- Amazon.co.jp ・本 (573ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094082623
作品紹介・あらすじ
倉永晴之は南海市役所の市民相談室で働く公務員。現在の役職は主査、一般企業でいえば中間管理職の係長である。南海市は巨大ワニの化石が発見され一躍全国に名を知られることになるが、倉永の心は晴れない。市内の公園で本物のワニが泳いでいるという通報が入り現地確認に出かける。時間外の仕事を終え家に帰ると、今度は自家用車のタイヤが空気を抜かれている。そのうえ職場で上司の不祥事が発覚し、火の粉が倉永に降りかかってくる。度重なる不幸の連鎖から倉永はいかにして脱出するのか。「どろ」「かび」の作者が描いた巻き込まれ型小説の決定版。
感想・レビュー・書評
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ご都合主義と言うのは簡単だが、
前半に爽快感が皆無なので最後は「やや」すっきり。
あくまで、やや。
関西弁が自分に合わないのでやや読みにくし。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
DVD版が無かったので、こちらで登録。
「とげ〜小市民 倉永晴之の逆襲〜」
録画したドラマ見終わりました。
役所の市民相談室で勤務する主人公の出来事の話。 -
市役所の市民相談室に勤める公務員が主人公という異色作。
無責任でやる気のない上司や同僚、非常識で身勝手な市民、傲慢で強権的な市長、粗探しに余念のないマスコミ等々。多少誇張はあるにせよ、かなり公務員の現実を描き当てているのではなかろうか。こりゃ、ストレス溜まるよなぁ。
いろいろな事件が立て続けに起こって、思いがけない(ちょっとありえない)展開に発展するも、終盤で幾つかの伏線を回収して、最期はめでたしめでたしかな。
山本甲士さんは初読だけど、文体も軽くて読みやすい一冊でした。 -
公務員が主人公。市民の相談窓口に勤めているため、理不尽な問い合わせも多い中、縦割りやたらい回しで仕事が進まないイライラ。私の妻も元公務員で、似たような話を思い出し、胸が苦しくなる。主人公夫婦も普通の欲がある人間なので、事態は少しずつ悪くなっていくが、、、系の話。
最後はなるほど、ガガガッとそっちに行くか的面白さで楽しかった。 -
主人公である市役所職員の周囲で立て続けに起こる騒動を描いた小説。上司の逮捕、ワニ騒動、妻の飲酒運転、市長からの暴力など、同じ人物に関わる騒動がこんなに続くのかという疑問はあるにせよ、実際にいかにもありそうな、かなりリアリティにあふれた公務員小説となっている。主人公をはじめ、完全な「良い人」というのが出てこないというのもリアリティを高める要因となっている。また、関西の市役所が舞台なので、登場人物の会話が関西弁なのも人間味があってよい。
この小説は、公務員が読んだら、身につまされることが多いと思う。役所のセクショナリズムの愚かしさがよく伝わってきた。主人公のように、言うべきときにはちゃんと主張しやなあかんなと思った。また、ボタンウキクサのプロジェクトチームが立ち上がったときに、主人公が、「いい連中も市役所にいるではないか、捨てたものではないなと、妙に身体の芯が温かくなるような感覚に浸っていた」という感じは自分にも経験があり、よくわかった。 -
「ドロ沼」にならないことを祈って読み始め。
途中停滞しながらも、ようやく読了。
最後の最後で救われた感あり。 -
大阪泉州地方あたりの設定の南海市役所市民相談室勤務の主人公倉永が、市民からの理不尽な電話、それに対応すべく関連部署間での責任のなすり合い、たらいまわし、上司や部下との軋轢、等々のストレスが延々と描かれて、どうしようもない閉塞感を最後まで引きずるのかと思いきや、快刀乱麻ともいうべき結末。ちょっとこの最後が出来過ぎの感があるけど、全体としては、まぁまぁ楽しめたかな。泉州地方独特のあらっぽい喋り口がとっても「らしい」。この人、泉州の人なのかな。
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市民相談室で働く公務員の話。
どんどん災難がふりかかってきて、読んでて疲れてしまった。。 -
平仮名、巻き込まれ3部作のラスト。
...という割には巻き込まれた主人公が
しっかりそれを利用して、あのラストへ展開されるとは
全く予想外の展開。その予想外の展開が痛快で面白い!!!
...かというとビミョー(笑)。ヘソ曲がりなんですかね、ワタクシ?
むしろなんでこうなるの? という疑問符と、そのストーリー展開に
怒りすら感じてしまったんですが...。
役所の縦割り社会やタライ回しに怒る主人公あたりまでは面白かったのになー。