日本沈没 第二部〔小学館文庫〕 (上) (小学館文庫 こ 11-3)

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082746

感想・レビュー・書評

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  • 1 本書は、小松左京氏の「日本沈没」の続編です。日本沈没では、日本列島が四国を皮切りに次々と海底に沈みます。犠牲者は、2,000~3,000万人で、約8,000万人が国外に脱出し、世界各地へと散りばりました。ここから第二部が始まります。
    この第二部上は、日本が滅亡した後に、生き残った人達が流浪の民となって各地で生き延びようとする物語です。
    2 本書で、気になった箇所を、意見を加えて、2点書きます。
    (1)パブアニューギニアでは、日本人は順調に暮らします。しかし、「この国の住民と日本人入植者の格差は大きくなっていくばかりです。日本人ばかりが豊かになって、パブアニューギニア人の恨みを買うことになりかねない」という記述です。 ⇒ 島国育ちで、世界をあまり経験していない日本人のエゴが露見したのでしょうか。私の偏見かもしれません。
    (2)カザフスタンでも、「日本人は憎悪の対象になります。買い占めた食料を相場の10倍以上の値段で売りつけた日本人がいたらしく、現地住民の怒りを買い、日本人に対する襲撃が相次ぎます。 ⇒ 日本人の勤勉さと集団主義(よそ者排除)が悪い方に作用したのでしょう。
    3 感想まとめです。
    (1)作中で、首相は「日本の復興は残された者の義務」と思い、各地に散らばっていた日本人を集結させたいと考えます。しかし、各地では、日本人の醜態もみられます。確かに、日本は島国単一民族で、教育水準の高さと集団主義などを武器にして、目覚ましい経済発展を遂げました。反面、行き過ぎもあり、反感を買ったのも事実です。バランス感覚の欠如と言わざるを得ません。
    (2)国土を失った日本が遊民となって、どのように生きていけばよいのか、難しい問題です。言える事は、他国で生活するには、共存共栄の精神が必要です。自身の利益に固執するだけでは、良い結果は得られません。グラーバル化が進行する今こそ、考え続けなければならない重いテーマです。

    • ヘブンリーサイコさん
      どんな話か気になります!今度読んでみます
      どんな話か気になります!今度読んでみます
      2021/08/17
    • ダイちゃんさん
      ヘブンリーサイコさん、今晩は。ダイちゃんと言います。いいね!サイン、ありがとうございます。私事です。今年、愛犬が永眠しました。これを機に、ブ...
      ヘブンリーサイコさん、今晩は。ダイちゃんと言います。いいね!サイン、ありがとうございます。私事です。今年、愛犬が永眠しました。これを機に、ブクログ始めました。若い時(取分け、学生時代)に読んだ本の中には、特別な想いがあります。宝物です。サイコさんも、宝物を見つけて下さい。
      2021/08/17
  • 下巻で!

  • 前作から33年も経ており、いつ出るんだろうずっと思っていて諦めていたら、いつの間にか出てた。あの「異変」の後、日本列島は完全に消滅、日本人は世界各地で彷徨い、ばらばらになりながらもそれぞれの道を模索している。各地に入植して、各地の人々との軋轢を超えながら逞しく生き抜く人々。
    海外に住んでいることもあり、妙に共感や現実感を持って読めた。日本人の有り方や、方向性を色々と考えさせてくれる。

  • 小説としては、小松左京特有のペダントリーがないので第一部より読みやすいかな。第一部の登場人物も出てきます。

  •  そのむかし、「日本沈没」の末尾に「第一部・完」とあるのに「第二部」がなかなか出ないことから、……

     東宝は「小松左京が続編を書いたら即座にそれを映画化する用意がある」と言ってる
     小松左京は「東宝が映画の続編を作ったらノベライズを書いてそれを『日本沈没・第二部』とする」と言ってる

     ……という、嘘か真か、アキレスと亀みたいな風説が出回っていたものだった( ´ ▽ ` )ノ

     その後、草なぎ版のリメイク映画が製作された後、本作が発表されて、この噂はガセだったと判明したわけだ( ´ ▽ ` )ノ

     正直「第一部」は基本アイディアこそバツグンだったものの 小説としてはいまいちつまんなかった(>_<)
     本作は逆に基本アイディアこそいかにも続編っぽく新味に欠けるけど(国土を失った日本人の放浪が描かれるだろう、というのは昔から語られていた)、小説としては現代エンタメらしくブラッシュアップされていて面白かった( ´ ▽ ` )ノ

     たしかにみなさんのおっしゃる通り、描写がくどくてうまく練れてない文章ではあるけど、ね( ´ ▽ ` )ノ
     小松大先生ご存命中にオフィシャルな続編が執筆された、ということに大きな価値があると思う( ´ ▽ ` )ノ
     
     竹島、不審船、日本海海底資源、メガフロート、その他もろもろ、十数年前のホットトピックがてんこ盛り( ´ ▽ ` )ノ
     終わりの方の雪害描写、いかにも谷甲州っぽい。なんかこの人、寒冷SFばっか書いてたイメージがあるから( ´ ▽ ` )ノ

     あちこちよくわかんないところがあるから、第一部みたいに図版を入れてもよかったんじゃないかな?とも思う( ´ ▽ ` )ノ

     まあ、中田首相が何を考えてるのか推察しつつ、下巻へ……( ´ ▽ ` )ノ

    2018/12/09

  • 「第一部」が超スペクタクル巨編だったのに比べると、話はさらに壮大ではあるものの、長期の気象変動ということで、地味に感じられた。
    だが、じっくりと読み進めていくうちに「日本人のアイデンティティとは」という主題に惹かれていく。国土を持たない民(民族?)の拠り所はこんな点にあるのだろうか。

    地球温暖化に向けて世界の足並みが乱れ始めている時、読むべき一冊。

  • 日本が沈没した後の日本人の流浪を描いた作品。日本人的な思考が世界に放り込まれたらどうなるのか、逆に世界に対してどういう影響を与えるのかが描かれていて大変楽しめた。
    でも、ちょっと話がくどかったり、終わり方が唐突だったりして残念な感じもしました

  • 第二部 上巻
     小松さんではなく谷さんです。
      やっぱり違いますね。
      基本構想は小松さんとかいろいろな人と一緒に練ったようですが、書く人が違うとだいぶ印象が変わります。
      話の転換のさせ方とかがだいぶ違う感じ。

     事変から25年後
      場面はどんどん変わり、その後の日本の状況や”今”が描写されていきます。1部で出てきた人達も物語を紡いでいきます。

     中国、ロシア周辺での事変がこれからどるのか。
     これから日本はどちらに向かうのか。
     それから小野寺は出てくるのか?

  • さまよえる日本人。 話の中でちょうど中国の領空海侵犯のシーンに差し掛かった時に、現実でも領空侵犯が起きてたから、やけに生々しく感じられた。

  • 第一部に比べると、SF色は弱いが、よりドラマチックで、引き込まれた。

著者プロフィール

昭和6年(1931年)大阪生まれ。旧制神戸一中、三校、京大イタリア文学卒業。経済誌『アトム』記者、ラジオ大阪「いとしこいしの新聞展望」台本書きなどをしながら、1961年〈SFマガジン〉主催の第一回空想科学小説コンテストで「地には平和」が選外努力賞受賞。以後SF作家となり、1973年発表の『日本沈没』は空前のベストセラーとなる。70年万博など幅広く活躍。

「2019年 『小松左京全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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