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- Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094063011
感想・レビュー・書評
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まだ3巻を読んでいないので、最終的にはどうなるのかは分かりませんが、南さんは結局、音楽家ではなかったのではないでしょうか。
音楽を愛することと、音楽家であることは似て異なることで、彼女は後者ではないのでは?という印象を強く受けました。主人公も、然り。今の所、後者にあてはまりそうな高校生といえば、伊藤くんくらいか……。
1巻の、メンデルスゾーンのリハーサルのときから感じていた、南さんに対する不信感。それが最悪の形で実現されたというか。やっぱりな、という残酷な納得が強かったです。彼女の軽薄なミス(本人は真面目なのでしょうけど)のせいで起こる、二次災害の方がよほど被害が甚大であったように思います。
ドイツでのレッスンでの感情は、半分理解できました。たぶん、音楽家を目指しているなら、一度ならず何度も何度も経験する感覚だろうな、と思います。そして、その感覚の描写はさすが、チェロ経験者と思いましたが、でも、たったあれだけで折れてしまうことが、主人公が音楽家でない所以なのでは?と思ってしまいます。
ただの青春小説の苦悩として読めば、もっと共感できるのだと思うのですが、いかんせん、クラシック音楽に向き合う身としては、歯がゆいというか。君には、その資格はないんじゃないのか?と話しかけたい気持ちに、何度もなりました。
最終巻で、みんながどういった決断をするのかは気になるので読み進めますが、この巻だけを取り出せば、好きにはなれない一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示