大人ドロップ (小学館文庫 ひ 6-1)

著者 :
  • 小学館
2.82
  • (0)
  • (6)
  • (27)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 166
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094084597

作品紹介・あらすじ

彼女と目があった瞬間、脳裏をかすめたのは高校生の頃の蒼い記憶だった-。あの夏、ぼくは親友のハジメに頼まれて、クラスメートの入江さんと彼のデートをこっそりセッティングした。ところがその作戦が原因で入江さんをひどく怒らせてしまう。ぼくと入江さんの間には微妙な距離が生まれ、その頃からどういうわけか彼女はよく学校を休むようになっていた。やり場のない気持ちを抱えたまま迎えた夏休みのある日、彼女が学校をやめる、という話をハジメから聞かされ…。大人でも子供でもなかった頃の、みずみずしい記憶を鮮やかに呼び覚ます青春の物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『記憶は記録じゃない、記憶は時にウソをつく』

    大人と子供という曖昧なテーマを軸に、高校生の時を振り返るように話が進む。全体的にシンプルで読みやすいけれど、強いメッセージ性もあって、読み応えがあった。

    私は読者を「わからせる」小説が苦手だ。高校生が達観したように語るのも違和感がある。ただ、前提として語りてが大人だから、当時そう考えていたというよりかは、今思えばという部分もあったんじゃないかという解釈に思えて、抵抗なく読むことができた。

    作中には大人でも子供でもなかったころというキーワードが出てくるが、私自身今でも大人でも子供でもないから、早くドロップを食べなくちゃいけないのかもしれない。

  • 大人ってなんだろう。その疑問を持つ儚さのある時期を描いている。でもその時期はもしかしたら終わってないのか、と思わせる。

  • 高校時代の男友達と女友達との青春の1ページ。好きなのかどうか自分の気持ちがはっきりわからない。でも最後にやっと自分の気持ちを見つけたらしい。誰にでもある似たような想い出

  • 物語の世界にどっぷり浸かったわけではないけれど、主人公の心情と自分の気持ちがところどころリンクして胸が苦しくなりました。

    一口に言えば(あくまで一口に言えば、ですが)入江さんとの「ありふれた別れ」の経験から、主人公は自分のことを「大人になったのだ」と思うようになります。
    しかし彼が本当に大人になったのは、「誰かのために泣いても、自分のためにはもう泣かない」と誓った時なのかなーと僕は思います。どんなに「大人になった」と思っても、そこから何も変わらなければ子供のままなのですから。この誓いは彼の大人としての第一歩でしょう。
    そして大人になった彼は、ハルと「始めることから始める」のです。

    僕はもう主人公の年齢を超えていますが、自分のことを大人になったと感じたことはありません。むしろハルのように「全然、成長できてない感じ」がずっと続いています。でもまずは、始めることから始めたいと思いました。「他の誰かじゃ駄目なんだ」という人はいませんが(苦笑)


    入江さんがその後どうなったかを考えると、暗い想像しかできません・・・。

  • 大人ドロップの世界観にはまって一気に読み切ることができました。時間はいつも進んでいて、待ってくれない。一年前の自分と今の自分は違うし、今の自分と一年後の自分もまた違うのだろう。周りにいる人も違うだろうし、常に同じものってないのかもしれない。
    青春がさわやかにえがかれていて、読んでいてどこか哀しいけど、気持ちのいい作品でした。一度読んでみることをおすすめします。
    今を大事に。Time waits for no one.

  • 私の好きなタイプの小説。学生の恋愛ものと日常系が合わさった感じ。普通の日常の中に少しの非日常が割り込んでくる。その非日常はいつだって綺麗に見える。私もこんな経験してみたい

  • 自分はいつか大人になったなと思えるのだろうか?
    でも年下の人に対して、若いなとかは言いたくないな

  • 大人になってから振り返る、大人ってなんだろうと悩んでいた時代。大人でも子供でもない、そんな高校生の夏休みの出来事。

    うーん、最後にもうひとひねりあるのかと、ちょっと期待してしまいました。

  • 普通の青春物語で物足りない感じがした。
    映画化になるのが、不思議なくらい。

  • 学生の頃の友情、恋愛、葛藤などの青春ストーリー

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家・料理家。1981年生まれ。服部栄養専門学校卒業後、料理教室勤務や出張料理人などを経て、2005年『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞し、デビュー。同作は芥川賞候補になる。作家として作品を発表する一方、全国の食品メーカー、生産現場の取材記事を執筆。料理家としても活動し、地域食材を活用したメニュー開発なども手掛ける。『ぼくのおいしいは3でつくる―新しい献立の手引き』(辰巳出版)、『もっとおいしく作れたら』(マガジンハウス)、『低温調理の「肉の教科書」―どんな肉も最高においしくなる。』(グラフィック社)など著書多数。

「2023年 『樋口直哉のあたらしいソース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

樋口直哉の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂幸太郎
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×