船に乗れ! 2 独奏 (小学館文庫 ふ 10-8)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094063011

感想・レビュー・書評

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  • まだ3巻を読んでいないので、最終的にはどうなるのかは分かりませんが、南さんは結局、音楽家ではなかったのではないでしょうか。
    音楽を愛することと、音楽家であることは似て異なることで、彼女は後者ではないのでは?という印象を強く受けました。主人公も、然り。今の所、後者にあてはまりそうな高校生といえば、伊藤くんくらいか……。

    1巻の、メンデルスゾーンのリハーサルのときから感じていた、南さんに対する不信感。それが最悪の形で実現されたというか。やっぱりな、という残酷な納得が強かったです。彼女の軽薄なミス(本人は真面目なのでしょうけど)のせいで起こる、二次災害の方がよほど被害が甚大であったように思います。

    ドイツでのレッスンでの感情は、半分理解できました。たぶん、音楽家を目指しているなら、一度ならず何度も何度も経験する感覚だろうな、と思います。そして、その感覚の描写はさすが、チェロ経験者と思いましたが、でも、たったあれだけで折れてしまうことが、主人公が音楽家でない所以なのでは?と思ってしまいます。

    ただの青春小説の苦悩として読めば、もっと共感できるのだと思うのですが、いかんせん、クラシック音楽に向き合う身としては、歯がゆいというか。君には、その資格はないんじゃないのか?と話しかけたい気持ちに、何度もなりました。

    最終巻で、みんながどういった決断をするのかは気になるので読み進めますが、この巻だけを取り出せば、好きにはなれない一冊でした。

著者プロフィール

1963年、東京都生まれ。2003年、『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』(小学館)でデビュー。2014年、『世界でいちばん美しい』(小学館)で織田作之助賞を受賞。主な作品に『おがたQ、という女』(小学館)、『下北沢』(リトルモア/ポプラ文庫)、『いつか棺桶はやってくる』(小学館)、『船に乗れ!』(ジャイブ/ポプラ文庫)、『我が異邦』(新潮社)、『燃えよ、あんず』(小学館)など多数。エッセイ集に『小説は君のためにある』(ちくまプリマ―新書)など。

「2021年 『睦家四姉妹図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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