- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094082807
感想・レビュー・書評
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2017年12月2日読了。
2017年105冊目。 -
これまでの3作とは趣きが異なる。
公序良俗サイドからの視点では、禁断でアブノーマルで背徳な話しになってしまう。のだが、その背景には古い価値観からの歪を抱え、横溝正史が金田一耕助を登場させて描いたような陰鬱なしきたりとそれにまつわる哀しい逸話である。本シリーズではそれを探偵でなく娼婦が救う。ここまでの4作の中ではベスト。 -
2013年6月
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守らなければいけないひとがいる、それは背筋がぞくっとするほど幸せなことなんだと、生まれて初めて気づいた。
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江戸時代から続く酒屋の次男、圭は義姉の欲求に答えることができず、彼女を死なせてしまう。兄と義姉と『家』の呪縛から逃げ出した圭は、渋谷の街でなぎさという名の娼婦と出会い、、、。
ねえさんの浴衣 重松清
重松清の小説はエゴが排除されてるなーって思います。
普通そこで決め台詞入れたくなるっしょ!って所もクールに叙述し、コテコテ感を回避してくる。う、うまい、、。
そして今回は「切なく疼く、傑作官能小説」であります。
疼くんだよーこれが。身も心もオカシクナリマス。。。
官能シーンを読んでちょっと余韻に浸るじゃないですか。いやいや、ホント浸るだけですけど、その際本を閉じると裏表紙に映る著者近影が目に飛び込んでくるんだよねー。
エロス→ムラムラ→笑顔のキヨシ。
エロス→ムラムラ→笑顔のキヨシ。
疼くねー。切なく疼くよこりゃ。
もだえ疼くよ。
ぼくたちは膝をついた姿勢で、無言で抱き合った。唇を重ねた。ねえさんは、自分から舌を入れてきた。ぼくの手はねえさんの股間に伸びる。潤んでいた。寝室で指を使って自らを高めていたときに沸いていたものとは違う、生まれたての蜜が、僕を愛するための蜜が、股間の泉からとめどなく湧き出していた。
ねえさんはぼくの頭を両手で抱きかかえ、「あぁ・・・」と吐息を漏らす。(P122引用)
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本閉じる
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脳裏に焼きつく
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笑顔のキヨシィィ!!
物語の濃淡が中和されて、未成年の方でも全然問題なく読めると思います。
文字から喚起されるエロスは、3次元のソレなんか目じゃないぜ!!
(つ、強がりなんかしてないんだからね!!)
生きていると、何かに縛られて嫌になることもあるんだ。
それは会社に?家族に?恋人に?友人に?何でもいいよ。
けれども、それは本当にアナタを縛っているものなの?
もしかしたら、アナタが「勝手」に縛られているだけなんじゃないの?
認められない、包摂できない、許すことの出来ない彼らを、
排除して、逃げ出して、忌み嫌って、
遠くに打ち捨てた気になっても、排除の痛みが自分を縛るんだよ。
どうしようもなく、強くね。
もし出来ることなら、過去に戻りたい。
綻び始めたあの日に戻ってやり直したい。
もし、少しでもそう思えるならば、
それは今からでも十分に取り返しがつくのだと思います。
許せないあいつを嫌いになるのって、
本当は好きになりたいけど、相愛になれないから嫌うしかないからなんだよね。
自分も相手も。。。同じこと想っている。
答えは意外と近くにあるのです。
というお話だとおもいます。
ねえさんの浴衣