小さな博物誌 (小学館文庫)

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著者 : 河合雅雄
  • 小学館 (2004年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094056310

小さな博物誌 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 読書録「小さな博物誌」3

    著者 河合雅雄
    出版 小学館

    p202より引用
    “ 百万年に百キロしか移動しないアオイの
    船に乗り、ギフチョウは中部以西の日本一帯
    にすみついた。その無量の進化の営為が、珍
    物漁りの文明人に今、無残に狩り獲られよう
    としている。”

    目次から抜粋引用
    “漆の名刀
     すももとゴリラ
     子猫を育てる猿
     一万年に一キロの旅
     枯木立の中の緑の灯”

     霊長類研究の第一人者である著者による、
    生物との思い出等を記したエッセイ集。
    過去他社刊行、「小さな博物誌」と「森の歳
    時記」加筆・訂正・文庫版。
     子供の頃の生き物との出来事から四季を彩
    る動植物の生態についてまで、情緒に溢れた
    文章で描かれています。

     上記の引用は、ギフチョウとその幼虫のえ
    さになるカンアオイについて書かれた話での
    一節。本当に自然を思いやるのならば、人間
    があまり近寄らないというのも、一つの考え
    なのではと思います。観光で経済が良くなっ
    ても、経済で取り戻せない損失が出てしまう
    事もあるのでなないでしょうか。
     サルの研究だけでなく、著者の多方面の生
    物に対する造詣と愛情が記された一冊です。

    ーーーーー

  • おもしろい。とくに一発目「漆の名刀」が抜群。河合先生が丹波篠山の山奥(?)でわんぱく少年だった頃の話。何も知らない子どもたちがウルシの木を刀に見立ててチャンバラごっこ。おじいさんの言葉がまたいい。「おまえら、まけへんかのう。」子どもは「負けてへん、おれは勝った。」などとのんきに答える。ところが見る見るうちに、身体が赤くはれ上がる。「ちんちん」までもがニンジンのように。ウルシを握った手で、ショウベンをしたからだ。近くのおじさんが教えてくれる。「油揚げを焼いてはれたところにぬって、それを食べるといい。」この話には後日談があって、後年研究者になってからのこと。宮崎県の幸島でニホンザルの研究をしているとき、不覚にもハゼの木をさわって、またかぶれてしまう。その後、大分県の高崎山にいた伊谷純一郎先生のところをたずねていくが、そこで出会った老人が特効薬を教えてくれる。「油揚げを焼いて患部にぬって、それを食べるといい。」へんな言い伝えがあるもんだ。探偵ナイトスクープあたりで、日本全国調べまわってほしいものだ。

  • 篠山などを舞台とした作品です。

  • (2006.11.27読了)(2006.10.29購入)
    この本は、単行本で出た2冊の本『小さな博物誌』と『森の歳時記』を一冊にまとめて文庫にしたものです。『小さな博物誌』は、単行本で読んだのですが、『森の歳時記』の方は、厚さの割には、高価だったので購入は見送りました。文庫になって安くなったので、購入し読みました。
    著者は、サル学者ですので、ニホンザルやゲラダヒヒについての啓蒙書を書いていますが、草山万兎のペンネームで子供向けの物語も書いています。
    森の歳時記は、一枚の写真と2ページのエッセイで、森の動植物の様子を綴っています。カラー写真(色んな写真家の写真が使われています)は綺麗だし、文章も永年の自然観察に基づいたエッセンスが詰まった含蓄の深いものになっています。
    ●ヤマユリ(226頁)
    在来種の植物の中で、この花ほど豊麗な花はない。だのになぜか、古来から詩歌や絵画にもてはやされた形跡を寡聞にして知らない。万葉でも源氏でも、圧倒的に愛される花は秋草である。
    西洋では百合はマリアの花として聖壇を飾り、清浄、無垢、貞節の象徴として処女に捧げられた。
    ●山茶花(254頁)
    陰樹の森に明るい灯をともすのは、山茶花や椿だ。椿の花は血の色にも似て気分が重いが、山茶花の白い花は陰鬱な森にほっとした安らぎと明るさをもたらす。人はその花を陰の世界から俗界に連れ出し、庭苑や垣根にしつらえて愛でた。
    ●宿木(273頁)
    早春、落葉樹の冬芽が春の気配を感じて蠢きはじめるころ、淡黄色の実をたわわにつけて鳥たちを誘惑する。卑しん坊の鵯がさっそく食いつくが、果肉と見えて、なかには粘性の液体がつまっており、嘴にまといつく。鵯は嫌って枝にこすりつける。それこそ巧知の者の逆手の技、実は枝にくっつき、やがて寄生根を下ろして樹皮にもぐりこみ、自分の城を作る。
    ●冬の木(278頁)
    小鳥も虫も生あるものがなべて、雪婆んごに追放され死滅させられた樹氷の森に、わたしはひそやかな生の交響を聴く。
    冷々と凍った氷の下で、深い眠りにおちいっているあどけないみどり児の冬芽に、やがて春風が、眠り姫を甦らせた王子のようにやさしく口づけすると、若やいだ緑の少女に変身する姿を想い浮かべるからなのだ。

    著者 河合 雅雄
    1924年 兵庫県生まれ
    1952年 京都大学理学部動物学科卒業
    専攻は生態学・人類学
    京都大学霊長類研究所教授、同所長、日本モンキーセンター所長を歴任
    京都大学名誉教授
    1976年『少年動物誌』(福音館書店)(野田児童文芸賞推奨作品賞)
    1991年『小さな博物誌』(筑摩書房、産経児童出版文化賞)
    1992年『人間の由来(上・下)』(小学館、毎日出版文化賞)

    内容紹介(amazon)
    豊かな自然が人間を育てた。少年時代からふるさと篠山の野山で遊び、生き物たちに親しんだ世界的動物学者が綴る自然交遊記。自然の美しさ、いのちの不思議さなど、数々の思い出が感動とユーモアいっぱいの物語に。また、四季折々の日本の森の美しさ、楽しさ、不思議さを愛する著者が、森に生きる動物たち、樹木、草花に想いを寄せて綴った俳句のない歳時記ともいうべきエッセイ集『森の歳時記』を併録。

  • 南雲先生おすすめ

  • 篠山の野山で遊び、生き物たちに親しんだ世界的動物学者が綴る自然交遊記。エッセイ集『森の歳時記』を併録。

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