ちょんまげぷりん (小学館文庫) (小学館文庫 あ 19-1)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094084672

作品紹介・あらすじ

理想のモテ男は、お侍でした。

シングルマザーの遊佐ひろ子は、お侍の格好をした謎の男と遭遇する。男は180年前の江戸時代からやってきたお侍で、木島安兵衛と名乗った。半信半疑のうちにも情が移り、ひろ子は安兵衛を居候として家に置くことに。安兵衛も恩義を感じて、家事の手伝いなどを申し出る。その所作は見事なもので、炊事・洗濯・家事などすべて完璧。仕事で疲れて家に帰ってくるひろ子にとって、それは理想の「主夫」であることに気づく。
安兵衛は料理のレパートリーを増やし、菓子づくりに挑戦。これが評判を呼び、お侍の格好をした「ござる」口調の天才パティシエとして時の人となるが――。



【編集担当からのおすすめ情報】
主演・錦戸亮×監督・中村義洋(「ゴールデンスランバー」「アヒルと鴨のコインロッカー」など)で、映画化決定!7月31日より全国公開です。

感想・レビュー・書評

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  • 普段開けることのない引き出しを何気なく開けたところ、5冊の小説がゴロッと出てきまして……
    そのうちの2冊がこの「ちょんまげぷりん」とその続編でした。
    いつ買ったかも覚えてなければ、なぜこの本を買おうと思ったのかも全く覚えていなかったので、狐につままれたような気持ちになりました(笑)

    内容は、タイムスリップしてきたお侍さんの安兵衛が現代で生きていくために、今を受け入れ、天才的な家事能力を発揮し、はては人気パティシエにまで登りつめる話。
    でも、安兵衛を拾って(?)養ってくれているシングルマザーが仕事と子育ての両立に限界を感じていたり、子どものしつけに関しての安兵衛の価値観だったりと、妙にリアルな問題を取り上げていて考えさせられました。

    ラストは、なるほどそういう事か……と、うまくまとまったなという感想。

  • 安兵衛がこの表紙のイケメンを見たら、ぜったい
    「この男前のお方はどちら様でござるか?」と訊ねそうだけれど

    実際は小さな目に団子鼻、エラが張った顔にがっしり体型という
    いかにも江戸時代の侍らしい容姿で、繊細なケーキを作り、
    ポケモンカードの対戦に真面目に取り組む安兵衛が、とても魅力的です♪

    『オケ老人!』が素敵に楽しかった荒木源さん、
    この『ちょんまげぷりん』も、重厚な長編ミステリーでデビューしたとは思えないほど
    軽快で読みやすくて、サービス精神いっぱいの物語で

    江戸時代からタイムスリップしてきた幕府直参の侍という身の上から
    「勤めに出るのはいやしき女のすること。
    うち向きのことは女、勤めに出るのは男と決まっているのでござる」
    と、フェミニズムのかけらもない発言をしていた安兵衛が

    世話になった恩返しにと、武士の命ともいえるちょんまげをバッサリ切り落とし、
    掃除洗濯炊事と、「うち向きの仕事」でひろ子と息子の友也を支えることで
    シングルマザーのひろ子がゆとりをもって生き生きと仕事に打ち込めるようになる、
    という逆転の構図が愉快です。

    天才パティシエ兼ござる言葉のコメンテーターとして時代の寵児となった安兵衛が
    直営ショップの経営やタレント活動に意外なほど夢中になり
    ひろ子と友也ともいつしか疎遠になってしまう展開はショックだったけれど

    働いて認められることへの渇望の裏には
    雀の涙ほどの禄で役目もなく、剣術の稽古くらいしかすることのない
    「小普請組」という身の上の切なさがあったことを知るにつけ

    「上様はこんなことはせぬ!」と言いながら
    TVの時代劇「あっぱれ将軍」にかじりつき
    両腕にふたり子どもがぶら下がっても余裕で「飛行機ブンブン」できる
    安兵衛への愛おしさが募る、楽しい本でした。

    • まろんさん
      だってね、安兵衛って20代なのに、あまりにパッとしないから
      最初ひろ子は、40くらいのおじさんで、絶対年上だと思ったっていうくらいで(笑)
      ...
      だってね、安兵衛って20代なのに、あまりにパッとしないから
      最初ひろ子は、40くらいのおじさんで、絶対年上だと思ったっていうくらいで(笑)

      この本、最初に出版された時は、なんとタイトルが
      『不思議の国の安兵衛』だったんですって!
      なので、図書館には、同じ内容なのに
      『不思議の国の安兵衛』も『ちょんまげぷりん』もあったのでした。
      楽しく読める作家さんなので、ぜひぜひ♪
      2012/09/04
  • ただ単に、面白い。
    昔のお侍さんが、この現代に来て色々と困難に打ち勝ちながら、生活していくお話。
    映画化されていたので、読む気にはならなかったのですが、たまたまのご縁で。
    でも、少し現実離れしているかな・・・とも、感じましたが
    侍が、忘れていた「日本人の心」を思い出させているようで、その点ではよかったです。
    続編も、読まなきゃ~!

    • まろんさん
      ふふ♪
      続編は、まさかの逆パターン、現代→江戸時代ですよ(*'-')フフ♪
      歴史上の人物がいっぱい出てきて、サービス精神に溢れてます☆
      ふふ♪
      続編は、まさかの逆パターン、現代→江戸時代ですよ(*'-')フフ♪
      歴史上の人物がいっぱい出てきて、サービス精神に溢れてます☆
      2012/11/22
    • しをん。さん
      おおお!
      まろんさんは、既にどちらもお読みになられていらしたのですか(●^o^●)
      続編気になっているのですが、前の人が中々返してくださらな...
      おおお!
      まろんさんは、既にどちらもお読みになられていらしたのですか(●^o^●)
      続編気になっているのですが、前の人が中々返してくださらなくて予約待ちです(笑)
      2012/11/22
  • 【ちょんまげぷりん】の存在を知ったのは映画が最初でした。
    関ジャニ∞の錦戸くん主演の映画【ちょんまげぷりん】
    ちょんまげぷりんって・・・、何?
    「ちょんまげ」と言えば、あのお侍のヘアスタイルしか思い浮かばへんし・・・
    「ぷりん」とひらがなで書かれていても、洋菓子の「プリン」しか思い浮かばへんし・・・
    その二つを足したら・・・、何になるの?????
    今ひとつ、興味がわきそうでわかへんし・・・
    何と言っても、ちょんまげ姿の錦戸くんがあまりにも・・・なので、それっきり記憶から消しさられていました。

    二度目に【ちょんまげぷりん】との出会ったのはNHKのTV番組「グレーテルのかまど」でした。
    そこで紹介されたあらすじがちょっと面白そうで、消し去られた記憶が読みがえる。

    そして、先日、いつもの古本屋さんで三度目の出会い。
    これはもう、読むなら、今でしょ~!(笑)

    この本、とっても不思議な本でした。
    江戸時代から180年の時を超えてタイムスリップしてきた侍の木島安兵衛。
    安兵衛が出会ったのはシングルマザーのひろ子とその息子の友也。
    この親子と暮らし始めた安兵衛が現代で「パティシエ」となる。
    タイムスリップものは数あれど、こんな展開、他にはないよね・・・
    ちょっとばかばかしいけど、ちょっと笑えて、ラストはちょっといい感じ。

    難しいことなど考えず、単純に楽しみたいときに読んでみるにはよい本かな・・・
    でも、映画はどうだろう・・・?

    ところでこの作品、単行本として刊行された時には【不思議の国の安兵衛】だったそう。
    それはあまりにもひねりがないよね~(って上から目線でごめんなさい!)
    よくぞ【ちょんまげぷりん】に改題してくれました~!!
    って、タイトルで悩んでいたのにねぇ・・・(笑)

  • プリン食べたい。

  • タイムスリップしてきたお侍さんが同居しはじめる話。
    もう、今までにもありがちな設定かもしれないけれど、
    スウィーツを作らせたらすごく研究熱心で上手になって・・・
    シングルマザーの視点も苦労も、男の子のやんちゃぶりも
    すごくリアルに伝わってきて、
    そのリアルさに笑えちゃう。
    真剣なんだけどちょっとおかしい。
    コメディタッチでほのぼのしてる。
    映画化にはぴったりですね。
    錦戸君はまり役になると思います。

  • 思わず頬があがってニコっとしてしまうようなシーンが多く、心が温まった。
    特に大会の場面では、自然と応援し、息を飲んでしまうほど引き込まれ、喜んでしまったことに、深く作品に没入している感覚になった。
    「この本と出会えてよかったな〜。」と微笑ましく思うような作品。最後の結末も素晴らしかった。

  • 少し作者の都合が見えて残念だった。
    ただ、アイデアと物語の流れは面白かった。

  • これは面白い。
    単なるタイムスリップで、帰り方を一緒に探して…って話だったらありきたりなのに、あろうことかお菓子作りを始めるなんてw
    現代の世界に馴染むことが、路頭に迷っているところを助けてくれた親子からも離れることに繋がっていく、その流れがすごく自然でした。
    最後の結末はちょっぴり涙…歴史っぽいのに現代小説な、すごく読みやすい話でした。

  •  江戸時代のお侍が現代の母子家庭にタイムスリップ。
     導入はそれほど目新しいものではないが,お気軽な読み物としては痛快で楽しめる。
     お侍が,現代社会で古めかしくも筋の通ったことを言って現代人をハッとさせる場面が興味深い。マックではしゃぐ子供とそれを甘やかす親に思わず一喝。できればこういうエピソードをたくさん取り入れるとまた一段と味わいのあるものになったのではないかと思うが,残念。
     どうやら錦戸で映画化されるらしいが,なんでも映画化するのはどうかとも思う今日この頃である。たいていの場合,本を読んでイメージを膨らませたものが映画化されることで大きくそのイメージが削がれたり,幻滅させられることが多いからだ。彼がこの作品をどう演じるかはわからないが,アイドルをただ出すことだけが先行していて,演技や演出を置いてけぼりにしているような作品がどうも多く感じる。作品のおもしろさを踏みつけにしてアイドルやそのファンだけが独りよがりで喜ぶような安易な映画化はどうも賛成できない。
     さて,後半,ストーリーは次第に現代社会で居場所を見つけていくお侍が主人公との間で微妙な隙間風が吹いてくる。この変は妙にリアルでもある。
     ラストシーンは,なかなかスマートな締めくくりとなっていて,おしゃれでいい。

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著者プロフィール

1964年、京都府生まれ。東京大学文学部仏文科卒、朝日新聞社に入社。2003年『骨ん中』でデビュー。2010年『ちょんまげぷりん』が錦戸亮主演で映画化され、2016年には『オケ老人!』が杏主演で映画化された。著書に『探検隊の栄光』『けいどろ』『大脱走』『ヘビメタ中年!』『独裁者ですが、なにか?』『早期退職』など。

「2019年 『残業禁止』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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