風の向こうへ駆け抜けろ (小学館文庫)

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著者 : 古内一絵
  • 小学館 (2017年7月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064285

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風の向こうへ駆け抜けろ (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  • 潰れかけている地方競馬場に新人女性ジョッキーとして所属することになった主人公芦原瑞穂の配属先は調教師、厩務員それぞれが人生を諦めた「藻屑の漂着先」と揶揄されるポンコツ厩舎。しかし、瑞穂の情熱と努力でバラバラだったメンバーたちが纏まり中央の桜花賞を目指すというストーリー。
    登場人物のバックボーンや心情がしっかり描写されていて弱者が強者に困難を乗り越え立ち向かっていくというお決まりのストーリーだが、最後まで興味深く読み進めることができた。

  • 地方競馬を舞台にした女性ジョッキ―の物語です。競馬の知識はある程度あるので、用語等は問題なく理解でき、世界観にすっと入っていくことができました。とにかく主人公や調教師、厩務員たちそれぞれのキャラクターが魅力的で、ベタですが様々な試練を乗り越えていく中で少しずつ同じ方向を向いていく過程がとても面白かったです。女性ジョッキーの目線を通して、地方競馬の置かれている状況を知ることができたのもよかったです。中央ばかりに目を向けてしまうのですが、この物語を読んで地方にも目を向けてみたいと思うようになりました。

    レースの描写では瑞穂の感情の表現など若干大げさに感じる部分もありましたが、躍動感を感じる描写は読んでいてワクワクするものがあり、レースのスピード感もうまく書かれていると思いました。読み終わった後はこの世界観に浸っていたくてしばらく前半から読み返したりしていました。そのまま続編を注文したので、この先の話に期待したいと思います。

    最後に、今まで藤田菜七子騎手のことはあまり知らなかったのですが、文庫版の巻末の彼女の文章を読み、応援したくなりました。今後注目したいと思います。

  • 地方競馬の新人女性騎手・芦原瑞穂が主人公のこのお話し、ネットで立ち読みも出来たのでパラパラめくってみたものの、それ程興味も惹かれなかったのだが、他に読みたい本もなかったので競馬ファンとしては手にしてみた。
    コアな競馬ファンたる私が競馬を題材にする小説を読む時、競馬を知らない人に向けた部分がどれほど邪魔をせず且つ正確かということが、物語の内容とは別にまた大きなポイントとなるのだけど、この本はその点はあまりうるさくもなく間違いもなく(登場する馬が青鹿毛なのに栃栗毛みたいな色してる表紙の絵は気になるが)、まあ合格。
    ただ、瑞穂が預けられた厩舎は得体の知れない調教師が管理し、厩務員は80歳を超えた老人、飲んだくれのおやじ、失声症の少年に、借金踏み倒して流れてきた兄ちゃんの4人なんてことは、いかな地方競馬とて有り得ない設定で、その点でこの本はファンタジーとして読むべきなんだろう。
    鈴田という競馬場は架空だが、広島県ということと最後までアラブが走っていたというから福山のイメージなんだろうな(あそこは山中ではなく芦田川の堤防沿いだったけど)。
    お話としては、寂れた地方競馬の中で廃業寸前だった厩舎の面々が、主人公の努力と情熱に動かされ、地方から桜花賞を目指すという筋立てで、この点はまあ普通の展開。
    どちらかと言えば、瑞穂の成長と曰くある厩舎メンバーの再生に重点が置かれ、馬やレースの描写としては若干薄味。どちらかと言えばマキバオーに近いノリで、だけども、このお話のテイストからはそれはそれで悪くないという気はする。

    丁度、根岸の博物館で女性騎手にスポットを当てたテーマ展が開かれているが、これまで、幻の騎手・齋藤澄子から昨年デビューの藤田菜七子に到るまで70人の女性騎手がいた(いる)という。
    かつて高知競馬に行った際、別府真衣を蹴とばしたらば鮮やかに勝たれて痛い目にあったことがあって、騎手に男も女も関係ないんだけど、閉鎖的な厩舎社会において女性というだけで偏見を持たれる彼女らの辛苦の歴史が、今の時代となって少しは良くなっているのだろうか。
    本書の中でも、話題づくりのための勝負服にブログ、セクハラ事件などなど出てくるが、巻末の菜七子騎手の談話からすれば、女性の騎手というだけでマスコミに取り上げられること自体が大変なんだろうな。

    菜七子騎手、一昨日の8Rで12番人気の馬を2着に持ってきて穴をあけていたけど、彼女が来れば、自分の馬券に関係なく競馬オヤジは湧くんだよな、これが。
    根本のところでは厳しいが、それでも木幡や荻野に負けずに頑張って欲しいね。

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風の向こうへ駆け抜けろ (小学館文庫)の作品紹介

爽涙!スポーツ小説の大傑作、待望の文庫化

芦原瑞穂(18歳)は地方競馬界にデビューした、数少ない女性騎手。敬愛する亡き父親への思慕から競馬界に身を投じた。だが、彼女の受け皿となったのは今にもつぶれそうな「藻屑の漂流先」と揶揄される寂れた弱小厩舎。そこにいる調教師、厩務員たちは皆それぞれが心に傷を抱え、人生をあきらめきったポンコツ集団だった。
弱小厩舎のため強い競走馬も持てず、さらなる嫌がらせを受け、困っていた矢先に出合った一頭の馬。虐待により心身共にボロボロだったこの馬も懸命な介護と歩み寄りにより、生まれ変わったかのような素晴らしい競走馬に変貌を遂げる。当初は廃業寸前だった厩舎も、瑞穂の真摯な努力と純粋な心、情熱から、徐々に皆の心は一つとなり、ついには夢のまた夢である狭き門、中央競馬の桜花賞を目指すまでになる。が、その行く手には様々な試練が待ち受ける。温かな絆でつながった彼らの運命は…?
偏見、セクハラ、虐待、裏切り、老い…。様々な理由から心に傷を抱え、人生をあきらめかけている人間達の起死回生ストーリー。人は何歳からでも成長できる、そして人生はやり直せる。すべての方々に読んでいただきたい、人生への応援歌となる1冊です。

【編集担当からのおすすめ情報】
単行本として刊行されてから、競馬ファンにも競馬に興味がない方からも熱い支持を受けたスポーツエンタメ小説です。もともと乗馬が趣味で馬が大好きな著者がみっちりと一年間かけて取材したからこそ可能になった臨場感溢れる競馬描写、馬好きだからこそ書ける馬への愛情溢れる目線…。
この本が刊行された翌年、彗星のように登場した人気女性騎手、藤田菜七子さんも、この本を大絶賛してくれています。オビコメントだけでなく、彼女だからこそ語れる特別インタビュー「私にとって大切な一冊」にもご注目ください。藤田菜七子さんの言葉を借りれば「この本を読んだ人はみんな勇気が湧いてきて、元気になれる」一冊です。
読後の圧倒的爽快感を是非体感してみてください。
小説の力を感じるはずです。

風の向こうへ駆け抜けろ (小学館文庫)はこんな本です

風の向こうへ駆け抜けろ (小学館文庫)のKindle版

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