「兵士」になれなかった三島由紀夫 (小学館文庫) (小学館文庫 す 7-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094084733

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  • 兵士に聞け シリーズ、で15年にわたり自衛隊を取材した杉山隆男による、三島由紀夫と自衛隊の物語。鍛え上げた上半身(腕力)を誇った三島だが、鍛えられていない下半身は脆弱なまま(脚力不足)で体験入隊時の持久走では、常に劣後していた等の指摘が興味深い。劣後しながらも真剣に付いてゆこうという三島の鬼気迫る雰囲気が印象的だった、という当時の教官(隊員)たちの様々な三島の思い出が語られております。虚弱な体(小柄)だったが故に、太平洋戦争に行けず、兵士になることができなかった三島由紀夫が、敗戦後、作家になったころから体を鍛えはじめ(心を鍛えることも含め)それがどのように展開し、あの壮烈な最後を迎えたのかという内面の物語も少しうかがえる一冊であります。市ヶ谷台に乱入、割腹自殺をした1970年11月25日は、作者(杉山隆男)の18歳の誕生日(日比谷高校の3年生)、という繋がりも披露されております。★四つであります。

  • 三島由紀夫が市谷駐屯地で自決を遂げたのは、1970年11月25日。当時小学生だった私は、そのニュースを新聞やテレビで読んだり観たりしたと思うのだが、全くと言って良いほど記憶がない。その歳では、三島由紀夫の作品を読んだこともなかっただろうし、この事件の思想的な意味合い・背景に、興味を持ったり、あるいは、理解が出来る年齢ではなかったということである。ただ、それは自分の年齢だけが理由だったわけでもなさそうではある。この杉山隆男の本を読むにあたって、ウィキペディアで一応事件のことを調べてみたけれども、何だか全くよく分からない。ウィキペディアの簡単な説明だけで分かるはずがない、ということを置いておいても、何故、こういう事件を三島由紀夫が起こしたのか、という理由、というか、そこまで三島由紀夫が思いつめていた、その切迫感の正体が全く分からないのだ。このあたりは、その時代の空気とでもいうものが分からない限り、どうにも理解できないことなのだろうと思う。

著者プロフィール

1952年、東京生まれ。一橋大学社会学部卒業後、

読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に

新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興

亡』(文春文庫)で大宅壮一ノンフィクション

賞を受賞。1996年、『兵士に聞け』(小学館文

庫)で新潮学芸賞を受賞。以後、『兵士を見よ』

『兵士を追え』(共に小学館文庫)『兵士は起つ

 自衛隊史上最大の作戦』(扶桑社新書)と続く

「兵士シリーズ」を刊行。7作目『兵士に聞け 

最終章』(新潮文庫)で一旦完結。その後、2019

年より月刊『MAMOR』で、「兵士シリーズ令和

伝 女性自衛官たち」の連載を開始。ほかに小説

『汐留川』『言問橋』(共に文藝春秋)、『デルタ

 陸自「影」の兵士たち』(新潮社)、

『OKI囚われの国』(扶桑社)など著書多数。

「2022年 『私は自衛官 九つの彼女たちの物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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