政治的に正しい警察小説 (小学館文庫 は 17-1)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064643

作品紹介・あらすじ

社会派ミステリー作家が放つ問題作

“ポリティカル・コレクトネス”をコンセプトにした警察小説の依頼を受けた、新人作家・ハマナコがたどり着く境地とは……!? 表題作「政治的に正しい警察小説」ほか、偶然通りかかったカレーショップで、生き別れた母の思い出の味に再会した大学生の僕とその“隠し味”をめぐる「カレーの女神様」、25歳の若さで亡くなった“史上最強の棋士”紅藤清司郎の没後20年にあたり、彼の軌跡を取材したライターがたどりつく真相を描く「神を殺した男」など。驚愕と感嘆にあふれた全6編を収録。『ロスト・ケア』『絶叫』など社会派ミステリーの新鋭が放つ、ブラックユーモアミステリー集が文庫オリジナルで登場。

【編集担当からのおすすめ情報】
著者の企みに満ちた、スリリングな展開のミステリー6編を収録しています。驚きの逆転劇をお楽しみください。

感想・レビュー・書評

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  • 相葉英雄「震える牛」を読み終え、社会派の警察物の面白さを体感し、その熱のまま手にしたのが本書。

    いやぁ、騙されました。

    表題からして警察物だと、しかも著者は葉間中先生とくれば私のイメージはまさに社会派。

    本書は6作からなる短編集、しかも表題作が私にはあわない(TT)

    確かに社会派とミステリー作品の融合でした。

    「秘密の海」「神を殺した男」「推定冤罪」「リビング・ウィル」まではそれなりに楽しめました。

    特に「リビング・ウィル」は感銘を受けた「ロスト・ケア」にも通じるものもあり、これぞ葉間中作品と思いきや...

    1話ごとの設定は面白いのですが、なかなか評価もわかれる作品かと思います。

    説明
    内容紹介
    社会派ミステリー作家が放つ問題作

    “ポリティカル・コレクトネス”をコンセプトにした警察小説の依頼を受けた、新人作家・ハマナコがたどり着く境地とは……!? 表題作「政治的に正しい警察小説」ほか、偶然通りかかったカレーショップで、生き別れた母の思い出の味に再会した大学生の僕とその“隠し味”をめぐる「カレーの女神様」、25歳の若さで亡くなった“史上最強の棋士”紅藤清司郎の没後20年にあたり、彼の軌跡を取材したライターがたどりつく真相を描く「神を殺した男」など。驚愕と感嘆にあふれた全6編を収録。『ロスト・ケア』『絶叫』など社会派ミステリーの新鋭が放つ、ブラックユーモアミステリー集が文庫オリジナルで登場。

    【編集担当からのおすすめ情報】
    著者の企みに満ちた、スリリングな展開のミステリー6編を収録しています。驚きの逆転劇をお楽しみください。
    内容(「BOOK」データベースより)
    飛ぶ鳥を落とす勢いの新鋭作家・浜名湖安芸は、「ポリティカル・コレクトネス」をコンセプトにした警察小説という“意識高い”依頼を受けた。パワフルでエキセントリックな編集者を相手に、ハマナコは超大作を書き上げる!?(「政治的に正しい警察小説」)大学生の僕は、偶然通りかかったカレー店で思い出の味に再会した。幼いころに生き別れた母の味だ。女店主にその「秘密の隠し味」を訊ねると…。(「カレーの女神様」)そのほか、児童虐待、将棋、冤罪、尊厳死など、多彩なテーマの六編を収録するブラックユーモア・ミステリー集。著者初の文庫オリジナル作!
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    葉真中/顕
    1976年東京都生まれ。2012年、介護問題をテーマとした『ロスト・ケア』で第一六回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、ミステリー作家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 購入して未読のまま、長年本棚にあったうちの1冊。
    「旧い本を、ちゃんと1回読んでから断捨離しよう」計画の一環として。

    初読みの作家さんの短編集。

    何故本書を購入したのか覚えていないが、ブクログ以外の何かの書籍紹介を目にしてだと思う。

    『リビング・ウィル』だけは割と面白かった。

  • 介護現場から、現代の喫緊の問題を投げかけた『ロスト・ケア』を著した著者の、その作品とは異なるブラックユーモア・ミステリー集。
    どんな警察小説かと、思わず手に取ってしまう表題作の『政治的に正しい警察小説』。パワフルでエキセントリックなこの短編は、まるで筒井康隆の世界。警察小説を期待したファンは、見事に裏切られる。
    『カレーの女神様』は、何とも言えない味わいの恐怖小説の類か。
    『リビング・ウィル』のオチは、星新一を思わせる。
    その他、児童虐待、将棋、冤罪と、それぞれ多彩なテーマで、それなりに楽しめる。

  • 葉真中顕『政治的に正しい警察小説』小学館文庫。

    ブラックユーモア・ミステリー短編集。6編を収録。随分と奇妙なタイトルの作品だなと思ったが、確かにブラックでユーモラスな一面のあるミステリーばかりだった。全体的に出来は並程度だろう。

    『秘密の海』。哀しくも、これからの未来に光を感じる家族の物語とミステリーとが巧く融合された短編。

    『神を殺した男』。将棋の世界を舞台にした短編。うーん。

    『推定冤罪』。有名法廷ミステリーのパロディーのようなタイトルとは裏腹にひたひたと迫り来る恐怖を感じるミステリー。

    『リビング・ウィル』。なるほど。そういう展開にオチなのか。

    『カレーの女神様』。なんという展開だろう。まさかこんなストーリーだとは。

    『政治的に正しい警察小説』。表題作。警察小説かと誤解しそうなタイトルのユーモアたっぷりの短編。まあ、こんなものなのか。

  • 葉真中作品2作品目。前回の『ロスト・ケア』の本格長編とは異なるブラックユーモア短編集。

    タイトルの「政治的に正しい警察小説」は内容がどうというよりも本作品のコンセプトにぴったりの社会への皮肉たっぷりの作品。少し星新一テイストも感じる。ポリティカルコネクティスを突き詰めていくと何も書けなくなるというのは非常に理解できる。直接的な批判ではなく、苛烈な価値観が破綻をもたらすことを、ユーモアに表せるのが小説の魅力だと改めて思った。

    また4作目の『リヴィング・ウィル』は安楽死をテーマにしており、『ロスト・ケア』と同じく高齢化社会における社会問題に切り込む作者らしい作品だと思った。『ロスト・ケア』とは違う軽いテイストだが、脳死状態の人の感情はその時にしか分からないという非常に難しい問題を上手く捉えれていると思った。

  • 「ロスト・ケア」「絶叫」と衝撃的な社会派作品を描いた作家さんの書き下ろし「ブラック・ユーモア」短編集。
    何の情報もなく、タイトルだけで手に取ったので、警察小説だと思い込んでいたが、警察が出てくる気配は全くない。そしてタイトルに使われた「政治的に正しい警察小説」にも警察は出て来ない…完全に自分の勘違いだった…
    長編でも先が読めない展開が武器の作家さんだけど、今作に納めれたいずれの作品も、読み終わった後に「え?どういうこと?」と思うことがあり、「ブラック・ユーモア」と言うより、「イヤミス」感もある感じ。残酷な話が苦手人は読まない方がいいかも。

  • 『W県警の悲劇』は連作だったが、本書は収録された6編が完全に独立した短編集だ。タイトルから『W県警』のような作品を想像していたので意表を突かれた。収録作品はブラック・ユーモアだったり、スプラッターだったり、バラエティに富んでいてどれもおもしろかったが、中でも「リビング・ウィル」は興味深かった。ぼくが読んだ浜名湖安芸……じゃなかった、葉真中顕名義の単著としてはこれが最後となる。早く新作が読みたい!

  • 児童虐待・将棋・冤罪・尊厳死など、多彩なテーマの六編を収録するブラックユーモア・ミステリー集らしい。

    巻頭の児童虐待の話では、表題の「政治的に正しい警察小説」という言葉が頭に残り、気分がいいものではなかった。
    その他の話もユーモアというには微妙なものも多く、今までの著者の社会的な作品とのギャップに違和感がぬぐえなかった。
    表題にするくらいだから、「政治的…」がイチオシなんだろうけど、なぜこれを選んだのかわからない。

  • シリアスな長編とはひと味異なる短編集。テーマは様々で、いずれも筒井康隆風のブラックジョークが楽しめます。大御所に比べるとまだまだ毒は足りないですが…。

  • 6編の短編集。切ない「秘密の海」サスペンスチックな「神を殺した男」ミステリーホラー「推定冤罪」考えさせられる「リビング・ウィル」ブラックユーモア炸裂「カレーの女神様」痛烈な皮肉たっぷりの表題作。
    私の知ってる「ほっこり」となんか違う・・・。

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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