帰還せず 残留日本兵六〇年目の証言 (小学館文庫 あ 14-2)

著者 :
  • 小学館
3.50
  • (0)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 18
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094060744

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 戦場に置いて一番大切なことである補給線を無視し、日本陸軍に
    壊滅的な打撃をもたらした悪名高き「インパール作戦」。

    その作戦に参加した兵士の何人かは、敗走中に軍からはぐれ現地
    の人に匿われる。軍で身につけた機械修理の腕を生かし、住み着
    いた村で重宝される者もいれば、故郷の長崎に原爆が落とされた
    ことを知り、日本に帰国する為に日雇い労働で費用を貯めて、
    やっと帰国した故郷であるのに兄弟に冷たい仕打ちをされ、
    再び日本を捨てる者もいる。

    戦闘らしい戦闘もなく日本の敗戦を告げられたジャワの兵士たち
    は、「何の為に南方に来たのか」との思いを抱え、インドネシア
    独立戦争に身を投じる。そして、独立宣言を読み上げるスカルノ
    大統領の警護に当たる。

    帰国しようと思えば、いくらでも機会はいくらでもあった。
    しかし、彼等は住み着いた土地に骨を埋めることを選んだ。

    若くして兵隊に取られ日本を知らないから。日本には既に
    家族がいないから。ジャングルの中で誰にも看取られず死んで
    行った仲間の遺骨収集と慰霊を続けたいから。

    それぞれに、平坦な人生ではなかったろう。しかし、辛苦の道を
    歩んで来た人たちの話は後悔の念は感じられなかった。

    久し振りに『ビルマの竪琴』を読み返してみたくなった。いい取材
    の出来ている本書だが、著者の戦争に対する予備知識の不足と、
    本文中の「!」や「!?」の多用が台なしにしているな。

青沼陽一郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×