世界から猫が消えたなら (小学館文庫 か 13-1)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094060867

感想・レビュー・書評

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  • [何かを得るためには、何かを失わなくてはね] 
    テーマ1 「いつか死ぬ存在」余命数日という斬新な極端な設定で、自分の寿命の延命の代わりになくしていいものを考えさせる。そして、自分にとって、「猫」に代表されるものの存在の価値に気づき、ただ生きていた自分から、どう生きるかという、主体的な生き方に気づき、最後は父との関係の修復に動く。
    悪魔の、「すべての人間にとって寿命は未知です」
    主人公も多くの人と同じで、悪魔の出現まではこの日常が続くと思っている。わが身に即しても、危機感のない毎日を送っているなあと思う。
    テーマ2 人生のたくさんの選択肢 ひとつを選ぶ事は無数のほかの可能性を捨てること。成り行きで選ぶのでなく、積極的に選べ。この点については土曜日の部分で少し触れている。主のテーマではない。

  • 流行ったときは読まなかったけど。
    流行った意味がわかります。
    見えないものほど、大切にしたいものが
    ある。

  • 主人公の人柄が、可愛い。
    悪魔も、面白可愛い。
    キャベツの言葉により交通機関で吹き出しそうになるのを懸命にこらえてしまいました。
    最後の方、お母さん、お父さんの想いにきづいたあたりで泣きそうになるのをこらえてました。
    サクッと読める文章ですが、心が沢山動かされました。

  • まさかこんな話の本とは思わなかった。恋愛ものかなーと思っていたのに…
    ダメだ。母や父の愛のことになると感情が揺さぶられてしまう。
    まさに大切な存在ほど失って初めて気づくのでしょう
    如何に大きな存在だったのかと…

    電話に始まり映画、時計と存在を消してきたが、如何に人生において重要な存在かと気付いていく。
    確かに自分の命と比べると命を選択してしまっても誰も咎めることはできないと思う。だって生きたいもの。
    でも、命より大事な物ってありますよね。自分の場合は子供一択です。何物にも変えれません。
    そしてそう思った時ほど自分の親の愛の深さを知ることになりました。
    いつかいつかと思ううちに親はどんどん老いていっています。普段、甘えて親孝行を手抜きしている人はすぐに電話だけでもしてあげて下さい。それだけでも親は喜びます。
    私は親孝行が余りできなかったクチなので、とても後悔し続けてます。神さまいきなりステージ4はないよ!

  • 余命が残り僅かと言われた主人公が世界から一つずつものを無くして、1日ずつ命を与えてもらう物語。

    世界には無駄なものが溢れているが、だからこそ一つのモノが無くなっても大きな問題は起きないだろう と思っていた。

    世界から消していくもの


    1. 携帯
    2. 映画
    3. 時間
    4. 猫

    これらを消すかわりに1日ずつ命を得ることができる

    携帯を無くした世界

    それは時間の開放。今までは携帯を使っていたようで、携帯に操られていた。

    自分の世界と向き合う時間が増えることで、相手を想う時間も増えた。会えない時間があることで相手を想うことができる。

    しかしその反面、すぐに気持ちを伝えたい時にも伝えられない。大切なあの人も携帯の中に登録されていて、人付き合いも携帯に任せっきりになっていたことに気づく。

    映画が無くなった世界

    それは自分を作るものが無くなった世界。主人公にとって映画は大切なモノ。好んで見ていたモノ。初恋の人との思い出もたくさん詰まっている。

    映画がなくなっても実生活に変動はないが、自分が見て感じたもので人が成り立っている。

    時間が無くなった世界

    人が勝手に作ったルールが無くなった世界。とても自由に思えて不自由な世界。

    人が勝手に作ったルールの中で人は自由を見つけ出す。

    猫がいなくなった世界

    主人公にとっては命よりも大切なものだった。幼少期からともに過ごし、亡くなった母との思い出もたくさんある猫。

    命が無ければ全てが終わってしまう。しかし生きるか死ぬかよりも、どう生きるかが大切であると気づいた。猫がいない世界は命を保つよりも大切なものであった。

    日々の当たり前にあるものが無くなっていくことで初めて気づく大切さ。

    家族は”ある”ものではなく、”なる”ものである。

    眼の前にあるモノに向き合い、なるものにしていくことで人生は豊かになるのである。

  • 午後から読み始めて夜には読み終わった。
    それぐらいあっさりと読みやすい文章。
    ただ、内容は生死に関わることで重い。

    抜粋 響いた言葉
    「あってもなくてもよいもの」が集まり、その外
    形を人型にかたどって「人間」というものが存在している。

    目の前のことに追われれば追われるほど、本当に大切なことをする時間は失われていく。そして恐ろしいことに、その大切な時間が失われていることにまったく気付かないのだ。ちょっと時間の流れから離れて立ち止まってみれば、どちらの電話の方が自分の人生にとって重要なのかはすぐ分かることだったのに。


    自分だったらどうか?自分の生き方はどうか?など、自分のことを考えたくなった。

  • 30歳の主人公、ガンにより余命なし、
    突如現れた悪魔との契約、何かを消せば自分が1日延命できる、という不思議なもの。
    少しずつ、消していく中で、いろいろ思い出していく中で、自分にとって大事なものとか、自分が他者にどうだったとか、見えてくる。親子、夫婦、恋人、友人、なかなか思うところの大きいお話。

    やるべきなのに何となく後回しになることって世の中に満載。

  • 彼女がバッドエンドの映画をもう一度見るようにしてる理由は、

    もしかして次はハッピーエンドになるかもしれないと思うから。


    時間がないはずなのにゆっくりと流れていく。
    ひとつひとつ消していくごとに
    過去を振り返って、進んでいく。

    生きることで、死に向かってゆく。

    シンプルで洗練された文章が好き。

  • 何かを得るには何かを失わなきゃならない。たしかにそうだなって刺さる言葉が沢山
    私はまだ母親が亡くなっていないし、父親とは円満だし、猫を飼ったことも無いけれど、主人公の気持ちを想像したらすごくうるうるしちゃって、電車の中で泣きそうになった。
    最後の終わり方が読者に想像させるような?終わり方であれはあれで好き。

  • 喪失の物語。愛しているということは、消えてほしくないということ…。失ってから気づくじゃ遅い、自分にとって大切なものを大切にしなきゃいけないと気づかせてくれるお話。

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著者プロフィール

かわむら・げんき
1979年、横浜生まれ。
上智大学新聞学科卒業後、『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『君の名は。』などの映画を製作。2010年、米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、’11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。’12年に初の小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞にノミネートされ、佐藤健主演で映画化、小野大輔主演でオーディオブック化された。2作目の小説にあたる本作品『億男』も本屋対象にノミネートされ、佐藤健、高橋一生出演で映画化、’18年10月公開予定。他の作品にアートディレクター・佐野研二郎との共著の絵本『ティニー ふうせんいぬものがたり』、イラストレーター・益子悠紀と共著の絵本『ムーム』、イラストレーター・サカモトリョウと共著の絵本『パティシエのモンスター』、対談集『仕事。』『理系に学ぶ。』『超企画会議』。最新小説は『四月になれば彼女は』。


「2018年 『億男 オーディオブック付き スペシャル・エディション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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