きいろいゾウ (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 1205
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082517

感想・レビュー・書評

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  • 夫婦になるってなんなんでしょうね。
    相手に対しての、本音を出しきれない感じは共感しました。

    みな様々な過去があって今がある。
    大切な人を、「あー、やっぱりこの人は自分にとって大切な人なんだ。」って確認しながら生きていくことは大事だな。

  • ツマとムコさん夫婦は、ご近所の人たちや変なあだ名の動物と、のんびりと田舎暮らしをしている微笑ましいお話しかと思って読んでいました。しかしムコさんの過去が迫ってくると怪しい雲行きになります。夫婦が子どものときに読んでいた、きいろいゾウの話しが所々にあって、最後にはこの夫婦に重なったのだと感じた。
    「大きな耳を羽のようにぱたぱたしなくても、長い鼻をプロペラみたいにぐるぐるまわさなくても..」のフレーズがいい。

  • ツマさんやムコさん、地域の人々の温かさに心が和みました。読んでいる時は気づかなかったけど、読み終わると何か素敵なものをこの本から貰った気がします。
    心温まる1冊です(*^^*)

  • きいろいゾウと入院中の10歳の女の子が織りなす幻想的で美しい童話と、現実の世界で東京から九州の田舎に移って暮らす「ムコ」と「ツマ」の生活が交互に展開していく、心温まる小説。その日の食事内容や自然の中の生き物、植物などの細かい描写が「日常の中に幸せは隠れている」ということを教えてくれる。しかしこの本は田舎暮らしを推奨する作品ではない。ちょっとした謎解き要素も含まれていて、後半からはガラリと雰囲気が変わる。こだわりを感じる細やかな表現と心情の描写に読み手の好みが分かれそうな内容。読む分には楽しめた部分も多少はあったけれど、私の好みではなかった。

  • 田舎暮らしの若夫婦の日常を描いたホンワカした作品。

    一言でこの作品を紹介するのならば、こんな感じか。
    しかし、夫婦の日常生活を描くだけで500ページの小説ではさすがに長かろうと思っていたら、面白く読める工夫がされていた。

    まず、新鮮に感じたのは、各節ごとに妻(ツマ)の日常生活の描写があり、併記する形で夫(ムコ)の日記が記載されている。これで、夫婦間でも物事の見方が男女で大分違うことを表現していて面白かった。

    また、後半からは夫(ムコ)の昔好きだった女性との関係の話が動き出す。もしかしたら、この仲良し夫婦が最悪の事態になるのではとハラハラさせられる。

    途中、物語に登場してくるご近所の方や、そのお孫さんなども主人公夫婦といろいろなからみがあり、小説に深みを与えている。しかし、ツマが幽霊を見れたり、タイトルの「きいろいゾウ」の絵本の話など、ちょっと自分には理解できないところもあったのも事実。(スピリチュアルやファンタジー的なものは、わからない)

    それでも、ハッピーエンドで終わったから良しとしよう。
    最後の解説を読んで気がついたのだが、この小説の一番最初と最後に夫(ムコ)の「必要なもの」が記載されている。ほとんど同じ内容の記載だが、最後の方の「必要なもの」に「ぼくのつま」が追記されている! 
    これだけで読了感が優しい気持ちになり嬉しくなった。

    この本はお借りした物だが、持ち主の友人の感想は「こんな夫婦間でありたい」というものだった。まさしく私も同じだった!

  • 初めて読んだ西加奈子さんは「サラバ!」
    続いて「i」を読み「さくら」を読みそこから「ふかわらい」に行くという遍歴。
    私にとって五冊目の西加奈子作品。
    純粋で過剰に研ぎ澄まされた感覚からくる表現がとても多いので(しかし繊細ということでもない気がする)、この作品が初めての西さん作品だと読みにくさが先にくるかなと思います。
    ストーリーが、登場人物が紆余曲折、読者にも共感できる出来事を繰り返し壁を乗り越えて結末に至るとするならば、この「共感」部分がすっかり個人に左右されるので、ピンとこない人はピンとこないので読書が嫌いになるきっかけの本にもなってしまいます。
    逆をいうならば、ハマってしまえば読者のもの。
    ノンストップで読みきってしまうでしょう。
    ムコさんとツマさんと、その周りの登場人物森羅万象すべてに西さんワールドが展開されていますので、独特の言い回しすら西さんにしかできない表現、西さんがこの世にいたからこそ生まれてきたキャラクター達すべてに愛が溢れて止まらないはず。
    皆さんのあれはどうだったのか?のネタバレ考察を読み終えてから味わうのもまた楽しいです。

    残念ながら私の読書レベルと西さんレベルが低いばかりに今回のレビューとしては星3になりました。
    でもそれは私が~や西さんが~ではなく、星の巡り合わせというとスピリチュアルでどうよとなりますが、それはそれでした。ということだけなんだと思います。
    染まるでもなく合わせるでもなく、向き合うということが西さん作品には多いので、今はまだその時ではなかったかと、私が、ね。

    全体的にとらえどころのないレビューとなりましたが、深く西さんワールドに浸りたい方には強くお薦めできる作品です。

  • 田舎に住む夫婦ムコさんとツマ。裸足の少女のような無垢で純粋なツマ、それを優しく包む小説家のムコさん。そんな2人のささやかな日常。
    いろんな愛があって、儚くて切なくて温かい小説でした。

  • ツマとムコ、夫婦の語る日常で構成されています。

    ツマの語り口が特徴的で、本の中盤くらいまでは気になってなかなか物語に入り込めませんでした。個人的には、「〜て、」、「〜とゆう」が気になりすぎて…。わざと頭が悪い雰囲気のため?て(※こういう使われ方です)いちいちイラっとしてしまいました。

    周囲の生き物にも特徴的なネーミングをし、尚且つそれがカタカナばかりで多いため、時々忘れては戻ってを繰り返しました。

    ムコが東京へ行くくらいから物語は動き、読みやすく感じました。このお話が楽しいと思えるかは結構人によるかな…自分は中盤以降楽しかったです。
    なぜかこの本を読んでいると頭の中でCoccoが流れてきました。自分の感じたツマのイメージがCoccoに似ていたのかも。

    • ぬたろうさん
      コメント失礼します。わたしも、すごくCoccoを思い出しながら読みました!同じ方がいて嬉しいです。
      コメント失礼します。わたしも、すごくCoccoを思い出しながら読みました!同じ方がいて嬉しいです。
      2023/09/10
  • 映画化されていたので気になって読んでみた。

    まず、ページ数が多く、冒頭から半分くらいまで、日常生活の記述が長々と続く。

    登場人物も増えるが、日常のやりとりがほとんどで、その中にも後半重要な伏線があるのかも、と思いつつもストーリーに起伏がなく退屈でした。

    その他の登場人物のそれぞれのストーリーが多すぎる様な気がした。

    抜粋すると、介護話、子供の不登校話、家庭内暴力、戦争、家庭問題etc…繋がってるようでそうでもないような…どれも重めの題材なのに、どれも描ききれてないような、ハリボテ感を感じた。

    主役夫婦の主軸のストーリーも、深そうで浅い様な。精神疾患もあり、あげく幽霊もあり(笑)

    リアルなんだかファンタジーなんだか…

    とりあえず重く深そうでカッコよさそうな話題をあつめ、うわべだけ散りばめた感じだな、というのが全体的な感想です。

    良かった点は、後半は話が動いたので、どういう結論になるのか気になり、スイスイ読めた点。

    1番つまらなかったのは、ムコがツマを失うかもしれないと覚悟してまで会いに行った昔の恋人。彼女の魅力がほとんど伝わらなかった。ストーリーの主軸であるはずなのに雑すぎる。

    タイトルがゾウなんだから、その周辺のストーリーを深く掘り下げ、無用なものは書かないほうが良かったと思う。

    笑ってしまったのは、10歳の男の子の描き方。
    あんな10歳はありえなすぎて萎える、いくらなんでも。精神的に10歳の男はあんなに大人なわけない、そしてそれに恋するオバさん(笑)バカバカしすぎて笑ってしまった。

    人間観察をしっかりすべきと思った。

  • 宮崎あおい感がする。ちょっとのんびりしてるのがのほほんとしすぎていて不安になってくる。

著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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