怪人二十面相・伝 PART2 (小学館文庫 き 2-2)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 108
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094083095

作品紹介・あらすじ

サーカスの天才・武井丈吉が扮した怪人二十面相が夜空に舞う気球に乗り、忽然と姿を消してから十年、丈吉の愛弟子であった遠藤平吉のところにひとりの男が訪ねてくる。男の名前は明智小五郎、頬はこけ、眼は落ち窪み、死期が近いことがうかがい知れた。明智は二十面相が残した数冊のノートを平吉に差し出す。行方知れずとなっている師匠の注目を引くために、ひそかに二代目二十面相となることを誓っていた平吉は、ノートをもとに厳しい修行を始める。二十面相への復讐を胸に明智小五郎を継いだ小林との間に第二幕が切って落とされる。話題の映画「K‐20」原作。

感想・レビュー・書評

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  • 『怪人二十面相・伝』と続けて読了。
    二代目は初代より小粒感が・・・とくに明智小五郎。
    そのあたり残念な気もしたけれど、(2冊あわせた)全体的にはおもしろかった。
    きちんとまとまって終わったので読後感も良。

  • 読もう読もうと思って早数年。本棚の肥やしからようやく脱却。
    北村想戯曲、21世紀FOXの芝居はいく作か観賞しました。そういえばファンクラブにも入ってたなあ。
    二代目同士の会話は面白かった。二代目明智の嫌らしさが良い。

  • 再び平吉と丈吉が出会ったところは素直に感動した。
    この物語は子供のころ読んだ二十面相シリーズとは全く立場が逆の物語になってるけどやっぱり完全悪や完全正義なんて世の中にはないんだなぁと思った。
    立場が違えばそれぞれの正義がある。戦争と同じなんだなぁ。二十面相側の立場から見たら小林くんはあんな嫌な奴に見えるんだ。
    とりあえず青銅の魔神をもう一回読んでみたくなりました。

  • 何と二代目同士の対決になるとは思いませんでしたが、初代の方がどちらも明らかに上手だと思います。でも盛り上がりから考えると、映画版の台本も少し納得。映画を前後編にしてこちらの小説に忠実に作ってもある程度面白かったとは思いますけどね。そして、太宰治についても残念。

  • スッキリ完結!

  • 『怪人二十面相・伝』の続編。2冊を通して主人公はあくまでも遠藤平吉で、1冊目は丈吉の活躍を主に描き、本書で代替わりをして平吉の活躍へと移っていきます。

    丈吉センセが派手に姿を消してから十年。戦災孤児葉子とともに浅草のバラック長屋で暮らす平吉は、自分も泥棒になろうと決意する。と、そこへ病に冒された明智小五郎がやっとの思いで訪ねてき、丈吉が書き記していたノートを置いていく。ここから平吉の泥棒修行が始まった。

    このPART2は、映画『K-20』の試写会直前まで読んでいて、読了は試写会には間に合わなかったものの、その日のうちに、試写会の帰りの電車の中で読了しました。結果的に、映画はこの作品とはまったく違うものになっているので、本を読んでいなくてもまったく問題ありません。ただこの本のどこを映画に反映させているかなどはわかるという点で、まあ読んでいても損はないだろうとは思います。

    わたくし、大きな勘違いをしておりました。やっぱり乱歩の二十面相シリーズを読んだのが子どもの頃だったからせいでしょう、忘れてしまってました。乱歩の作品に『サーカスの怪人』というのがあることを。

    今月号(2009年1月号)の『ダ・ヴィンチ』に、映画の公開ということもあって、この本も含め二十面相に関する特集記事があります。そこに、本書の著者北村想さんのインタビュー記事もあって、そこに『サーカスの怪人』のことが書いてあってハッとしました。

    1冊目の感想記事に、<二十面相とサーカス団員をつなげたのも、トリックなどの点で説得力があります>なんて書きましたが、二十面相がサーカス団員だったということは、もともと乱歩が『サーカスの怪人』で書いていたのでした。なんてアホなあたくし。ここに訂正してお詫びいたします。

    光文社文庫の乱歩全集を持っているので、今本棚から出してきました。改めて読みたくなってます。ナカムラ警部も、ちゃんと乱歩の方でも出てきてるんだーと再発見。乱歩のを読み返してみたら、本書がどのくらいリンクしているか、リスペクトしているか、たくさん見つかるのかもしれません。

    乱歩全集をパラパラめくっていても、二十面相ってもともと憎めないキャラだったんだなぁとわかります。昔読んだときには全然わかってなかったんだなぁ。小林少年も、本書を読んだせいか、小憎らしく感じるし。うむ、これは乱歩全集を読まなくては、と思いました。

    ちなみに本書には、かの文豪も登場します。登場するだけでなく、平吉と関わりがあります。これにはニヤリとしてしまいますね。この文豪の全集文庫も持っているので、この機会に読みたいと思いました。本書のおかげで、その文豪作品も今までとは違った読み方ができるかも。

    読了日:2008年12月3日(水)

  • 舞台は十年後、戦後となり、二十面相も、明智小五郎も二代目にという設定で話は進む。前編のスマートな怪人二十面相と、知的な明智小五郎との戦いはおもしろかったのだが、ヒステリックな二代目明智小五郎と、芸術性の欠ける二代目怪人二十面相の戦いは、いまいちか…。エンディングもしっくりこない。先代二十面相、先代明智小五郎の戦いにわくわくさせられただけに失速ぶりに、がっかり。

  • ますます小林少年(この本の中ではすでに明智を名乗っているが)が嫌な男になっていく。
    平吉、ちょっと頼りないぞ。と喝をいれたい。しかしこの続きも読みたいと思える作品だった。

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著者プロフィール

劇作家・演出家・小説家。1952 年生まれ。滋賀県出身。1979 年に発表した『寿歌』は、1980 年代以降の日本の小劇場演劇に大きな影響を与えた。1984年『十一人の少年』で第28 回岸田國士戯曲賞、1990 年『雪をわたって…第二稿・月のあかるさ』で第24 回紀伊國屋演劇賞個人賞、1997 年ラジオ・ドラマ『ケンジ・地球ステーションの旅』で第34 回ギャラクシー賞、2014 年『グッドバイ』で第17 回鶴屋南北戯曲賞を受賞。現在までの執筆戯曲は200曲をこえる。また、小説『怪人二十面相・伝』は、『K-20 怪人二十面相・伝』として映画化されるなど、戯曲だけでなく、小説、童話、エッセイ、シナリオ、ラジオドラマ、コラムなど、多才な創作を続けている。現在は、主にシス・カンパニーに書き下ろしを提供しているが、加藤智宏(office Perkypat)との共同プロデュース公演(新作の、作・演出)も始動している。2013年『恋愛的演劇論』(松本工房)を上梓。2020 年に第73 回中日文化賞を受賞。

「2024年 『万平BOKS1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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