死言状〔文庫版〕 (小学館文庫)

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著者 : 山田風太郎
  • 小学館 (2005年11月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094080612

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死言状〔文庫版〕 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  •  魔界転生、甲賀忍法帖などの人気小説を手掛けた山田先生のエッセイ。幅広い著者の思想を知ることができる。

     日常の些細なことから、戦争、安楽死、労働、小説など個々のテーマは多彩。最終章ではタイトルどおり「死生観」を論じている。この年代の方特有の思想が続くが、そこはやはり作家。一枚二枚皮肉を込めながら痛烈な少数意見も多く展開している。ご本人は冗談のつもりでおっしゃっているのかもしれないが「本当にそうするべき」を真に受けてしまうような提言もある。

     エッセイは「ユルくてなんぼ」だと思う。気合いれて肩肘張ってエッセイを書く人はあまりいないだろう。たとえ締め切りに追われていてもそうした姿勢を崩せば、読んでいてなんとなく「カチカチした」文体になる。そんなエッセイも時々見かけるが、ほとんどの著者はどんなに追い込まれても「ユルい」書き方を心がけているのではないだろうか。それは「ダレて」ということではなく「自然に」ということである。エッセイに限らず言葉、さらには表現というものは「自然」に出たものにこそ価値がある。極端に言えば「固く」書くことが期待される「批評」のような文章でも少なくとも「不自然な」文章はあまり魅力がない。山田先生の文章はどのようなテーマについての文章でも「自然さ」が感じられるように思う。

     ちなみに解説は哲学者の木田元先生がお書きになっているが、先生の少し違う側面がみえたような気がする。

  • 通勤中にちょこちょこ読み進めて読了。
    疲れて頭が働かない時にも軽く読めて、気分転換にエッセイは良いと感じた。

    執筆は60年代から90年代と幅広い。書名には「死言状」が付けられているが、実際のエッセイ(死言状)は10ページ程になる。

    風太郎のあっけらかんとした死生観と、飄々とした視点で日本社会をみる様は、肩肘張らずにリラックスして読めた。
    生きた時代は違えども、世代を越えて読み継がれると思う。

  • 「死は無である」という山田風太郎の考え方に激しく共感。
    誰かが亡くなった時、「あの人は空から見守っているよ」とか「◯◯さんは心(思い出)の中に生き続けるよ」と言う人達もいるが(勿論そういう考え方をすることで救われる人達もたくさんいるのだろうけれど)、私は反吐が出そうになる。死んだら骨が残るだけで全て終わりなのに。
    そんな考え方をしている人にとっては、山田風太郎が好き放題持論をぶちまけるこの本を読んで爽快感すら覚えるかもしれない。

  •  以前から『人間臨終図巻』は知っていたけれど、手に取ることはなかった。巡り合わせというのだろうか、新潮45編集部の編集した『死ぬための生き方』(新潮文庫)の中に収められている「死に支度無用の弁」を読み、『死言状』にたどり着いた。これを機に、『臨終図巻』も読もうと思う。

     ところで、どうしたことだろう、本書所収の「死に支度無用の弁」には相当の脱文があるようだ。それも大事な部分である。300頁10行目「人間よりはるかに宗教的な死をとげるのではあるまいか。」の後、11行目「とにかく右の次第で、」の前に入るべきもので、『死ぬための生き方』より今補う。


    死ぬからと大げさに騒ぎたてるのは人間だけだ。死の最高の形態は鳥獣の死である。人間は虫やミミズを見習うのがいちばんの死の準備ではないかと思う。
     また人間が、死ぬからといって騒ぐのは、自分の目的や事業が挫折する無念さによることが多いが、私の警句に曰く、「自分が消滅したあと、空も地上もまったく同じ世界とは、実に何たる怪事」
     しかし、怪事ではない。いかなる自称大人物が死んでも、地上は小石一つを沈めた大海のごとし。のみならず「人は死んで三日たてば、三百年前に死んだと同然になる」
     もう一つ、死にあたって人間が悩むのは、自分の愛する者たちへの配慮―一般には物質的な心配だが、これとてあとに残った者たちは、無ければ無いで何とかやってゆくものだ。
     それとはまったく別に私は、自分の死よりも、その愛する者たちが十何年、何十年かののちに死んでゆくことを考えるほうが怖ろしい。それらの人間が、遠い未来、どういう状態で死んでゆくのだろう、と考えても、むろん想像の域外にあるのだが、とにかくそのほうが痛ましい。もとより痛ましがっても何にもならないことである。

     以上。

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