ライアの祈り (小学館文庫 も 19-4)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094061475

感想・レビュー・書評

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  • “青森三部作”の最終話。
    これまで脇役だった桃子さんが主役を張る。

    だけど、残念、あまり面白くない。

    現代の八戸と縄文時代の話が交互に語られて進む物語だが、八戸の名所と旨いものが並ぶばかりの煮えきらない恋愛話が続き、これが太古の因縁と結びついているのは想像できるのだけど、思わせ振りなばかりで最後はなんだか尻切れトンボ。
    それについては察してねという感じのまま、ミサンガの話がパプアニューギニアに飛んでいっちゃうというのはちょっとどうかな。

    また、『人間として一番大切なことは子孫を残すことだ』という言葉に桃子が鈍い痛みを持ち、それを吐露する桃子に対し、母が『子は宿せなくても、もう充分に親孝行は果たした』と鎮めてくれたにもかかわらず、最後には子どもが出来てめでたしめでたしはないんじゃない。
    七海は子を産んで幸せ、桃子は子は授からなくても幸せ、という話にならなかったのだろうか。
    女は子を産んでこそ女、子を授かってこそ幸せという価値観を押しつけられているようで、とても印象が良くなかった。

  • 現代と縄文時代。2層構造の物語はとてもよい感じで進んでいたのに。

    最後は息切れでしょうか。縄文のライアとマウルとサラの物語はなんの示唆もないままに立ち消えて。これまで接点のなかったパプアニューギニアが浮上して。土中のミサンガについての表記は矛盾を孕んでいて。

    書きたい設定だったことは作者のあとがきでわかりましたが、その設定で伝えたいものは本当にありましたか?

    そう問いかけたくなるくらい、救いのない話でした。

    だって結局、子孫を残せない人間はだめな存在だってことでしょう?だから、桃子は子供を宿した。宿すことでしか救われなかった。

    多くの女性、そうして男性にとっても救いのない話ですね。確かに生物の遺伝子は、子孫繁栄がプログラムされている。でも、人間の使命がそれだけなら、考える力も創造の力も授けられる必要はなかった。人間は間違いなく、生殖のみのためにこの世には存在していません。そんな結論を読みたかった。少し失望しました。

著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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