20世紀の幽霊たち (小学館文庫 ヒ 1-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (699ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094081343

作品紹介・あらすじ

奇妙な噂がささやかれる映画館があった。隣に座ったのは、体をのけぞらせ、ぎょろりと目を剥いて血まみれになった"あの女"だった。四年前『オズの魔法使い』上映中に一九歳の少女を襲った出来事とは!?(『二十世紀の幽霊』)そのほか、ある朝突然昆虫に変身する男を描く『蝗の歌をきくがよい』、段ボールでつくられた精密な要塞に迷い込まされる怪異を描く『自発的入院』など…。デビュー作ながら驚異の才能を見せつけて評論家の激賞を浴び、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞、国際ホラー作家協会賞の三冠を受賞した怪奇幻想短篇小説集。

感想・レビュー・書評

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  • スティーヴン・キングの息子「ジョー・ヒル」による、17編も収録された贅沢な短編集ですが、「怪奇日和」に比べると、話の内容が少し好みではなく、難しく感じました。「おとうさんの仮面」や「救われしもの」は難しかった。しかし、印象に残る作品もいくつかありました。「年間ホラー傑作選」や「末期の吐息」の本能的な恐怖を感じる作品や、「20世紀の幽霊」の怖いけど、美しさも漂う作品、「蝗の歌をきくがよい」は、カフカの影響が強い作品で、理不尽な中にも哀愁が漂っているのが、切ない作品でした。いちばん好きなのは、「ポップ・アート」です。個性的な設定でのバディものの物語に、読んでて切なくなりました。これは傑作だと思いました。

  •  作者の本意ではないんだろうけど、読んでるとどうしてもオヤジさんの御尊顔がチラチラしちゃうね( ´ ▽ ` )ノ
     まさかこういう文学的素養が遺伝するものとは思わなんだ(゚д゚)!
     世評は聞いていたけど、ここまでスゴイとは……(@_@;)

     本人はホラーにこだわってるけど、明らかにそっち系の書き手じゃないね(>_<)
     解説等で指摘されているように、フィニイとかサーリングとか多分にファンタジーよりの純文学( ´ ▽ ` )ノ
    「ポップアート」が、とにかく絶品( ´ ▽ ` )ノ
     気持ち悪く皮膚感覚がムズムズして仕方ないんだけど、終始哀切極まる詩情漂い、忘れがたい読後感を残す( ´ ▽ ` )ノ
     むかし読んだヘンリー・スレッサー「僕の父は猫(猫の子)」を思い出した( ´ ▽ ` )ノ
     日本なら筒井康隆「佇む人」なんかの系列だよね( ´ ▽ ` )ノ
     他の作品もあの手この手、目先を変えて飽きさせない( ´ ▽ ` )ノ
     アイディアはありがちで、オチも見えているといえば見えているんだけど、タッチや視点で読ませるタイプだから、そこらへんはまったく気にならない( ´ ▽ ` )ノ

     ただただ濃密でオブセッションに取り憑かれたオヤジさんの場合、短編だと下らなさが前面に出すぎて白けちゃうことが多いんだけど、せがれの方は淡白で果てしない深みがある( ´ ▽ ` )ノ
     ともすれば、肉体から精神がふわっと抜け出しそうなもろさ・はかなさが作品世界を支配している( ´ ▽ ` )ノ

    「20世紀の幽霊」は「マリオンの壁」だし、「マント」はもろ「大胆不敵な気球乗り」だし、「蝗の歌」はもちろん「変身」&「霧(ミスト)」だし――キングのみならず、フィニイ、マシスン、サキ、ブラウン、ブラッドベリ、サーリング、ありとあらゆる幻想作家の「息子」だね、ヒルくんは( ´ ▽ ` )ノ
    (かつ「寡婦の朝食」は「怒りの葡萄」だから、アメリカ正統文学の担い手ともいえる( ´ ▽ ` )ノ)
     今後の大成長を期待したいけど、オヤジさんみたいな大作量産モンスターでなく、通好みの小品寡作アーティストになっていきそう(というかなってほしい)( ´ ▽ ` )ノ
     

     ブクログレビュー見ると、あんまり評価されてないようでガッカリ(>_<)……前書きから訳者解説から識者解説から手放しで大絶賛しすぎで、むしろ拒絶感をもたれちゃった、のかな?……(>_<)
     怖がるつもりで読むとガッカリしちゃうんだろうけど、モダンホラーなんてそもそもちっとも怖くないもんだからね( ´ ▽ ` )ノ
     考えるんじゃなく感じるべき作家( ´ ▽ ` )ノ
     キングの息子・ホラーの新星というより、「奇妙な味」の正統的な継承者というべき宝石( ´ ▽ ` )ノ


     あとがきでふれられていたセス・フィッシャーという画家、調べてみたら若くして(34歳?)名古屋で事故死(?)していたみたい……(;_;)
     子どもっぽい感覚を残したポップなアートスタイルで、たしかにヒルくんの世界と通じるところが多々あるね( ´ ▽ ` )ノ
     2006年没というから、この本の出版とほぼ同時だったのか……(;_;)


    2019/07/10
     

  • 悪くはないが。??な話もあり(読解力不足)

  • 世評が高かったので読んだが、自分には合わない。父親のキングは割と好きな作家だが、この作品は、少し文学臭が強すぎるのかな。

    色んなテーマやタイプの短編がてんこ盛りで、ホラーと言うより、ファンタジー或いは不条理物の作品が多い。ストレートなホラーを期待していると、裏切られると思う。

  • 落ちがいいわけでもなく、物語に引き込まれるわけでもないのに、なぜかくせになる感じ。たぶん普通の話だったら、フーンで終わるんだろうけど、このスタイルにホラーだとかファンタジーが絡むことで、いい感じに仕上がっているのだろう。

    ■このミス2009海外4位

  • 発想力がすごい
    よくこんな変な話を思いつくなあと思う
    スティーブン・キングの息子さんなのかあ…なるほど

    著者自身も気に入っているという「ポップアート」
    実際、これが一番印象に残った
    「風船の体を持つ友達」なんて前提条件からしてすごい
    それを苦い童話のような話にまとめるセンスも新鮮だった

    ホラーなのだから当たり前かもしれませんが、全体的にどうも落ち着かない、不快感のある話が多い。正直読むのに体力がいる。他のホラー小説と併読していたのですが、この短編集の持つ異様な読後感は際立っていました。
    好き嫌いが分かれる本だと思う。

  • 20世紀の幽霊たち / #ジョー・ヒル
    今話題のブラックフォンの原作短編収録とのことで先輩にお借りしました。
    ジョー・ヒルは初めて読みましたが他の短編も色んなテイストで面白かったけど、やっぱり黒電話良かった!ハードル上がってたけど短いのにちゃんと面白くて益々映画も見たくなりました。

  • ザ・アメリカンホラー。即物的怖さはなくて、読み解く感じ。

  • 2022年7月映画化
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99324258

  • スティーブンキングの息子と知った上で読んだが、さすがというか血を感じた。
    ただのミステリーの詰め合わせではない感じ。
    短編集ということもあり一つ一つの作品毎に評価が分かれるところだ。
    私はとりわけ『ポップ・アート』にハマった。
    昨今様々な差別について問題になっているが、まさに現代に向いた作品である。書かれたのはかなり以前だが。
    翻訳の問題なのか分からないがところとどころ読みにくさを感じた気がしたのでそれだけは残念だった。
    長編の「NOS4A2」コミックの「Locke & Key」はまだ積読中だが、読むのが楽しみになった。

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