怪人二十面相・伝 (小学館文庫 き 2-1)

著者 :
  • 小学館
3.58
  • (10)
  • (17)
  • (26)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 145
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094083026

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • えーまあ予想はしてましたが、江戸川乱歩を超越できるほど素晴らしい文章を書ける人なんぞ、一握りもおらんわけで、そのつもりで読み始め、初段の「~した」「~した」という紋切り連発に既にガッカリとなる。また、作者が素晴らしいと勘違いしているらしい謎の繰り返しなど、小説としていかがなものかと思う表現が特に前半に多いのはいただけない。
    さて、激しくネタバレになるのは覚悟の上で、江戸川乱歩のニ十面相を、この作家は「初代二十面相」としたいのか「二代目二十面相」としたいのかが、結局わからぬままである。乱歩の二十面相では、明智に小林だけでなく「戦後焼け出された孤児」が活躍するわけだが、そうすると小林少年は本作で矛盾となるわけである。この作者、少年がたいそうお嫌いなようで、子供の描写が短気で後先考えないあたりも残念。また、二十面相をはじめ、乱歩の小説における名物悪役というのは、概してインテリであり、キャラ作りで乱暴な言葉を発したりするギャップが素晴らしいのであるが、本作のニ十面相は、一貫して教育が足らず、言葉遣いもひどいものであり、乱歩の作品が好きな人は、まちがいなく幻滅するであろうことは先にお知らせしておきたい。

著者プロフィール

劇作家・演出家・小説家。1952 年生まれ。滋賀県出身。1979 年に発表した『寿歌』は、1980 年代以降の日本の小劇場演劇に大きな影響を与えた。1984年『十一人の少年』で第28 回岸田國士戯曲賞、1990 年『雪をわたって…第二稿・月のあかるさ』で第24 回紀伊國屋演劇賞個人賞、1997 年ラジオ・ドラマ『ケンジ・地球ステーションの旅』で第34 回ギャラクシー賞、2014 年『グッドバイ』で第17 回鶴屋南北戯曲賞を受賞。現在までの執筆戯曲は200曲をこえる。また、小説『怪人二十面相・伝』は、『K-20 怪人二十面相・伝』として映画化されるなど、戯曲だけでなく、小説、童話、エッセイ、シナリオ、ラジオドラマ、コラムなど、多才な創作を続けている。現在は、主にシス・カンパニーに書き下ろしを提供しているが、加藤智宏(office Perkypat)との共同プロデュース公演(新作の、作・演出)も始動している。2013年『恋愛的演劇論』(松本工房)を上梓。2020 年に第73 回中日文化賞を受賞。

「2024年 『万平BOKS1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北村想の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×