イベリコ豚を買いに (小学館文庫 の 4-5)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 129
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094063806

作品紹介・あらすじ

謎だらけのイベリコ豚を追ってスペインへ!

「本当にどんぐりを食べているのか?」「イベリコという町はどこにあるのか?」「安売りセール肉は本物か?」……。
レストラン、スペインバルはもとより、今やコンビニ、回転寿司でもごく普通に売っているイベリコ豚。高級食材として知られているはずのものが、いまや日本全国で手に入るのはなぜか?そもそも、イベリコ豚はそんなに沢山いるのだろうか?
著者はそんな素朴な疑問をいだき、取材を始めた。日本人が知らないイベリコ豚の「真実」を明らかにすべくスペインを目指した著者。幾多の困難を乗り越え、現地に辿り着いた著者を待っていたのは、驚きの連続だった。……。
ローマ時代の遙か昔からスペインで幻の豚を守り育ててきた熱き男たち。そして素晴らしい生ハム作りに命を捧げる職人たちとその家族のドラマを紡ぎながら、知られざるイベリコ豚の生態、そして食肉流通事情を解き明かしていく。さらになりゆきでハム作りにも携わることになり……。
多様なジャンルをテーマに、多くの傑作ノンフィクションを世に出してきた著者がスペインと日本を舞台に描く、読み応えのある食ノンフィクション。単行本時にメディア各社で大絶賛された作品がついに文庫化!

感想・レビュー・書評

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  •  本書読了後初発の感想として、「あぁ〜、イベリコ豚ベジョータの生ハムが食べたい!」というのがダントツ1位の本心です。
     本書は、イベリコ豚の放牧場取材のためスペインへ渡航し、ひょんな事から豚を買うことになり、更に、元を取るためにスモークハムを作った、という著者の行動記録そのもののノンフィクションです。
     後半は、ビジネスストーリーにシフトしていきますが、本書の魅力は何と言ってもイベリコ豚の真実を知らしめた点でしょう。
     私たちは、自分が普段食べている食材について、どれだけ知っているかと問われれば、自信をもてない人が大半ではないでしょうか?
     単純に○○産だとかブランド名、高価だからと有り難がり、踊らされている自分が恥ずかしくなる思いです。
     日本の生ハムの大半は調味液に漬けたものという、ガッカリする話もありましたが、牛肉よりは安価な豚肉をもっと見直したいと思いました。
     それにしても、イベリコ豚ベジョータの生ハムが食べたい!

  • とにかくイベリコ豚が食べたくなる本。
    畜産の成功例としてイベリコ豚を取材しようと思った作者が、なんだかんだで実際に豚を買って、商品化していく過程は物語として面白かった。

    生産効率が悪い(生まれてから出荷まで時間がかかる)から、風味があって美味しいと言うのも面白い。ナッツの香りがする肉というものを、機会があればぜひ味わってみたいものです。

  • 仕事への情熱…なかなか持てない自分を反省。

  • 読んでいてホントにドングリを食べているイベリコ豚の生ハムかステーキが食べたくなった。

  • 2014年4月刊単行本に加筆修正・解説を加えて文庫化。

    うん、面白かった。
    文庫本で読んだので、食エッセイの名手と言われている平松洋子さんの解説つき。(平松さんのエッセイ読んだことないけど!)
    彼女が解説冒頭2行でさくっとまとめてくれています。
    「本書には三つの要素がある。
    食紀行、ノンフィクション、ビジネスストーリー。」
    前半が食紀行、後半がビジネスストーリーです。
    そもそも、食紀行の予定だった所、2010年に日本で発生した口蹄疫によって取材・見学が拒否され、棚上げになってしまったことから、「じゃあ買うなら見せてくれるのでは?」と思いつき、紆余曲折の果てにイベリコ豚を買い、スモークハムを製造し、売ると言うことに……。

    時に突き放した言動もあって、一応社会人だけどビジネスマンではない私としてはよくわからない部分もありつつ、日本人は魚を上手く捌けても肉は上手く捌けてない、という話などはとてもメウロコでした。
    野地さんに付き合った人々の熱いこと。

    最近映画化されて文庫化された『ウスケボーイズ』(日本ワインの奮闘記なはずだ)とかもこの調子で読もうかな……うちにあるから。

    解説 / 平松 洋子
    カバーデザイン / 坂川事務所
    カバーイラスト / あずみ虫

  • タイトル通りイベリコ豚を買いに行く話
    しかし、普通のグルメエッセイかと思いきや
    まさかのイベリコ豚というものを知り、そしてその肉を日本で販売するために買うことになった物書きである作者の実録。
    肉など売ったことのない、本当の素人が、イベリコ豚という特殊な豚を買う...どうやったら買えるのか、そもそもどうやったら商品として売れるのか。まったくゼロからのスタートになる。
    筆者が、一つ一つ問題を解決しつつ、イベリコ豚を売るに至るまで。なかなか目から鱗が落ちる一冊。

    読み終わるとイベリコ豚が食べたくなります。
    しかし、本当にそれだけの魅力がある豚なのだなぁとしみじみ感じられる本だった。

  • ノンフィクションライターの著者がイベリコ豚のスモークハムを売ることになります。
    いろいろな読み方・感じ方ができる面白い本です。ノンフィクションですが、ビジネス書でもあり、グルメ本でもあり、旅行案内でもあり・・・。

  • イベリコ豚とはスペインのイベリコ地方のブランド豚ではない。

    豚の種類である。
    日本には純粋種ではないイベリコ豚が
    ブームの時に大量に輸入した為日本の消費者は塩っ辛い生ハムの事を『イベリコ豚』だと思っている。(これもスペインの本場では焼いたり、生で食べる時はすぐ食べる事なく脂肪が溶けるのを待って食べるなど)
    スペインからだと輸入期間が長い為保存を効かせるために塩まみれにしているということである。

    ではどんなものがホンモノのイベリコ豚なのか?と著者は気になりスペインに何回も行くこととなる。

    取材時期は口蹄疫が流行っていた時期(2012-2013)で軒並み取材を拒否される。そこで考えた策が豚を買う立場になる。輸入業者が余白で取材をしているというテイにしたのである。

    ここから先は調べれば調べるほど奥深く、障壁も多い。それを1つ1つ乗り越えて行くのである。

    その紆余曲折を是非体験してほしい。

  • 2017年1月11日読了

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著者プロフィール

野地秩嘉(のじ・つねよし)
ノンフィクション作家
1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社勤務を経て現職。人物ルポルタージュ、ビジネス、食、芸能、海外文化など幅広い分野で執筆。著書は『サービスの達人たち』『イベリコ豚を買いに』『トヨタ物語』『スバル―ヒコーキ野郎が作ったクルマ』『高倉健インタヴューズ』『日本一のまかないレシピ』『キャンティ物語』『一流たちの修業時代』『ヨーロッパ美食旅行』『ヤンキー社長』『新TOKYOオリンピック・パラリンピック物語』『京味物語』など多数。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。

「2022年 『伊藤忠 財閥系を超えた最強商人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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