脱・限界集落株式会社 (小学館文庫 く 6-7)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094063516

作品紹介・あらすじ

ベストセラー地域活性エンタメ、待望の続編

東京からきた多岐川優の活躍で、存続すら危ぶまれていた止村は窮地を脱した。あれから四年。麓にはモールができ、止村も活況が続いている。そこへ麓の町の駅前開発計画がもちあがり、世論は二分される。その争いは多岐川家の夫婦間にもおよび、美穂は家を飛び出し、住民投票の劣勢が予想される側である駅前商店街保存に奮闘する。現状維持か、都市開発なのか。日本のそこかしこで直面している問題に切り込む、地域活性エンタテインメント!!

【編集担当からのおすすめ情報】
解説は藻谷浩介氏(『里山資本主義』共著者)です!

感想・レビュー・書評

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  • 前作を読んだのは、4年前。
    登場人物の名前も、すでにうろ覚え。しかし、前作を忘れても、あるいは読んでいなくとも、十分楽しめる本作。
    何故なら、「続」ではなく、「脱」だから。
    今回は、「ハゲタカが跋扈する資本主義」対「地域密着型資本主義」の戦いと、わかりやすい構図。
    結末は予想できるとはいえ、次々と難題が襲いかかる展開に、主人公たちとともにハラハラドキドキ。
    地方活性化を推進しようとしている政府の面々にも、読んでもらいたい地域活性エンターテイメント。

  • やっと文庫版が出てる!
    本屋で見つけたときの喜びったら。
    前作を読んだあと、これ絶対に続編書いてほしいなぁと思ってからようやくです。
    そしてなぜ本作が【続】でなく【脱】なのか、
    読んでみてなるほど!でした。
    すべてを利便化、最先端にすることが
    地域活性化になるとは限らない。
    古き良きはきれいすぎな言い方かもしれないけど、今あるものの価値をどう活かすか。
    新しいものが古いものより価値あるものなのか。
    新旧の共存共栄はできないのか。
    いろんな視点からとても考えさせられました。
    これ、シリーズ化してほしい…
    少子高齢化の日本でだからこそ
    続きという日本の未来が気になる。

  • 脱—を読んだよ。
    これ、限界集落株式会社を先に読むべきでは?
    どこもかしこも、今や似たようなお店ばかりだもんね。コンビニや大手スーパーとかさ。田舎に住んでいるのに、田舎だと思うのは家の近所の田んぼや畑をみているときくらいのもんよ。市街地に出たら、似たようなお店ばかり。
    だから、余計に個人で特徴的な商品を取り扱っているお店は応援したくなっちゃうわ。少々高くても納得できるなら買うという具合に。

  • 限界集落株式会社に続けて読みました。
    今回は商店街がテーマでしたが、考えさせられました!
    地域のコミュニティーの力、商店街の役割。忘れがちなことを思い出させてくれた本です。

  • 【作品紹介】
    限界集落と言われ、過疎・高齢化のため社会的な共同生活の維持が困難だった止村は、東京からきた多岐川優の活躍で、なんとか窮地を脱した。あれから四年。麓にはショッピングモールができるなど、止村は活況が続いている。そこへ麓の町の駅前開発計画がもちあがり、世論は二分される。その争いは多岐川家の夫婦間にもおよび、美穂は家を飛び出し、住民投票での劣勢が予想される側である駅前商店街保存に奮闘する。現状維持か、都市開発なのか。日本のそこかしこで直面している問題に切り込む地域活性エンタテインメント、待望の続編。

    【感想】
    限界集落株式会社の続編。
    前作とは少し志向が違い、こちらも非常に面白い作品でした。
    地方のMALLの盛衰、近隣商店街の再生など、小説上の話ではあるが、結局は人間の気持で大きく変わるものだと実感させられる作品でした。

  • 多岐川と美穂の結婚から三年。止村には多岐川の盟友がコンサルトして関わった大型商業施設ができる。ますます幕悦は賑わうが、止村の今後をめぐって、夫婦の意見は対立。美穂は上元商店街に身を寄せる。しかしそこにも再開発の波が押し寄せる。田舎は都市化されるべきなのか?グローバリゼーションvs田舎魂、楽しく読めた。

  • 前作以上にヒリヒリする書き出しだった。TODOMEモール21という表記にも違和感が表現されている。都会から逃げてきてシェアハウスで暮らす若者たち。今回の主役はやる気なし、目標なしの健太だろう。彼の変わっていく姿に惹きつけられていく。そして主軸は、地域コミュニティの充実をコンセプトにする商店街と、外資を後ろ盾に地域住民をないがしろにする再開発を進めるコンサル・自治体との対決。優のことば「地域のことを考えられるのは、地域の人間だけなんだ」が象徴的だ。

  • 限界集落株式会社の続編ともスピンアウトとも言える作品。
    再生した限界集落のその後が描かれているのかと思いきや、あの方はなかなか登場しません。
    今回は、お隣の町での物語。

  • 前作は日本の農政の歴史なんてのにも踏み込む話でしたが、今回は地方行政、ハコモノ行政なんてものに踏み込む。
    過疎が進んでいる地方都市、近くには前作の舞台となった止村も。
    そんなところに大型ショッピングセンターが出来て、たくさんのお客さんが集まる。
    地元の商店街は閑古鳥が鳴いてるが、ひっそりとお年寄りの居場所はとなるカフェが。
    そこを舞台に都会出身の若者たちが地元の方々とのコミュニケーションを通じ、自分自身の価値や残すべきものなどにも気付いていく。
    もちろん主人公の多岐川優は登場するが、今回は奥さんの方がメイン。
    素敵なエンディングでした。

  • 優しさと厳しさを兼ね備えた地元住民の芯の通った生き方がかっこいい。
    最高に興奮した。

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著者プロフィール

黒野伸一(くろの・しんいち)
一九五九年、神奈川県生まれ。『ア・ハッピーファミリー』(小学館文庫化にあたり『坂本ミキ、14歳。』に改題)で第一回きらら文学賞を受賞し、小説家デビュー。過疎・高齢化した農村の再生を描いた『限界集落株式会社』(小学館文庫)がベストセラーとなり、二○一五年一月にNHKテレビドラマ化。『脱・限界集落株式会社』(小学館)、『となりの革命農家』(廣済堂出版)、『長生き競争! 』(廣済堂文庫)、『国会議員基礎テスト』(小学館)、『AIのある家族計画』(早川書房)、『グリーズランド1 消された記憶』(静山社)、『お会式の夜に』(廣済堂出版)など著書多数。

「2021年 『あした、この国は崩壊する ポストコロナとMMT』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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