家の使用人だけど実はキューバ独立運動派の老人と、それぞれがそれぞれの思惑と価値観で行動するので、握手と裏切り、それに資産家の愛人とカウボーイとの恋愛をサイドストーリーに、レナードならではの筆致で物語は進みます。最初の3ミリくらいはちょっと読みにくかったですが、背景がだいたいわかって揃ったところくらいから、一気に引き込まれてだーっと読みました。面白かったです。
    ハイアセンやランズデールが好きな人は、もれなく好きだと思います。

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