ネグレクト〔小学館文庫〕: 真奈ちゃんはなぜ死んだか (小学館文庫 す 2-1)
- 小学館 (2007年8月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094081954
作品紹介・あらすじ
ネグレクト(neglect)育児放棄。子供に食事を満足に与えなかったり、病気やけがを放置したり、長期間入浴させないなど保護者としての責任を放棄する行為。二〇〇〇年十二月一〇日、愛知県名古屋市近郊のベッドタウンで、三歳になったばかりの女の子が段ボールの中に入れられたまま、ほとんど食事も与えられずにミイラのような状態で亡くなった。両親はともに二一歳の夫婦だった。なぜ両親は女の子を死に至らしめたのか、女の子はなぜ救い出されなかったのか。三年半を超える取材を通じてその深層に迫った事件ルポルタージュ。第十一回小学館ノンフィクション大賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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名古屋市郊外で3歳の女の子がダンボールに入れられたまま、ほとんど食事も与えられず餓死した。
ネグレクト(育児放棄)の典型的な事例が数多くみられるこの事件を3年半に渡って追ったルポルタージュ。
このような事件があると激しいバッシングが起きるが、
誰かを叩いて自分の日頃の憂さ晴らしをするのが目的ではないなら、ちょっと一呼吸して同じ様な事件が起こらない為にはどうすれば良いか考えてみるといい。
バッシングは育児に追いつめられた人が声を挙げにくい社会にしていませんか?
・社会と隔絶され家に篭もりっきりで育児に明け暮れる妻
・家事は女の仕事と考え、仕事やゲームに没頭する夫
・友達のような親子だが、深刻な問題に気づいても踏み込んで解決しない
・子供の発達の遅れが恥ずかしく世間に知られたくないと考える
・支払いを考えずストレスを通販で発散する
・児童相談所などの現場のマンパワー不足
・DVと違い外部からネグレクトと判断する際の難しさ
ネグレクトは特別に自分たちと遠く離れた環境で起きるわけではないのがわかるはず。
三代続けて同じような養育環境でありながら、
家を建てる援助、できた借金を肩代わりする余力、家族が支え合う力が失われていき、悲惨な事件がおきたという点もなるほどなと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
杉山春さんのノンフィクション大賞をとった本。
どんどん痩せていくまなちゃんの描写に目を背けたくなるが、保育士をしている私ですら想像を絶する光景なんだと、、。
亡くなってからの両親の気持ちが分かりやすい文体。7年の刑ってあっという間だろうな。虐待して亡くなった娘の親が今、普通に暮らしているのだと思うと胸が苦しくなる。
親が虐待とも思ってなかったのも、事実なんだろうな。だから、"ネグレクト"。
けど本当、連鎖する、親の親のそのまた親からずっと負の連鎖なのに、妊娠だけは凄い確率でする。
親を救いたい、そんな世の中社会をやっぱりどうにかしないといけないと心から思った。
声の出ない小さな子どもや動物たちを守るのは、正確な判断ができる人間とそれを生み出す環境を整える社会にかかっている。 -
ネグレクト(育児放棄)によって
なぜ、死に至らせてしまったのかという、大きな問題提起の本。
本当にあった出来事の当事者達の話や、著者の意見?をとりまとめたもの。
おこるべくして、おこった。というような感じの内容。家庭環境の劣悪さの連鎖
はたして、それだけで容疑者をゆるしていいものなのか?それとも、ゆがんだ家庭で育ってきたその末の結果としてしまっていいのか?
アタシにはわからない。
なぜ、こういう本を好んで読んでしまうのか、自分でも分からない。 -
辛いなぁ。
事件を知った時は「鬼畜!」と思ったけれど、日常が続いていくうちに箱の中にいるのが普通になってしまったんだな。
妊娠して産んだからって上手く育てられるわけじゃない。
簡単に子どもを手放せるようになったらいいのに。
子どものため。 -
専門職なのだから、知らない・わからないではすまされない。
もっとプロ意識を持たねば。
育児で悩んでたり、辛くなったりしたら、とりあえず誰かに相談してほしい。
東京都にお住まいでの、子どもに関する相談は、TEL0333664152、夜間・土日祝日の緊急の場合、TEL0359372330。 -
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おはようございます。同感です!
なぜ、子どもが欲しい人の元へ子どもが来ず、こんな親の元へ行くのでしょうか?おはようございます。同感です!
なぜ、子どもが欲しい人の元へ子どもが来ず、こんな親の元へ行くのでしょうか?2015/10/08
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子供の虐待。時折ニュースになる事件の数々ですが、それは特殊なことではなくて、
今の日本社会で起こるべくして、起きている事実であるということが、この著書のテーマです。
確かにこの著書で取り上げられた夫婦が、家族三代、
満足に子育てが出来ない家庭に育てられた子供という事実はあります。
しかし、旦那や親などを頼ることが出来ずに、子育てをしなければならない状況にある母親が多数存在することこそが、
虐待が発生している大きな要因であることを考えさせられました。
自分自身、男として女性に対しての接し方にも多数の教唆を得た文庫本でした。 -
虐待報道があとをたたない。
いったいどうなっとるん? 思いつつ、やはりこのあたりに行き着く。
非常に冷静に、ルポされている。冷静に、公正に、この事件をとらえている。書き手の視点が、好き。
「慈愛」のカテゴリーにいれてもいいくらい。 -
それでもまだ、子を死なせてしまう親は跡を絶たない。親だけでなく地域共同体の大人たちが全員で子育てをするような社会であればと切に願う。
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大阪の2児のネグレクトの事件をきっかけに読みました。子育てに不安や悩み、葛藤を抱える親はたくさんいますが、虐待死という越えてはならない一線を越えてしまうのかと疑問に思っていました。普通の感覚では理解し得ないですが、この本を読むことでそれを理解する一助になると思います。悲しいことに虐待の事件は後を絶ちませんが、親子とも不幸になってしまうような事件が二度と起こらないようにと願います。
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授業で使用。ルポライターの杉田さんが、私情を極力押し殺して書いているのが、読んでいて快感。ドキュメンタリー番組を観ているような感じで、すらすらじわじわキた。
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児童虐待は、只、冷酷とか可愛そうとか
そんな簡単な言葉で片付けてはいけないと思う。
沢山のことを考えさせられる事件。
これからのことをちゃんと考えなくては。 -
実際に起こったノンフィクションゆえ、読んでいても同じ親として何度も問いかけたくなった。
この2人には「こども」という存在はなんだったのか・・。
虐待・・それも「餓死」とは・・。
まあ、オレもたまには言うこと聞かない子供たちにキレそうになることもある。
しかし、やはり自分の子だからね。
子供たちの行く末が楽しみだし、それに向けての蓄えも用意しなければと思うし・・。
二度と読みたくない本です。
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子供の虐待の事件を耳にすると、とても心が痛み、憤りを感じます。けれどその背景を知ることで見えてくるものがあります。
それは、愛情への飢餓感であったり貧困であったり、孤独であったり。
しばしば報道では一方的な側面から捉えられがちな事件を多方面から取材し検証されていて、著者の暖かな目線が感じられる素晴らしいノンフィクション。 -
この祖父母あってこの両親あり。社会的なセーフティーネットの崩れと制度的なセーフティーネットの整備の狭間に落ちたのが真奈ちゃんだったのではないか。
自分自身の「当時の覚悟」では子どもを育てられないと思う今でこそ、若年出産の怖さがわかる気がする。子どもを産むことのできない −つまり育てたことのない− 私がとやかく言えることではないかもしれないが...。 -
小学館ノンフィクション大賞を受賞した本書は、2000年12月に起きた愛知県武豊町女児餓死事件のルポルタージュである。若い両親には2004年に殺人罪で懲役7年の判決が下った。
2000年の当時はまだ虐待への対応が確立されていなかった。試行錯誤を重ねてきた児童相談所の職員や意識の高い小児科医もわずかにいたが、まだまだ虐待への適切な対応は浸透していなかった。
武豊保健センターの職員は母親と関わろうとした。母親との関係が築けない彼女を助ける上司はいなかった。奮闘する職員が孤独だった。母親はさらに孤独だった。親も頼れない。夫は無関心。子育ての悩みを抱えて孤独だった。誰も彼もが孤独の中で幼子が命を落とした本事件は、現代の孤独病と言えまいか。
親から子へと引き継がれてしまう虐待の連鎖。それが痛ましい事件になる理由は、地域力や家族力が低下したためである。そしてそれは、大きな時代の変化と無関係ではない。 -
大学では心理学科に進むことが決まった高校3年に
本屋で表紙を見て買った本
読んで衝撃だった
つらい内容が多いけれど
「虐待なんて酷い」と言いつつも
ニュースを見ながら
どこか他人事のように感じてる人に
是非読んで欲しいと思った -
内容はしっかりとしたルポだった。しかし、杉山春氏の思い入れというか、解釈というか、それらが文章から伝わってきて途中から内容が入ってこなくなってしまった。
児童虐待に積極的に関わっているライターさんだから仕方がないとは思う。
しかし、その「熱さ」が、どこか視野狭窄を招いているようにも感じてしまった。 -
子育ての時期に購入した本ですが、あまりにもヘビーな内容のため、いろんな感情が入ってしまって、最後まで読めませんでした。
しかし、本棚で1番目立つところに置いてあります。再度チャレンジ! -
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