- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094062281
感想・レビュー・書評
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食事に関する記憶から、未来を作る、そういう内容の短編集。
大好物で御座います(いろいろな意味で)。
たくさんのおいしそうな食べ物と切ない記憶が出てくるのにさらさら読めるのは、流さんが現地調査するくだりがまるっと抜けてるからかもな。
依頼人からの情報を元に、結局は依頼通りの料理を作り上げるんやけど、そのためのフィールドワークが一文字たりとも書かれないのに、却って違和感がなくていい。
なんか、読んでると、
「これ、ほんまに依頼人が求めてる味に辿り着いてるんやろうか」
と、疑問に思うときすらあった。笑
でも、根拠があってもなくても、どちらでもいいのかもなあ。
依頼人だって確実に「あのときのあの料理」の味を覚えてるかどうか怪しいもんな(それは、私だけ?)。
だから、たぶんそこはどうでもいいんかも。
過去にとらわれてる気持ちを一歩前に進めてもらうためには、第三者がこうやって後押ししてくれることほど心強いものはないもの。
ここは、こいしが血気盛んで、流がわりと達観してるのがいい父娘コンビやね。
こいしちゃんは時々「お客さんにそこまで言うてええん!?」と、ヒヤヒヤするほどガツッとくるけど、そこはお人柄で大丈夫なんかな。笑
そして流とこいしの応酬も
「すごいな」
と、思うけど、これが普通の親子なんかしらね。
私は家族に対してそこまで自分の気持ちを言えないので、家族って、これくらいいうてもええもんなんかなとまじめに考えた。
それって、多少けんか腰になっても、根本のところで憎しみ合うことはないっていう信用があっての話よね。
イヤァ~…。
難しいね…。
一生懸命やったことって、どこかで誰かが受け継いでくれると思う。
私もそう信じたい。
その考えかたでいうなら、親というのは子どもに対して常に一生懸命であるやん。
だからこそ、たしょうのでっぱりへっこみがあっても、親の一生懸命の気持ちを子どもは裏切らないっていうことなのかもしれへんな。
小さいうちはともかく(乳幼児ぐらいの)、ある程度の社会性が身について、他者と比べるという気持ちもしっかりついてきたくらいの話。
子どもに対して目に見えるような、直接手やお金をかけることだけではなくて、親というひとりの人間の生きざまを子どもは見ている、そういうことなんやと思う。
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■アルマイト
アルミニウムの表面を酸化させて膜を作り、腐食しにくくしたもの。
■紫竹
イネ科の竹。高さ3~8メートル。茎は2年目から黒紫色に変わる。観賞用に栽培。
■うるか
アユの塩辛。鮎うるかともいう。
■才巻き海老
体長が10㎝よりも短く、20g以下の車海老詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
通院の合間にほっこり系の小説が読みたいと思い、二作目を読んでみた。京都のおばんざちが食べたくなる。
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流さんとこいしちゃんの食堂兼探偵事務所。今回も難儀な依頼ばかりだったけど、気張られた。どれも食べてみたいお料理ばかり。
苦い思い出もほっこりする。思い出も大切だけど、前を向くことも大事!