付添い屋・六平太 天狗の巻 おりき (小学館文庫 か 35-10)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064025

作品紹介・あらすじ

「私の懐刀にしたい奴!」--近藤正臣さん

第一夜 冬の花
六平太と七年以上もなじんだ髪結いのおりきが音羽から姿を消して一年。かつておりきが可愛がっていた女郎の命日に、墓前には花が供えられていた。花を供えたのは、旅の男だったという。
第二話 隣人
浅草の海苔問屋「内丸屋」の主人高兵衛は、所有している阿部川町の長屋から店子を追い出そうとしていた。長屋の住人から報復を恐れた高兵衛は、六平太に身辺警護を依頼する。立ち退きを急ぐ高兵衛にとって、煙たい侍が長屋にはいた。
第三話 雪月夜
付添い屋とは名ばかり、なんでも屋として流される六平太の行く末を案じる人間は少なくない。行きつけの音羽の料理屋「吾作」では、料理人の菊次と、看板娘八重の仲がぎくしゃくしていた。六平太は、おりきが神奈川宿で旅籠の女中をしていることを知る。
第四話 おりき
伝助店の住人、下馬売りの太助の母親おていが失踪し、二日後箱崎の川岸で死骸が見つかった。おていは一年ほど前から他人の家に入り込んだり、店で物を盗んで居直ったりするようになり、その行状に太助は手を焼いていたという。一方で、六平太はおりきに会いに行く決心ができずにいた。


【編集担当からのおすすめ情報】
ドラマ時代劇のレジェンド
北大路欣也さん、高橋英樹さん、里見浩太朗さん、
松平健さん、村上弘明さん、中村梅雀さん、
西郷輝彦さん、古谷一行さん、草刈正雄さん
こぞって絶賛!(コメント到着順)
ドラマ「鬼平犯科帳」「剣客商売」の脚本も手がけた
書き下ろし時代小説界最後にして最強の新人!

感想・レビュー・書評

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  • 六平太の想い人おりきの居場所が分かりました。
    六平太は、色々と考えて動けずにいます。
    そんな六平太をおもんばかって周りが動いていきます。
    とうとう動かざる……。

    浅草元鳥越の市兵衛店に住まいして、立見流兵法の遣いてで、信濃国十河(そごう)藩加藤家を出て浪人となった秋月六平太(ろつぺいた)が、裕福な商家の子女の芝居見物などの付添い屋を生業とする人情物語です。
    六平太の義妹・佐和は、火消しの音吉と祝言を挙げ、授かった勝太郎が可愛いです。
    元旅籠町の代書屋「斉賀屋(さいがや)」で働く博江は、六平太の面倒をよくみています。

    【冬の花】
    天保二年(1831)十月。遊女、白梅の命日に墓前に水仙が供えられていた。もしかしたら六平太の想い人おりきかも知れないと。調べると、板橋の博徒岩松一家の栄次だと分かる。おりきが、旅先で栄次に頼んだのではないかと思った六平太は、栄次を訪ねると十日前に殺されていた。栄次は、岩松親分に渡世人をやめて飴屋を始めると言った。邪魔になった岩松親分が、栄次を殺した。

    【隣人】
    安倍川町の高兵衛店の住人で、手習所の師匠・戸川半七郎は、大家の海苔問屋、内丸屋高兵衛から長屋を取り壊して近江、誉田藩の留守居役・小林佐太夫の妾宅を造るために立ち退きを迫られた。戸川は、六平太のはからいで博江の住んでいる福富町の伝助店に引っ越してくる。小林佐太夫の妾宅は、小林の妻に妾がばれて取りやめになった。

    【雪月夜】
    居酒屋「吾作」の料理人・菊次は、店の手伝いをしている八重が好きでたらない。しかし八重は、お兄さんとしか見ていません。八重が、沢之助と付き合いだしたので。菊次は、沢之助を調べると女を食い物にする。それを八重に話すと怒って大変な事になる。1年前から消息を絶っていた六平太の想い人おりきが、神奈川宿の宿屋で女中をしていることが分かる。

    【おりき】
    六平太は、おりきがなぜ何も言わずいなくなったのか、もしや男がいるのでは、気持ちが変わったのではないかと考えて動けずにいます。そんな兄を見ていた佐和が神奈川宿へ行って、おりきと会って兄に早く迎えに行くように言いますが。それでも動けずにいたが……。

    【読後】
    脚本を多く書かれた金子成人さんらしく、江戸後期の江戸の町の風情がこまやかに書かれています。テレビを見ているように江戸の風景が、行事が、人々の触れ合いが伝わってきて。私の想像を掻き立てます。
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    天狗の巻 おりき ― 付添い屋・六平太シリーズの10作目《第三部完結》
    2017.03発行。字の大きさは…小。2022.08.17~19読了。★★★☆☆
    冬の花、隣人、雪月夜、おりき、の連載短編4話。
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  •  金子成人「おりき」、付添い屋六平太シリーズ№10、3部完結編、2017.3発行。冬の花、隣人、雪月夜、おりき の4話。第3部完結編はいろいろあり、はっきりしないまま、次の巻に。六平太は博江なのかおりきなのか。菊次とお八重に明日はあるのか。博江は博江と同じ長屋に住む手習いの半九郎の世話をやいているけど・・・。

  • 何も告げずに姿を消したおりき。
    神奈川宿で見かけたという話が。
    一年もなしの礫で、二人とも相手に連れ合いができたのではないかと、尚更再開の機会を失っていた。

    孝行息子と奔放で迷惑をかける母親の話。

    悪辣な家主に追い払われようとする長屋の人々に同情し、なんとか支度金を払わせることに成功。

    それが縁で新しい友人が増える。

    ホロリとくるイイお話4篇。

  • 98

  • そういう病気なのかと思えば、・・・
    太助が気の毒でたまらないわ。

  • 「第三部完結!」とのことですが、今後の展開を期待させるような余韻が残ります。

    付添い屋を辞めてしまえば物語自体が終わってしまうのでそれはないでしょうけれどね。
    第四部を待ちます。

    と言うか、どこからどこまでが第一部で、どこからどこまでが第二部だったのか、全く意識していなかったです(^_^;

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著者プロフィール

一九四九年長崎県生まれ。会社勤めのかたわら倉本聰に師事し、七二年「おはよう」で脚本家デビュー。九七年、第十六回向田邦子賞を受賞。「鬼平犯科帳 」「剣客商売」「御家人斬九郎」「水戸黄門」など脚本作品多数。著書に「追われもの」「付添い屋・六平太」「ごんげん長屋つれづれ帖」「かぎ縄おりん」などの各シリーズがある。

「2023年 『小梅のとっちめ灸(三)針売りの女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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