満月の夜、モビイ・ディックが

著者 :
  • 小学館
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094080704

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれて買ったものの、内容的には何か足りなかった…ヒロインである香澄と、情景の描写は好きです。哲学的な印象を受けました。

  • 不思議な世界観の青春小説。

  • あの、世界の中心で~の作者の著作。
    一発家なのかと思っていたら、むしろそんなことはなく、
    世界の中心で~よりもこちらのほうがいいくらい。

    あれは、むしろ、わかりやすさと切なさを追求したような作品で、
    大衆的かなといった感じだった。
    (最近、大衆的という言葉がよく出ているけれど、別に、
    悪く言っているつもりではないので悪しからず)
    文章は平易で、主人公もいたってふつうの少年といった感じ。

    それに比較すると本作の主人公はかなり理屈っぽい。
    主要人物のタケルにしてもそうであり(こっちは屁理屈っぽいが)、
    感性的なのはヒロインくらのものか。
    理屈っぽすぎるので、たぶん、そこでもう無理ってひとは多いはず。
    この主人公っていうのはいかにも、見えない路を突き進もうとして、
    もがいている青年といった具合で、まあ、今の俺もそんなものなのかも、
    だけどそれはさておき、
    ともかく、この主人公は、いかにもすぎて、まだ大人になれるよ、
    と言いたくもなる(大人、子供の分類は嫌いなのだけど。大人だって子供だもの。それを大人だと自分で思っているひとたちはもっと自覚するべき。)。
    それは、つまり、なんでもかんでも、
    説明をつけようとしているあたりかな。
    理屈なしではどうしようもなく、見切りをつけるのが早いあたりか。

    しかし、この主人公という人物はきれいに形作られ、貫かれている、
    あたりに著者の力量を感じるというか、これが著者の分身なのだろう。
    しかし、この主人公あまりにも博識すぎるのだ。
    年齢の割りに。
    もう少しいっているのならわかるのだけど、ちょっと博識すぎる。
    とはいえ、比喩なんかは面白くてたのしめたかな。


    まあ、村上春樹好きな人にはうけそうな作品だけど、
    村上原理主義者が読むと、ノルウェイの森のパクリだと言いそう。
    そりゃあ、似ている節はあるけれども、まあ、これは著者の、
    オリジナルでしょう。

  • つまんなさすぎて途中で挫折。
    たぶん、この人の文章二度と読まない。

  • ちょっと哲学っぽかった。

  • ◆いまひとつ。
    表紙とタイトルにひかれて購入しました。残念。モーツァルトやバスつり、一人よがりな若者。
    内容は全く心に残らなかった。「ノルウェイの森」を読んだ後だからでしょうか。質の高さがまるで違う。

    100円で売られていたのも納得。

  • 「多大な労力と情熱が注ぎ込まれているが、何の役にも立たない。それでいて、ずいぶん面白い。」という部分が印象に残ってます。
    そんな風に、役に立たなくても労力と情熱をおしまず注ぎ込めるモノを持ちたいと思った。

    あと、村上春樹の「ノルウェイの森」的なモノを少し感じさせる。

  • 恋愛モノはあんまり読まないんだけど、モビィ・ディックって何?って気になって読んだ。内容はあまり自分の中に残るもんじゃなかった。けど、タイトルは素敵。

  • 主人公は,大学生の鯉沼.

    モーツアルトとバス釣りと家庭崩壊.

    これらは,彼をもっともよく表現する言葉たち.

    この本では,描かれている人との距離感がとっても印象的で,同級生の香澄と出会ってそれが顕著になる.

    あるときは,鯉沼にとって香澄がすごくすごく近い存在で心が通じあっているような気がしていたのに,別な日には,突然すごい距離感を感じ,今までがうそであったかのような感覚に襲われる.
    自分の手には負えなくなり遠ざかっていこうとしていたとき,鯉沼の母は,自分の夫のことを思いつつ,こんなことを話し始める.

    “わからないところから出発するべきだったのかもしれない”
    “お互いに相手が抱えている苦しみのことはわからない.ある程度はわかっても,完全に,というか本質的なところではわからない.・・・”
    “わからないものを無理に理解しようとしてはだめだと思うの.・・・わたしには,いまのあなたの苦しみはわからないし,理解できるとも思わない.でも,苦しんでいるということはわかる.なぜなら,わたしも苦しみをかかえているから”
    “その苦しみからにげないでほしいの,いまの苦しみを,別のものに置き換えないでほしいの.人生の質をきめるのは,苦しみそのものではなく,苦しみにどう対処したかよ.苦しみをどう保ったか,どう抱えたか,逃げずに何を得たか.・・・”
    そして,自分の苦しみから逃げないでほしい,自分から逃げないでほしい,自分が自分であることから逃げられるわけではないから・・・と言う.
    さらに,
    “一人一人のなかには,暗い秘密が隠されているわ.わたしのなかにも,あなたのなかにも,もちろんおとうさんのなかにもね.それを暴いてはいけないと思うの.無理にわかり合おうとすれば,絶対にうまくいかない.時間をかけなくてはだめ.人と人の関係に近道はないの.”
    と.

    鯉沼にとっては,全てを見透かされているような言葉だった.
    その後,鯉沼は香澄に会いに行く・・・.

    最後のほうに出てくる,こんな母の言葉がとても印象的な一冊でした.

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著者プロフィール

昭和34年(1959年)愛媛県宇和島市に生まれる。愛媛県立宇和島東高等学校卒業。1977年九州大学農学部に入学。専攻は農業経済学。1981年同大学卒業、大学院に進む。1986年「気配」にて『文学界』新人賞受賞。1995年、『きみの知らないところで世界は動く』を刊行。はじめての単行本にあたる。2001年『世界の中心で、愛をさけぶ』を刊行。その後、ベストセラーとなる。近著に『世界の中心でAIをさけぶ』(新潮新書)、『世界が僕らを嫌っても』(河出書房新社)などがある。福岡市在住。

「2024年 『含羞の画家オチ・オサム—美術集団「九州派」の先駆者—』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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